香友会主催講座・講習会
令和7年度第1回「元気はつらつ市民講座」開催報告

令和7年10月29日(水)13時30分より、香友会館にて第1回「元気はつらつ市民講座」を開催しました。昨年度に続き大好評の飯島靖博先生、いくみ先生をお迎えし、「季節の上生菓子~練切~」をテーマに実施。今回の題材は〈山茶花〉と〈残菊〉です。仲の良いご夫婦の掛け合いと丁寧なご指導に、会場は終始あたたかな雰囲気に包まれました。

飯島靖博先生・いくみ先生

まず先生から、「練切とは白あんに“つなぎ”を加えて練り上げた“練切あん”を土台に、細工を施した和菓子のこと」と説明がありました。続いて練切作りの基本として、土台の中心に小豆あんを包み上げるデモンストレーションがおこなわれました。先生から「蒸し饅頭は底を薄くして火を通すけれど、練切は薄くしなくて良いですよ」とのアドバイス。参加者も慎重に手を動かしながら挑戦していました。

 

 


山茶花

〈山茶花〉では、ピンクと白の練切をなじませる“貼りぼかし”という技法を実演。花びらに一本スジを入れて奥行きを出し、品よく添えた“しべ”が花の表情を引き立てます。花言葉「ひたむきな愛・健気」にちなみ、椿との違いや名前を取り違えたエピソードなども紹介されました。

 

 


残菊

〈残菊〉では、“もみ上げ”という技法で逆台形の形を整える様子を披露。先生が参加者のもとを回り、手の動かし方や角度を一人ひとり丁寧に指導してくださいました。三角ヘラで中心から外側にスジを入れると、見事な菊の花びらが完成。続いていくみ先生考案の“綿棒を使ったスジ入れ”の方法も実践しました。先生からは「菊の花びら16枚は特別な意味があり、格式を守ることも職人の心です」とのお話や、天皇御用達の清月堂で修業された際のエピソードも披露されました。


完成した〈山茶花〉と〈残菊〉はそれぞれ2個ずつ。上品な甘さと美しい色合いに仕上がり、参加者は1つをお茶とともに味わい、残りをお土産として持ち帰りました。

講座では、「あんが乾く前に仕上げる」「乾燥防止のため水飴を加える」「つなぎに白玉粉を使うため、手や作業台を濡らしながら作業する」「濡れ布巾は固く絞らない」など、実践的なコツも次々と紹介されました。

材料の調達についても、「家庭で作る場合は少量購入が難しいものもあるが、専門店で揃えられる」との助言があり、「どうぞ気負わずに和菓子作りを楽しんでください」と温かい言葉で締めくくられました。

最後は、先生ご夫婦への大きな拍手とともに終了。季節や花、行事を表現できる練切の奥深さに触れ、和菓子の魅力を改めて感じるひとときとなりました。

取材・報告:香友会広報部