令和7年度 食文化栄養学実習

堀端薫ゼミ■給食システム研究室


スパイスで心も体も健康に

   “スパイス”と聞かれると、多くの方は料理に香りを付けることや食材に色を付けるなどで、スパイスを使用すると思います。しかしそれだけはありません。スパイスと少量の調味料で"塩味が増強する"効果があることもご存知でしょうか。スパイスを使って塩味が増加することが本当に可能なら、高血圧でお困りの方や塩分を気にしている方など、多くの方に魅力をお伝えできるのではないかと考えました。そのため、本研究の目的は、より多くの人にスパイスとはどのようなものなのかを知っていただき、スパイスを身近なものにできるように広めていきたいと考えております。
   なぜスパイスなのかというと、大学2年生の頃に講義で習ったことがきっかけでした。私自身、最初はスパイスにあまり関心はありませんでした。しかし、講義でスパイスのことについて習っていくうちに、スパイスの奥深い魅力を知ってしまいました。それが”スパイスと減塩”のことでした。他にも、スパイスの種類豊富なことや自由多彩に使えることも魅力的でした。
   中間発表では、スパイスとは何か、スパイスでもたらす効果などを重点的にお話しました。他にも、日本人の食塩摂取量について、なぜ国から減塩しなさいと言われ続けているのかなどを発表しました。本発表では、スパイスと少量の塩分で効果を発揮できるのかという検証結果、普段の料理にスパイスを加えるとどのくらい減塩できる且つ美味しいのか、スパイスを多くの人に知ってもらうためのリーフレット作成したものについて発表します。
   本実習を通して、スパイスはどういうものなのか、なぜ減塩をしないといけないのかなど深く学ぶことが出来ました。そのおかげで、健康に気を使った生活や自分からスパイスを使用して料理を行うなど、自分の研究に役立てていると感じています。そのため、この発表を通して、スパイスや高血圧のことを少しでも興味を持っていただけるきっかけになってくれたら嬉しいです。

オーイズミフードガイド

   私は旅行先でご当地グルメを食べ歩くことが好きである。これまでさまざまな地域を訪れる中で、「どこに行けば失敗しないか」「観光地で本当に美味しい店はどこか」と迷うことが多かった。SNSなどに情報はあふれているが、実際に訪れた人の視点で整理されたガイドは少ないと感じた。そこで、旅行者が参考にできるような実用的な食のガイドを作ろうと考え、「オーイズミフーズガイド」を企画した。
   このガイドでは、私自身が訪れた店を対象に、感覚だけでなく客観的な評価を行うことを重視した。評価項目は「価格」「味」「雰囲気」「アクセス」「見た目」「提供スピード」「再来度」の7項目で、それぞれを5段階で評価している。特に“再来度”は、もう一度訪れたいと思えるかを基準とする独自の指標であり、満足度や印象の強さを表すために導入した。
   掲載目標は25店舗で、現在は関東と九州の一部を中心に調査を進めている。お店の選定では、チェーンよりも地域密着型や地元で評判の店を重視した。印象に残ったのは、宮崎の店舗Aでは、初めて鳥の生肉を食べたが、上品で臭みがなく、店内も清潔で落ち着いた雰囲気があった。味だけでなく価格や提供スピードの面でも満足度が高く、地域の食文化の魅力を実感した。
   情報整理の方法にも工夫を加え、店舗ごとに写真や所在地、価格帯を表形式でまとめている。7項目の評価結果を見比べることで、目的に合ったお店を選びやすくした。また、評価の基準やコメントを可視化することで、個人の感覚に頼らない客観的なガイドを目指している。
   この取り組みを通して、地域の名産物を知ることの大切さと、情報を整理して発信する難しさを学んだ。同じ店でも人によって印象が異なるからこそ、根拠をもって伝えることが重要だと感じている。発表会までに掲載店舗を増やし、地域ごとの特色をより明確に示すとともに、誰もが手軽に利用できる形でまとめていきたいと考えている。

