令和2年度 食文化栄養学実習

守屋亜記子ゼミ■食生活文化研究室


炭火でごはんをつくる
~七輪を使った生活~


【実習背景・目的】私は七輪や炭火を用いた調理が趣味である。しかし、この魅力を誰かに伝えるとなると「炭火で焼くから美味い」など、情緒的で漠然としか伝えられないことに気づいた。そこで、七輪や炭火を用いた調理の魅力を根拠を持ってしっかり伝えられるようになりたいと考えた。本研究の目的は、IHなどデジタルな調理が定着しつつある今、炭火というアナログな熱源や七輪といった道具で調理する知恵と技の可能性を見直すことである。
【実習内容】中間報告では、七輪や炭についての歴史や効果、日本の熱源史についてまとめた。七輪は江戸時代に普及し、現在は煮炊き物と焼き物それぞれにラッパ型、平形と向く形があり、炭は日本では約30万年前から調理などに用いており、炭火焼きは燻煙効果や赤外線効果がその美味しさを生み出していることがわかった。また、七輪生活やフィールドワークの学びから、黒炭と白炭という炭の種類の違いや、火起こしや火の始末の際の炭火の扱い方についてわかった。
 今回の報告では、中間報告後に行った七輪生活や稲城炭焼き倶楽部でのフィールドワーク、webサイトでの発信について発表する。七輪生活では、文献調査やガス火調理との比較を通して学んだ炭火や七輪の扱い方や調理のコツを活かし、トーストや白飯、味噌汁などを実際に七輪で調理し、最終的に1週間の七輪生活を行った。フィールドワークでは引き続き稲城炭焼き倶楽部で、実際に里山の中で炭焼きを体験し、竹炭や約300kgのシラカシの黒炭を作ることができた。また、これまでの活動をweb サイトで発信し、そのコミュニティでの交流を通して、趣味としての現在の七輪や炭火の使い方について考察する。最終的に七輪や炭火を用いた調理の魅力や、これらを用いて調理する知恵と技の可能性を追求し発信する。