令和8年度 食文化栄養学実習

竹内由紀子ゼミ■食文化研究室


日本ワイン産業における甲州種の固有性と意義

本研究は日本ワインの中でも甲州ワインに着目し、その価値形成を歴史的背景から考察する。甲州ブドウは約1300年前に伝来したとされ、日本の風土に適応しながら受け継がれてきた日本固有のブドウ品種である。『本朝食鑑』には甲州が主要産地として江戸へ流通していたことが記され、近世において既に高い価値を持っていたことがわかる。また近年のSNPs解析では、甲州がビニフェラ種と東アジア系野生種の特徴を併せ持つことも明らかとなっており、日本独自の風土や文化、歴史の中で長い年月をかけ形成されてきた品種であることがうかがえる。本研究を通して、その歴史的魅力を広く伝えたい。

ご当地菓子パンの探求

本研究は、その地域で親しまれているご当地菓子パンについて埼玉県を対象に調査している。現在、「春日部プリンパン」を例として取り上げ、埼玉県のご当地菓子パンの展開の実態を調査しているところである。春日部プリンパンとは名前の通りプリンとパンが組み合わさったもので、春日部市周辺で製造販売されている。春日部プリンパンを対象に選んだ理由は、まず、プリンが幅広い世代に親しまれているということと、プリンが丸ごと1個そのまま使われているというのが、見聞きした時にインパクトがあり、印象に残りやすいと感じたためだ。本研究を通して、ご当地菓子パンの魅力を明らかにしたい。

沖縄の食文化

私は、自身のルーツとも関わる沖縄を対象に、食文化とその背景にある歴史・文化について研究している。沖縄は琉球王国時代から交易を通して独自の文化を形成し、その歴史の流れから現在も本土とは異なる風習が残っている。本研究では、旧暦で行われる年中行事に着目し、その代表例として清明祭(シーミー)を取り上げる。清明祭とは、4月に行われる先祖供養の行事のことである。亀甲墓に親族で集まり、ご馳走を食べながら賑やかに過ごす。このような墓前で食事を共にする風習は、本土にはあまり見られない沖縄独自の文化である。中間発表では、この清明祭を中心に沖縄の食文化について発表する。

居酒屋の歴史的変遷と飲酒空間の比較

本研究では、日本における居酒屋の歴史的変遷を整理し、他の飲酒提供業態との比較を通してその特徴を明らかにすることを目的とする。江戸時代に酒屋が店内で酒を提供するようになった点に着目し、煮売茶屋でも酒が提供されていた点を踏まえ、居酒屋の成立と発展過程を検討する。また、バーやパブなどの業態との違いを、利用形態や価格帯、店舗の雰囲気や人々の交流の在り方といった観点から整理しながら、居酒屋の定義について考察する。さらに、時代ごとの変化を踏まえ、人々の生活や価値観が居酒屋の在り方に与えた影響についても考察し、今後のニーズや利用形態の変化についても検討する。

日本における皇室と食文化

皆さんは皇室について、どの程度ご存知でしょうか。明治になり開国し、西洋化を進めた日本では、天皇・皇室は諸外国との外交において重要な役目を果たしてきました。皇室外交は、天皇皇后両陛下をはじめ、皇族の方々による様々な国際親善があります。中でも皇室が催す宮中晩餐会は、最も重要な場面の一つです。本発表では、その晩餐会で提供されてきたメニューをはじめ、皇室と関連する食文化について紹介したいと思います。宮中晩餐会では、御料牧場などで生産された食材も使われていました。中間発表では、その御料牧場や園遊会で提供されている食事についても報告します。

おにぎりの魅力に迫る

本研究は日本人に身近なおにぎりの魅力と、時代を超えて支持され続けている理由を明らかにすることを目的とする。おにぎりは携帯食・保存食として生まれ、現在では家庭からコンビニ、高級専門店まで幅広く親しまれている。本研究では、手軽さや具材の多様性といった機能性、家庭の味や母の味が与える心理的価値、さらにコンビニでの普及や高級化など現代的変化を考察する。また、現地調査やSNSでの発信を通し、おにぎりが日本の食文化や価値観を反映する存在であることを伝えたい。おにぎりは単なる食べ物ではなく、人々の記憶や感情にも深く結び付く点にも注目する。

“かわいい”は誰が決めるのか
現代社会におけるルッキズム

自分のダイエット経験から、現代女性にとって痩せることは単なる健康管理ではなく、外見評価や社会の価値観と深く関係していると感じてきた。本研究では、ダイエットの定義や理想の外見がどのように形成されるのかを、ルッキズムの視点から考察する。特に、アイドル体型や肌の色に対する価値観、SNSやAI加工による「理想像」の拡散に注目する。また、太りやすい人・太りにくい人へのインタビューを通して、体質だけでなく周囲の視線や社会的影響についても分析し、現代社会におけるルッキズムの実態と課題を明らかにする。さらに、多様な美の価値観についても考察していきたい。

抹茶のゆくえ
本来の抹茶を継承し続けるために出来ることは何か?

現在、抹茶は世界的ブームを迎え、その需要が爆発的に高まっている。しかし、その裏では、かつて茶道文化の主役として発展・継承されてきた本来の抹茶が、継承の危機に瀕している。実は、抹茶ラテや抹茶スイーツなどに使用される抹茶の多くが食品加工用抹茶で、茶道に置いて継承されてきた碾茶由来の抹茶とは、厳密には異なるにも関わらず、同一のものとして認識されている。本研究は、そんなブームの渦中で発生した課題を起点に「本来の抹茶や抹茶文化を継承し続けるために出来ることは何か」模索し実践することが目的だ。中間発表では、さらに抹茶の実態や業界の現状、今後の方向性などを提示する。

フランス料理のカトラリーのイメージと実際

私はフランス料理におけるカトラリーの提供方法のイメージと、実際の多様なスタイルの違いを探求している。大学2年次に参加したヨーロッパ料理研修で、本場フランスのコース料理を体験した際、自身がイメージしていた「カトラリーが最初から並べられている」形式ではなく、「料理ごとに提供される」スタイルを経験した。これはカジュアルな店に限らず、格式のある店舗でも同様であり、その違いに興味を持った。さらに、学園内留学で学ぶ中で、フランス料理にはさまざまな提供スタイルがあることを知り、カトラリーの提供方法はどのように使い分けられているのか調査している。

いちごの魅力を掘り下げる

本研究では、日本におけるいちごについての食文化に注目し、日本独自の発展を遂げた背景と現代における役割を明らかにすることを目的とする。調査では日本発祥のいちごのショートケーキに着目し、海外のいちごスイーツと比較を行うほか、イベントへの参加や店舗への実地調査を通じ、日本人がいちごに抱く文化的イメージを分析している。いちごは単なる食材を超え、祝事や季節行事と密接に結びつき、日本人の生活に深く定着している。今後は、なぜ日本でこれほどまでにいちごが愛されているのか、その歴史的背景や、赤と白の色彩が持つ意味、日本の食文化におけるいちごの存在意義を考察する。