令和2年度 食文化栄養学実習

守屋亜記子ゼミ■食生活文化研究室


和菓子におけるイチゴの存在価値
〜イチゴ大福を例に〜


【実習背景・目的】私がイチゴ大福を題材に研究しようと決めたのは、幼い頃の思い出があったからだ。家族旅行の帰り、皆で食べたイチゴ大福の美味しさに私は魅了された。本研究ではイチゴ大福を通し、イチゴが和菓子の素材となり得た理由、和菓子におけるイチゴの存在価値・イチゴを使用した和菓子のこれからについて考察することを目的とする。
【実習内容】中間報告では、文献調査を通し、イチゴ・和菓子・イチゴ大福の歴史をまとめた。イチゴは江戸時代にオランダから伝来し当初は観賞用、1919 年以降食用として広まった。1922 年に不二家でショートケーキが発売され、その後イチゴののったクリスマスケーキが定番になったことで、イチゴと洋菓子が結びついた形で一般に定着した。1985 年には東京の和菓子処大角玉屋でイチゴ大福が考案され、イチゴと和菓子の組み合わせが誕生した。これを邪道とする意見もあったが、この新奇性が評判になった。中間報告後、大角玉屋の社長に考案背景や使用するイチゴの条件について伺った。その結果、水分量が少なく固めで酸味が強く、円形で大きめのものが最適であるとわかった。またイチゴ農家にて栽培方法や品種改良の現状、和菓子屋に納めるイチゴの条件についてインタビューを行った。収穫されたイチゴは取引先の和菓子屋ごとに、店の条件に適した形、大きさ、色のものを納入していると判明した。さらに食べ手側がどう認識しているのか知る為、インタビュー及びアンケートを実施した。そして、和菓子屋及び消費者がもつイチゴ大福の捉え方について比較すると、両者ともに季節感を重視しているとわかった。本発表会では、フィールドワークで得られたデータを基に、和菓子におけるイチゴの存在価値について考察した結果を発表していく。