令和2年度 食文化栄養学実習

浅尾貴子ゼミ■フードマーケティング研究室


食事もデザートも「UMAMI」のメニュー開発
制約の多いカフェの料理考案と商品化の記録


 新宿ルミネ1の「wired bonbon」にて、旨味食材をテーマにメニュー開発を行いました。
〇開発メニューについて 「出汁」やその相乗効果を生かしつつ、カフェらしさのある盛り付けを意識してメニューを考えました。春は「ホタテのあんかけオムライス」、夏は「旨み抹茶ワッフル」秋は「お出汁香る明太グラタン~秋仕立て~」冬は「鶏と野菜のみぞれ出汁」を考案しました。
〇開発の背景 素材からとった出汁の魅力に感動した経験がきっかけで、出汁や旨味をテーマに設定し、お客様のニーズを考えました。また、実際に店舗でアルバイトしながら、キッチン環境や作業工程を考慮し、制約の中で調理可能であるかの検討を行いました。店舗の方とのコミュニケーションを大切にし、調理の簡略化や、考えたことが伝わるように工夫して書類にまとめました。さらに、キャプションの作成や、メニュー表の撮影など、実際に商品化に至るまでの流れを経験することができました。
 発酵調味料でアレンジをしたり、家庭料理と違う盛り付けの工夫をすることが重要であると実感しました。
◯約1年半のゼミを通して 小売企業の商品開発やオンラインゼミでの創作課題に挑戦し、食材の可能性を知ったり、広い視野で考える訓練ができました。坂出金時いもアイデアコンテストでは、今まで研究してきたことを踏まえ、「芋×抹茶」2種類の旨味食材を合わせたスイーツを提案しました。憧れていた商品開発は、想像以上に大変で、新しいもの、かつ、お客様が求めているものを考える難しさを知りました。毎回のゼミでそれぞれのテーマに対しての意見交換を繰り返すことで、10人分の情報や知識量を増やしました。商品開発を学生で経験できたことは、社会人になる準備として大きな財産になりました。



美味しくヘルシー!お魚定食のメニュー開発
~外食企業のランチ考案と調理の工夫まとめ~


 ダイヤモンドダイニングが運営する和食店「隠れ房南青山」にて、ランチメニューの開発を行いました。身体に優しい「青魚」と料理に香りを添える「香味野菜」の組み合わせがテーマです。
 昨年8 月にゼミ活動を開始してから、まず小売業の企業に向けて商品提案をし、開発の基本と流れを知りました。企画書に一貫性をもたせる重要性や、売り場を見て視点が養えることを実感しました。昨年秋に担当店舗が決定し、年間の開発テーマを定め、メニューの考案をしました。青魚だけでは食べ応えが課題になり、副菜に豆腐や肉を加えて満足感のあるメニューになるよう調整しました。また、相性が良い酸味だけでなく、甘味や醤油を使ってご飯に合う味付けにすることも工夫しました。
 今年の4 月以降は、コロナウイルスの影響で外食店の休業や客数の激減など、貴重な経験をしました。夏メニューでは、テイクアウト商品の市場調査や、お弁当形態での提案も行いました。オンラインゼミでは、毎週ゼミ生が出したお題に沿って料理を作成し、自粛期間も有効に過ごせたように思います。青魚テーマに対しては、皆が洋風料理を作成してきてくれたことが印象的で、開発の参考になりました。秋メニュー提案では、売り上げ減少による人員削減という背景から、新規食材の使用を最小限にすること、作業工程の簡略化を図ることが必要でした。販売に繋げるためには、店舗の状況や世の中の情勢に合わせた商品を考えることも重要なのだと実感しました。
 商品開発では、お客様の求めること、会社や店舗で実現できることの両方を満たした考案をすることが大切であり、難しかったです。どちらか1 つの視点に偏らないよう、市場調査や店舗での実務経験が必要になるのだと分かりました。



