令和2年度 食文化栄養学実習

藤倉純子ゼミ■健康情報科学研究室


将来、田舎でカフェを経営したい


 私には「将来、田舎でカフェを経営したい」という夢がある。実習目的は、地域活性に繋がり長く経営できるカフェの特徴をまとめ、地元の気仙沼市にある空き家をモデルに、将来のカフェ開業のための基礎資料を得ることである。そのために、「田舎カフェの市場調査」、「地域活性化につながり、長く経営できるカフェの特徴」、「将来の田舎カフェを考案」の3点について調査、検討を行った。
 田舎カフェの市場調査から、田舎カフェには共通して「人に愛される魅力」があることが分かった。また、立地による集客戦略を徹底的にすること、他のカフェとの差別化を明確にすること、対象地域の人々に寄り添った+アルファの価値を提供することが重要だと分かった。
 モデル店舗のある気仙沼市の直近課題として、4人に1人が後期高齢者になる「2025年問題」、全国の空き家率が13.6%(平成30年)で過去最高になっている「空き家問題」がある。以上を踏まえて、モデル店舗では高齢者をターゲットとし、「空き家を有効活用したリノベーションカフェ+心も体も健康で幸せになれる空間」を作りたい。リノベーションは、日本の良き伝統を後世に引き継ぐことが出来る。また、リノベーションにより多くの人が関わることで、自然とカフェが人々のコミュニケーションの場になる。私が考案する店舗コンセプトは「人と人を繋ぐ」、メニューコンセプトは「医食同源、身土不二」、高齢者向けのコンセプトは、趣味娯楽分野(料理体験、ハイキングからのカフェでご飯ツアー等)、飲食分野(丁寧な料理、宅配食サービス)である。モデル店舗は「日常の一部にしたくなる、親しみやすい居場所」を提供し、人と人が寄り添える交流の拠点にしたい。最終的に、仮想ホームページを作成し、このカフェがターゲットのニーズに適しているか、魅力的に思うか評価を得て、将来の参考にする。"



これ食べられる?
~ゲームの作成~


 毎年自然毒食中毒により、3、4件の死亡事故が起きている。この事例に注目し、毒性を持つ植物、動物、キノコについて知識が自然毒食中毒の発生減少に寄与すると考えた。そこで、それらを学べるエデュテインメント型ゲームの製作を研究テーマに決めた。自然毒の中でも、致命率の高い植物性自然毒食中毒に焦点を当てたゲームにすることとし、ゲーム対象者は高校生、大学生とする。
 試作段階では、3DアクションRPGゲームの製作をしていたが、パソコンのスペック不足により、2Dゲームへ転向することにした。2Dゲーム製作のツールには「WOLF RPGエディター」を使用。ゲームはドット絵で構成されており、キャラクター規格は16×16である。ドット絵で表現できない細かいキノコの柄や植物の違いは写真を挿入により分かりやすくした。ゲームの種類は、毒を扱うことから、怖いというイメージを抱かせるために、ホラーアドベンチャーゲームを選んだ。内容は、森で迷った主人公が不気味な家に入りこんでしまい、そこからの脱出を目指すものである。戦闘は基本的にはなく、逃げたり、道具を使ったり、頭を使って考えることで話を進めていく。アクション要素に食中毒についての内容を盛り込み、解決していくごとに理解が深まるように工夫した。ゲーム内に出てくる植物性自然毒は誤食されやすい水仙やトリカブト、危険性の高いカエンタケなど全10種類である。また、原因食品とよく似て間違えられやすいニラやサトイモなどもアイテムとして使用する。ゲーム時間は60分を想定し、設計した。
 ゲーム完成後、対象者にプレイしてもらう際、ゲームプレイ前後で自然毒についてのテストを行い、知識の定着有無の確認を行う。また、事後アンケートにより、ゲームの操作性やエデュケーション面及びエンターテイメント面についてゲーム自体の評価を得る。



地域交流に根ざした私の理想の子育て
ARを活用した食育風景


 世界幸福ランキング上位国であるデンマーク発祥の「森のようちえん」は、主に野外で活動し、自然に触れながら子どもの感性・主体性を育てていく自然体験活動を基礎にした幼少期教育を行っている。日本でもこの10年間で増加していることに着目し、地域交流に根ざした「地域と一緒に育てていく子育て」をテーマに子育ての楽しさを追求し、実践することにした。地域交流の調査では「日高くるくるねっと」ニュースレター記事提供、広報、畑メンバーの一員として活動し、また、パーマカルチャーの勉強として、自然と共に生きる暮らし、持続可能なまちづくりを目指す「トランジションタウン高麗」畑メンバーの一員として活動しながら、本質的な豊かさを求め自然の暮らしを実践している。食教育現場に参加した様子をARを活用し、ポスターやリーフレットなどの紙媒体から情報発信できるようにムービーを作成した。
 昨今子ども達のアレルギーが増加しており、除菌など「過剰なまでの衛生環境」がアレルギー疾患に関係しているともいわれている。「森のようちえん」では、子どもたちが泥だらけで遊び、山登りや散歩など日中の活動を外で過ごすことが多く、農作業にも抵抗なく参加していることから食べられる野草の知恵がついている。これらの教育を目の当たりにして、私は子どもたちが風邪もひかずに丈夫に育っている理由を知った。そこで、幼少期からの自然体験の経験有無と、アレルギーとの関連を調べるために、大学生を中心にアンケート調査を行った。その結果、衛生面を気にしない回答者に対し、「キレイ好き」や「潔癖症」だと自覚ありと回答した者は成人発症のアレルギーが有意に多かった。これらのことから、幼少期の頃から自然に触れることの重要性は、将来の免疫力と自立心、そして幸福感にもつながるのではないかと考えた。子どもは子どもらしく、ひと昔前の日本のように元気で外で遊ぶことを提案していきたい。