令和2年度 食文化栄養学実習

衛藤久美ゼミ■国際協力学研究室


手軽にアフタヌーンティーを
ティータイムをより華やかに


 もともと好きだった紅茶について調べる中でアフタヌーンティーに興味を持った。アフタヌーンティーは紅茶と軽食やお菓子を一緒に楽しむことができるが、上品なイメージがあって手が出しづらいという声もある。そこでもっと多くの人にアフタヌーンティーの楽しさを知ってもらうために、手軽に楽しめるアフタヌーンティーを提案することを目的とした。
 最初に提案するメニューを決めるために、ホテルやカフェの公式ホームページに掲載されているアフタヌーンティーのメニュー分析を行った。セイボリー、スコーン、ペイストリー、紅茶という組み合わせが基本であり、どの店舗でもペイストリーの種類が一番多いことがわかった。これらを参考に定番、夏、ハロウィンの3つをテーマにしたアフタヌーンティーを提案することにした。次にアフタヌーンティーには欠かせないスコーンのレシピを考案した。本やウェブサイトに掲載されているレシピを基に、材料の配合や分量、焼き時間の調整を何度も行い、一番きれいに焼ける方法を考案した。最後に定番、夏、ハロウィンの3つのテーマでアフタヌーンティーを制作した。料理だけではなく、テーブルコーディネートもテーマに合わせて工夫した。そして提案する3つのアフタヌーンティー、紅茶やアフタヌーンティーの歴史、茶葉などについてまとめた冊子を作成した。
 今回はほとんどを手作りしたため、制作時間が掛かるなど大変な点もあったが、家でも手軽にアフタヌーンティーを楽しむことができることがわかった。全て手作りではなく、購入した軽食や菓子を組み合わせるのも楽しむ方法の一つだと思う。作成した冊子や発表を通して、アフタヌーンティーが身近なものになってほしい。



和菓子と暮らす
―食育カレンダーで和菓子の魅力を伝えたい!―


 若者の和菓子離れが進む現代、学校や家庭で和菓子を学ぶ機会がほとんどないことに気付いた。そこで、一人で調理や買い物をするなど、時間の使い方を自分で決められるようになる中学・高校生を対象に、「日本の伝統と和菓子文化を身近に感じてもらう」ことを目的とした食育カレンダーを作成することにした。今回は、和菓子の実態調査の結果と、作成した和菓子の食育カレンダーについて発表する。
 実習1では、食文化栄養学科の学生を対象に、中学・高校時代の和菓子との関わり方の実態調査をWeb アンケートにより実施した。その結果、中学・高校時代に洋菓子を週3 回以上食べていたのは59%だったが、和菓子を週3 回以上食べていたのは13%で、和菓子より洋菓子の方が喫食頻度が高かった。さらに、和菓子の中でもせんべいやだんごのようにスーパーやコンビニで買える和菓子は喫食率が高いが、正月の花びら餅などのように和菓子屋でないと買えないものは喫食率が低いことがわかった。
 実習2では、文献調査や実習1 のアンケートの結果をふまえて、和菓子に苦手意識がある人でも食べたくなり、家庭で手軽に作れる和菓子の食育カレンダーを作成した。12ヶ月分15種類の和菓子を作り、ひと月ごとに季節の和菓子の写真を載せ、裏面にはレシピや和菓子のコラムを記載した。レシピは中学・高校生でも作りやすいように工夫した。また、カレンダー用の写真撮影では、見た目が可愛らしく、食べたくなるような写真になるよう意識した。
 実習を通して、和菓子の種類や作る材料について知っている人があまり多くないと感じた。私自身、今回のカレンダー作成で和菓子の魅力をさらに知ることができた。この食育カレンダーを見た中学・高校生が和菓子と日本文化の繋がりや奥深さを感じ、和菓子により親しみを持ってくれることを願っている。



フェイク料理で健康的に!
~楽しくおいしい料理を作ろう~


 私はアレンジ料理を作るのが好き、健康的な料理を作りたいという思いがある。また、アレンジ料理のレシピを調べた際、フェイク料理という本来の食材を使わずに、他の食材で本物に似せて作る料理がある事を知った。これらのことから、おいしさはそのままに、より健康的なフェイク料理を提案することを実習の目的とした。中間報告では料理コンテストへの参加やスーパーなどで販売されているフェイク食材の市場調査結果について報告した。今回は自分で作ったフェイク料理と、その情報発信について発表する。
 ベジタリアンや健康志向の人向けのカフェでの市場調査、レシピ本、レシピサイトを参考に、ちくわぶや麩、大豆ミート、おからこんにゃくなどの食材を使ったフェイク料理を25以上考案した。フェイク料理と元の料理の栄養価を比較した結果、特にエネルギー量が低かったものが6 料理、たんぱく質量が多かったものが4 料理、食物繊維量が多かったものが9料理だった。また、考案したフェイク料理のレシピをインスタグラムで発信した。週に1回、1~2料理のレシピと、使ったフェイク食材の情報を掲載し、2020年10月23日までに12回、計23料理を発信した。投稿1 週間後のいいねの数を集計した結果、1番いいねが多かったものが「大豆紅茶クッキー」(43いいね)、2番目は「肉なし牛丼」(31いいね)だった。
 実習を通して、様々な食材で多くのフェイク料理を作ることができることが分かった。また、料理コンテストへの出場やインスタグラムで料理を紹介するという体験から、料理を作る楽しさや難しさ、おもしろさを実感することができた。ぜひ、フェイク料理というおいしさはそのままに、しかし元の料理よりも健康的な料理を健康志向の方や料理が好きな方に作ってもらいたい。



腸活で腸スッキリ生活


 私はもともと腸の調子があまり良くなく、便秘や下痢の症状に多々悩まされてきた。そのため、食事を通して腸の調子を整えるにはどうしたら良いのか、これまで腸活について様々な情報を調べてきた。今回の発表では、これまで調べてきたことを踏まえて、腸の不調の原因と改善方法を検討することとした。
 前回の中間報告では、栄養に関する雑誌として「栄養と料理」2017 年~ 2019 年の過去3 年分計36 冊を取り上げ、腸活・腸に関する掲載記事を年別・月別に比較を行った結果、合計77 件の記事を抽出した。
 今回は、これらの記事を更に深く掘り下げて読み、記事から得た腸活・腸に関する情報や知識をもとに、下痢や便秘になってしまう主な原因を整理した。その結果、下痢の原因として「1. 冷え」、「2. ウイルスや細菌」、便秘の原因として「3. 排便を我慢」、「4. 排便の力が弱い」、下痢と便秘に共通する原因として「5. 不規則な生活」、「6. 不規則な食習慣」、「7. ストレス」、「8. 食物繊維摂取が不十分」、「9. 発酵食品摂取が不十分」、「10. 身体に合わない食材」の10 個があることがわかった。そして、10 の原因別に具体的な改善方法を検討した。原因8 ~ 10 については、食事で改善できるよう、各原因に合ったレシピを幅広い世代に向けて考案した。また、これらの改善方法を踏まえた「腸スッキリ生活」を発表者自身が実践し、腸の調子や体調がどのように変化したのかを記録した。
 腸活・腸に関する情報がメディアや書籍・雑誌を通して既に多く発信されていることがわかった。腸をスッキリさせて良い生活を送るため、今回提案した10 の改善方法が、日頃腸の調子が良くない人が症状を少しでも改善するための手助けとなればと考えた。また、コロナ禍の中、腸活によって免疫力アップするいい機会ではないかと考える。