イマドキの食品パッケージと手間なし惣菜の開発
デザインと商品に関する考察と課題について


 食品メーカーの「三和豆水庵」、小売企業の「北野エース」、「香川加工食品アイディアコンデスト」で商品企画開発に取り組みました。
《概要》近年女性の社会進出が進み、時間をかけて食事を用意する人が減っているといわれています。味や食べ方がわかりやすいパッケージデザインと、すぐ簡単に健康的な食事が用意できる商品を作りたいと考え、この研究を行いました。
《商品開発について》まず、時代の流行やターゲット別の嗜好などを調べるために環境分析や市場調査に取り組み、ヘルシーでタンパク質を多く摂取することが出来る、植物性商品や大豆ミートが注目されはじめていることが分かりました。そこで、それらを使い働く女性をターゲットにした、温めるだけで直ぐに食べることが出来る商品を複数案考案し、三和豆水庵に商品案をプレゼンしました。その中から、そぼろ状にした豆腐と大豆ミートを混ぜ、味をつけたお惣菜商品の「おとうふそぼろ」が採用となりました。
《パッケージについて》身の回りにあるパッケージデザインを知るため、市場調査を中心に取り組みました。実際の売り場を見に行くことで食べ方がわかりやすく、尚且つ商品のイメージを損なってはいけないことや、ターゲット別に好まれるフォント、色調があるのだと知ることが出来ました。それらを踏まえ、ターゲットごとに複数のデザイン案を提案し、食べ方を分かりやすく表現した案が採用されました。
《まとめ》商品開発、パッケージのデザイン共に、時代の流れや客層などを分析することが最重要であると考えられました。また、分析に見合った商品を考案することや、周りの意見を取り入れる柔軟な考え方も必要だと知り、身につけることが出来ました。



ストーリーとカワイイのある商品開発
盛り付けと販促の工夫6つのポイント


●動機● SNS に投稿される料理写真や、話題になるお店のメニューや商品には、どんな要素があるのか気になったことがきっかけです。
●1年半の流れ●行ったことは3つあります。一つ目は小売業への商品提案です。企画書作成・商品提案の手順を知りました。競合商品が多い中で手に取ってもらう方法・他の商品との差別化が必要であることを改めて感じました。二つ目に、外食企業のテーマレストランでのメニュー開発です。市場調査を繰り返し、料理のビジュアルに関するテーマを取り上げることを決めました。企業の方に助言をいただきながら、季節ごとに3回の商品提案の機会に恵まれました。特に販売につながった秋メニューの提案では、企画書作成からお客様用のメニュー表作成まで、全ての工程を経験することができ、店舗運営の仕事のイメージできました。商品となる料理に関しては、盛り付け方法、食材の選び方、味の組み合わせ、演出方法の4つを研究しました。三つ目には自粛期間中のオンラインゼミで、毎週各自のテーマに沿って料理を作る訓練を行いました。10人分の案を毎週見て、考えの幅を広げました。限られた時間でまとめ上げる訓練にもなりました。
●まとめ●商品開発では特に、ネーミングと盛り付けやパッケージデザインが重要だと改めて考えるよになりました。外食メニュー開発では、モチーフを食材や盛り付けの形状に生かすことや、高低差を出して立体感をつけること、写真に綺麗に収まるよう前面を意識して盛り付けることを意識しました。また、食感を擬音にしてネーミングに組み込んだり、メニュー表の商品説明で食べ方や世界観を伝えたりなど、販促もポイントになると確信することができました。



*レモンであっさり女子カフェごはん*
オリジナリティ必須の商品開発で求められること


 カフェ・カンパニーが運営する「WIRED KITCHEN 川越アトレマルヒロ店」で、商品開発を担当しました。ボリューム感のあるカフェメニューは女性からの人気も高いですが、濃い味付けや肉メインの料理を好む女性ばかりではないのではと考え、さっぱりイメージの柑橘をメニュー考案の柱に決めました。
 開発するにあたり、類似の食材や調理法のメニューを探して調査し、参考になる点を提案に活かすことにしました。季節感や非日常感の演出に苦労しましたが、副食材に旬のものを組み合わせることや、盛り付けを工夫することで、難題を乗り切りました。春と秋に季節素材を組み合わせたパスタを商品化し、冬は旬の野菜と柚子を取り入れたドリアを開発することができました。
 小売企業への商品開発も2回経験しました。店舗調査をし、既存の商品の課題やお客様の利用動機を探り、求められている商品は何かを考えるというのが企画作成の手順です。一貫性があり理屈の通った資料を作ることや、限られた時間の中で計画的に準備を進める必要があることも実感しました。
 今年の4月頃からは、コロナウイルスの影響による担当店舗の休業や、夏の新メニュー導入中止など、想定外の事態に戸惑いました。オンラインゼミでは、ゼミ生が出すお題を軸に各々の実習テーマを関連させた料理を考え、各自創るという経験をしました。秋・冬メニュー提案は、店舗の現状をこまめに確認するよう意識し、新規導入食材や作業負担を最低限に抑える工夫をしました。
 オリジナリティが求められるカフェ企業の商品開発では、定番と創作のバランスを取ることが重要だと実感しました。奇抜な味になりすぎると商品になりません。その分、盛り付けやネーミング、販促物などで工夫をすることも、個性を演出するひとつの方法だと分かりました。



