令和2年度 食文化栄養学実習

守屋亜記子ゼミ■食生活文化研究室


日韓の学校給食の比較
保護者の関わり方を中心に


【実習背景・目的】私はインターネットニュースにおいて「2021年からソウル市内でオーガニック無償給食を提供する」という記事を読み、韓国の学校給食に興味を持った。韓国で予備調査を行ったところ、韓国の初等学校(日本の小学校にあたる)では保護者が食材の検収や配膳に関わっていることを知った。そこで、日本でも給食に保護者が関わるのか、保護者が関わることにより給食に具体的にどのような影響があるのか興味が湧き、日韓の学校給食の比較を行うことにした。本実習では、両国の給食に対する保護者の関わりの有無とその背景および保護者が関わることによる給食への影響について考察する。
【実習内容】中間報告では、文献調査を基に日韓の学校給食の歴史についてまとめた。そこから両国の学校給食は似た歴史を辿ってきたことが分かった。日韓の学校給食の発祥は1900年前後で、その目的は貧困児童の救済であった。その後、日本は第2次世界大戦、韓国は朝鮮戦争を経て、栄養失調児の救済を目的にユニセフの援助による脱脂粉乳やパンの給食を開始した。そして日本は1954年、韓国は1981年に学校給食法が定められ、学校給食が制度化された。中間報告後、日韓の学校給食の現状と保護者の関わり方について知るため、埼玉県東松山市の学校給食センター、新座市の中学校、韓国のソウル特別市の初等学校にそれぞれ勤務する栄養教諭および栄養士にインタビュー調査、アンケート調査を行った。また、両国の保護者にインタビュー調査を行った。その結果、日本では保護者が給食の食材の検収や配膳に関わることはないが、韓国では週に1回程度、保護者が主体となり食材の検収と配膳の衛生管理の状態を点検していることが明らかになった。今回の発表では、これまでの調査結果を基に、日韓の給食に対する保護者の関わり方や考え方を分析し、保護者が関わることにより給食にどのような影響があるのか考察する。