無印良品の食品の魅力

   衣服・生活雑貨・食品を取り扱う『無印良品』でアルバイトをしている私が、無印良品の特に食品の魅力をより多くの人に伝えるべく、SNS(Instagram)を中心に宣伝活動を行っています。新商品やおすすめ商品の紹介はもちろん、商品を使用したアレンジレシピも紹介しています。中間発表では無印良品の食品について調査し、またSNSを運用した中での課題と今後の発展、こだわりについて発表しました。
   私はアルバイトを始めて、まだあまり知られていない商品がたくさんあることを知り、本学で学んだことを生かして無印良品の食品の魅力を発信することはできないか、と思いこの研究を進めることとなりました。
   中間発表からの半年間で、3種類のアレンジレシピを考案しました。(10月11日現在)インスタントのチャイと瀬戸内レモンのドライフルーツ使用した『チャイレアチーズケーキ』、海老のビスクスープと野菜チップを使用した『海老ピラフ』、米粉のパンケーキミックスと芋けんぴを使用した『さつまいも蒸しパン』の3種類です。また、新たな試みとして、勤務先の店舗にてフリーペーパーの設置をさせていただきました。普段SNSを利用しない方にもこの活動を知っていただけるきっかけになればと思い、Instagramで投稿したアレンジレシピを、フリーペーパーとして配布しております。最終発表では、約1年の研究を通して感じたSNS発信の難しさや、宣伝したことでどんな反応があったのか、アレンジレシピを提案するうえで意識していたことについて、様々な視点から考察した結果をご報告させていただきます。
   この活動を通して、無印良品の食品の魅力を知ってもらうことはもちろん、女子栄養大学での学びを活かした栄養に関する情報発信も同時に行い、閲覧した方々の食生活の一部になれることを望んでいます。

タイカレーの魅力
タイカレーと日本の家庭料理との融合

   私がタイカレーに興味を持ったきっかけは、両親がタイ料理を好んでいたことである。家庭でタイカレーを食べる機会があり、そこから自分でもタイ料理店を巡るようになった。さらに実際にタイを訪れ、現地の食文化に触れたことで、タイカレーの奥深さにより強く惹かれるようになった。
   中間発表までは、タイカレーの歴史や地域による違い、日本での浸透の仕方などを調査した。その結果、日本ではグリーンカレーなど限られた種類しか知られておらず、まだあまり身近な料理ではないことが分かった。そこで、タイカレーと日本の家庭料理を組み合わせた「グリーンカレー肉じゃが」と「マッサマンカレー炊き込みご飯」を試作し、食べやすく親しみやすい味を目指した。
   また、中間発表で試作した「グリーンカレー肉じゃが」では、タイカレーに馴染みがない友人に試食してもらったところ、スパイスの香りと和風だしの甘辛さの調和が課題となった。「マッサマンカレー炊き込みご飯」では、タイカレーの味は強く感じられたが、ココナッツミルクを加えたことで少しリゾットのような食感になり、炊き込みご飯らしい軽さを出す工夫が必要であると感じた。
   その後、新たな組み合わせとして「グリーンカレー親子丼」を考案し、ゼミの教員や学生に試食してもらった。その結果、「グリーンカレーの味はするが親子丼としては少し違和感がある」「味のまとまりが難しい」といった意見が得られた。実際に作ってみると、親子丼の出汁の優しい旨味とグリーンカレーの辛さやココナッツミルクのコクのバランスを取ることが難しく、両方の良さを生かす工夫が必要であると感じた。
   これまでの試作と意見をもとに、辛さやココナッツミルクの量、出汁や香りのバランスを調整しながら改良を行い、より多くの人が親しみやすいタイカレーの新しい形を追求した。その結果、タイカレーの特徴であるスパイスの香りやココナッツミルクのコクを生かしつつ、日本の家庭料理にも馴染む味の方向性を見いだすことができた。今後もこの成果をもとに、家庭でも手軽に楽しめるタイカレー料理の可能性を広げていきたいと考える。