くらしをサポート!お惣菜開発への道
商品と売り場と工場から分析した商品づくりのポイント


 ミールキットや惣菜など、働いている女性をターゲットにした商品企画に取り組んできました。
 昨年10月から11月にかけて、コンビニなどのカット野菜のメーカーであるマルマサフードに、ミールキットの企画を提案しました。世界の料理でワクワク感のあるメニューを考案し、四群点数法で健康要素も加えましたが、宅配など限られた販売場所以外では流通も難しく、課題が多いことを知りました。
 12月から6月にかけて、麺惣菜メーカーのクリタエイムデリカに季節と行事をテーマにした惣菜を提案しました。中でも節分がテーマの豆を使った商品については、工場試作や取引先商談のプロセスまで進みました。野菜がとれるスープ商品も考案しましたが、企業の業績不振や社会情勢の変化もあり、商品化のプロセスまで持ち込めなかったことが残念です。
 4月から7月にかけて、ゼミがオンラインに変わりました。今までの活動ができなくなりましたが、テーマに沿って商品を購入したり、自宅で料理をして発表するなどの工夫を凝らしました。企画する力と、盛り付けを含めた調理技術を上げる訓練になりました。
 9月から10月にかけて、学科イベントとして募集があった坂出金時いもの商品案にも挑戦しました。今までの実習経験を生かして惣菜2品の企画書を作成しましたが、残念ながら選考通過はできませんでした。考案はスムーズに進めることができ、企画作成のまとめとしては、良い経験になりました。
 商品づくりは、根拠のある企画作成や、売り場によって異なるお客様のニーズを想像する必要があると分かりました。また、中食業界では工場での実現性や物流の条件が優先されることから、専門的な知識と経験が不可欠であることも実感しました。



愛されスイーツ♪チーズケーキの商品開発
商品を販売するために必要な条件とは!?


 ダイヤモンドダイニングが運営するコンセプトレストランでのメニュー化を目標に、チーズケーキのリサーチや商品提案を行いました。今年は例年のような開発もできず、対面でのゼミも行えない期間が長くなり、不安に感じることも多かったのですが、結果的には多くのことに取り組むことができました。
 昨年8月からゼミが開始され、最初に小売業の商品企画開発を手がけました。これを通じて開発の手順を経験し、提案には整理された理屈に合う商品を考えることが重要なのだと知りました。この事は別の小売業への提案機会にも生かすことができ、提出した商品案は一次審査を通過することもできました。
 外食企業のメニュー開発では、市場人気と店舗のコンセプトを踏まえて、ヨーロッパのチーズケーキをテーマに決め、人気商品などを中心に調べました。種類ごとに分類をし、傾向の整理をしました。
 自粛期間のオンラインゼミでは、皆でテーマを出し合って料理をするなど工夫をこらし、考えることや具現化する訓練ができました。この間にチーズケーキ作りの上達も目指しました。
 外食企業の開発では、秋になって初めて商品化することができました。ベースのチーズケーキは評価してもらえたのですが、販売店舗のイメージやハロウィンらしさが際立つ盛り付けが考えきれず、大幅な変更が必要でした。商品として販売するにはお客様のニーズが最優先になる事や、製造の工夫も一層求められることになり、制約が多いということを痛感しました。
 商品開発の中でも、調査や試作、企画を考える作業は楽しく、勉強になることが多かったです。一方で、会社や店舗の方とのコミュニケーションの取り方や、商品として出し続けていくことについては、厳しさや難しさを感じました。これらの経験は、社会に出てからも生かしていきたいです。



