コロナ禍の中で~卒業生の職場では~

みない きぬこ

料理家、フードコーディネーター(東京都)
学部平成20年卒業


 雑誌、WEB、テレビ、CM、広告などメディアを通じて料理を伝える仕事をしています。
昨年4月の緊急事態宣言発出後、5月の仕事はゼロでした。仕事上の対策として、他業種の方もマスクを着用し消毒などをおこないました。お茶や取り皿は各自ペットボトルや紙皿など使い捨てのものを使用し、試食無しということもありました。雑誌などの編集は、二次使用や合併号、休刊というところもあったようです。
 宣言解除後は、少しずつ仕事も増え、通常に戻りつつありましたが、現場の人数を減らすため、クライアントチェックはリモートでおこなう撮影が多かったです。
 また、オンライン料理教室も始めました。生徒さんには事前にレシピを送り、同じ食材とある程度までの仕込みをしておいてもらいました。時間が来たら参加してもらって始めるのですが、環境がそれぞれ違うので多くの品数は作れず、足並みを揃えて完成に向けていくので、確認しながらの声かけが大変でした。最後は完成品を見せあいながら「いただきます」をして終了しました。細かい部分はやはり伝わりにくいですし、生徒さん同士相談し合うことができず、自分で判断しなくてはいけないので不安もあったようです。実際の料理教室の方がやりやすいと感じました。
 現在は完全とまではいかないですが、オンラインでの打合せや、マスク必着で換気しながらの撮影、ソーシャルディスタンスをとった試食で進めています。また企画内容が、おうちごはん、子どもと作る料理などが増えた気がします。
 コロナ禍でも毎日の食生活、家族に作る食事は特に変化はありませんでした。いろいろなことが慌ただしく、情報、仕事のエネルギー量が多かったのではないでしょうか。それらを7割にしてゆっくりと時をまわし、今ある資源を大切に丁寧に消費していくということに気づかされました。
 理想は以前のように過ごしたいものですが、時間や物、生活などを、ゆっくりと使っていくと良いと思います。また、先のことはわからないのですから、メディアやコメンテーターは否定する発言やバッシングなどに偏らず「私はこういう工夫をしているよ」のような発信で、人にやさしい人間になれると良いと思いました。