平成30年12月2日(日)13時30分より、女子栄養大学駒込校舎小講堂において第3回「専門家講座」が開催されました。
動脈硬化性疾患診療ガイドラインは、2002年にはじめて発表されてから、5年ごとに見直されてきました。臨床試験結果等データを積み重ね、動脈硬化に伴う病気の予防を目的に主に脂質異常症への対策を中心にまとめられています。今回の講座では、実際に女子栄養大学栄養クリニックで診療にあたっていらっしゃる田中明先生(女子栄養大学教授・女子栄養大学栄養クリニック所長)を講師にお迎えし、「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017年版から学ぶ」をテーマに、動脈硬化症の基礎知識から、新しいガイドライン2017年版の改定のポイントまで丁寧にお話いただきました。
また、栄養クリニックで実際に提供されている食事の写真をもとに、食事指導に関わっておられる今泉久美先生にメニューを提示いただき、具体的なアドバイスを交えて熱く語っていただきました。
田中 明 先生
今泉 久美 先生
日本人の死因の2位、4位は心疾患そして脳血管疾患であり、また2型糖尿病患者における脂質異常症は冠動脈疾患の上位危険因子である。脂質治療は重要である。脂質異常症の様々な病態に対しての働きなど代謝に関して丁寧で詳細な説明をしていただいた。高脂血症でもコレステロール増加とトリグリセリド増加では血清分離すると全く違う状態であること。フリーデワルドの式。リポ蛋白など。さらに病態の写真なども提示いただき、目に見える形での基本を学ぶことができた。
その後、2002年にはじめて発表されたガイドライン、2007年そして2012年版のガイドラインの変更点や問題点など詳しい説明もしていただいた。2012年版より脂質のことだけでなく、動脈硬化性疾患予防のための生活習慣の改善や食事など包括的な治療の必要性も盛り込まれたこともわかった。
さらに日本人間ドッグ学会の新基準(2014年)や日本内科学会冊子(2015年)、米国心臓学会/米国循環器学会ガイドラインの概要(2013年)、厚労省「日本人の食事摂取基準2015版」などだされ、それに対して日本動脈硬化学会で見解を発表した。このような経緯を経て、2017年版が発表された。
動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017年版の主な改訂ポイントは、以下の通り。
これらの内容をさらに生活習慣の改善および食事指導など詳細なスライド資料として配布いただいた。脂質異常に治療は大変重要であり、今後の生活指導、食事指導にすぐに生かしていける講義だった。
栄養クリニックにおける2017年10月コースのヘルシーダイエットコースのメニューを、第1回目から10回目まで写真にて提示し、メニューのポイント等に関して詳細な説明をいただいた。
第1回(さいころステーキ弁当)
第2回(豚ひき肉とメッシュルームのハンバーグ)
第3回(めかじきのカレー煮)
第4回(鶏のから揚げ)
第5回(豚肉とねぎのそば)
第6回(和風カレー)
第7回(鮭の焼き漬け)
第8回(ぶりの照り焼き)
第9回(薄切り肉のビーフシチュー)
第10回(あじの胡麻焼き)
実際の指導では、「バランスを目で覚えてもらう」「定番料理で皆が食べたいものを取り入れる」「麺の食べ方を教える」「量と食べ方の問題を教える」など、毎回のテーマに沿って、おいしく再現性のなる料理を提供し、料理を作る楽しさも感じてもらえるような工夫もしている。
さらに、話題になっている「サバ缶料理」も紹介していただいた。発行されている料理本に掲載されていないメニューを紹介いただくなど、先生の熱い思いがあふれ出る講義だった。
〔取材 香友会広報部〕