笑顔作る企画をクリエイト!
~レストランと学内カフェとプリンの1年の記録~


 スマイルズの運営するレストラン「100本のスプーン現代美術館店」での食企画や、学内カフェの企画・運営、プリンをテーマにした調査をしました。
 スマイルズでは外食企業における企画の手法を知るため、昨年12 ~ 2 月に美術館の企画展に合わせたメニュー・イベント企画を行いました。対談は実現したものの、アーティスト側の許可が下りずメニュー販売は実現できませんでした。8月には企業の仕事を手伝い、商材のアレンジレシピ作りにも挑戦しました。対象の商材を主役にすることが重要でした。外食企業の業務では、目的と再現性が優先されることを再確認しました。
 10月・11月に3号館を使用し、企画の作り方を活かして「撮ることを楽しむ」ことをテーマに学内カフェの運営をしました。3月~ 6月の自粛期間中よりメニュー考案・レシピ作りを行い、当日にはテーブルクロスなどの小物も複数用意し、撮影スポットも作りました。テーマを伝えるためには、料理だけではなく、空間・販促物も合わせて演出することが必要であると感じました。
 学内カフェで提供するための市場調査、それを活かして坂出金時いものアイデアコンテストでプリン商品の考案をしました。プリン商品には、人気の上昇中のねっとり食感のイタリアンプリン・カタラーナをアレンジしました。芋の特徴である皮の色味や型くずれのしにくさを活かすことを意識しました。
 一年を通して様々な形の企画を考えた結果、実現を目指すためには様々な立場の人の協力が不可欠であると改めて感じました。だからこそ実現性・目的を明確にし、関係する人を説得する準備が必要です。料理はもちろんのこと、販促物やネーミングなども具体的に示すことが必要であることを痛感しました。



たのしい企画の作り方
企業の仕事と学内カフェのウラ話


 1年以上にわたるゼミ活動で主に、外食企業での食イベントの企画提案、小売企業への商品提案、学内カフェの運営の3つを行いました。
 外食企業への企画提案は、“コドモがオトナに憧れて、オトナがコドモゴコロを思い出す”をコンセプトとするスマイルズが運営するファミリー向けレストラン「100本のスプーン二子玉川店」で、店舗で実施する母の日企画を提案しました。また、会社と食品メーカーとのコラボ企画にも携わり、設定されたシーンに合わせたレシピを作成しました。クライアントとの制約がある中で、レシピを考案し書類にまとめる作業や、締め切りまでの短さを経験し、仕事になると楽しさだけでないことを改めて実感しました。
 学内カフェの企画では、季節の食材と色をテーマにしたアフタヌーンティーを提供しました。栄大生のご褒美時間をコンセプトに、お昼休み以外にゆったりおしゃべりをしながら食事を楽しんでいただく場を作りました。4月には、春らしくピンクで、いちごを使用しました。10月は、ハロウィンを黄色・紫・黒で表現し、かぼちゃ・紫芋を使用しそれぞれ色を出しました。
 企画を作成するにあたり、自分がやりたいことや、店舗でやりやすいことを取り入れるだけでなく、お客様の視点から求められていることを考え、それらをバランス良く取り入れることに苦労しました。学内カフェでは、季節に応じたメニューの具体的な内容を考えることが想像以上に難しかったことや、原価計算、盛り付けを含めた料理スキル、写真の撮り方や販促物の作成等、やって初めて身につくことがほとんどでした。楽しい企画の裏方にいる自分自身もワクワクできるゆとりが不可欠だと思えたことも、新しい発見でした。



【実録】別腹パフェを徹底分析!
食後に適した量・食材・食感・盛り付けのポイント


 市場の食後向けパフェの分析を行い、分析を元に外食企業へメニュー提案を行いました。
 私は「和食レストランとんでん」のメニュー開発を担当しました。食事メニューが充実しているお店ですが食後に適した量のデザートが少ないことや、世の中のパフェブームなどを踏まえて、課題を設定しました。それを基に大人の女性をターゲットとした食後向けのパフェを考案するべくポイントを探りました。
 環境分析では、食後のデザートへのこだわり、ご褒美感の訴求が見られました。市場調査はチェーン店、小売店、食後パフェ専門店の3 分野で行い、各々異なる点と共通するポイントを感じました。例えば、食材では果実の清涼感、アルコールの特別感で購買意欲を作ったり、食感では異なる食材の組み合わせでアクセントを作り食べやすさに繋げていました。盛り付けでは層状に見せる組み立てが飽きさせないポイントでした。このことから食後には、量以外にも複数の要素が必要だということが分かりました。
 これらの分析を基に、とんでんへは夏向けの大人なメロンパフェを提案しました。お客様目線の商品を考えることが1 番難しかったですが、アルバイトで店舗の制約を把握しつつ「食べて分析」「作って検討」の経験が出来たからこそ、商品提案につなげられたと考えています。
◆小売業・外食業への商品提案やオンラインゼミ活動、坂出金時プロジェクト
 ゼミでは他にも、小売業と外食業へ商品企画提案を行い企画書考案の基礎を習得し、オンラインゼミでは他のゼミ生のテーマに触れ、幅広い考察力を身につけました。活動終盤では、坂出金時いもを使ったプロジェクトに参加をして、より開発手順や企画書の理解を深めることができました。この1 年半の活動でテーマに限らず食品の開発過程を幅広く体験し、食業界で働く準備として、良い経験になりました。