短期大学部のWELCOME COLLEGE
第4回を開催!
女子栄養大学短期大学部は、6月4日(土)駒込キャンパスで学校見学会“WELCOME COLLEGE“の第4回目を、新型コロナウイルス感染防止対策を行った上で開催しました。
このWELCOME COLLEGEは、「調理のできる栄養士」を目指す女子栄養大学短期大学部を見て・体験しよう!というもの。JR山手線・東京メトロ南北線駒込駅から徒歩3分にある駒込キャンパスに来学して、実際の授業の一部を体験し、施設設備の見学、学生生活や授業などに関する個別の相談もできます。
毎回さまざまなテーマで授業体験が企画されており、参加は事前予約制となります。
WELCOME COLLEGEの参加申し込みは
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〈駒込キャンパス内に入ると・・・〉
▼校門に立てられた短期大学部の旗を目印に中庭へ進むと、右手に創立者の銅像(香川昇三・綾夫妻)と石碑「食は生命なり」が、色づいた紫陽花とともに出迎えます。
▼受付では、短大生が普段、登校時に行っているように検温と手指の消毒を行い、見学セットが渡されます。お土産の葉酸クッキー(菓子工房プランタンの焼き菓子)は、松田早苗教授と小澤啓子准教授・監修の葉酸説明カードを付け、学長の顔写真入りシールを貼ってリボンで飾りました。実験実習助手たちがWELCOME COLLEGEのために用意したものです。受付後は、写真右の会場2305教室(短期大学部に3つある「学生実験室」の1つ)へ案内しました。
■第4回の体験授業「皮をむいた果物や野菜が変色するのはなぜ?」(ミニ実験)
今回は、本学短期大学部で主に食品学(総論・実験)を担当している食品化学(駒込)研究室の藤原しのぶ准教授によるミニ実験「皮をむいた果物や野菜が変色するのはなぜ?」を行いました。
▼初めに、藤原先生が「本日のタイムスケジュール」を参加者に説明しました。ミニ実験のほか、短大部での授業(講義・実習)や学修についての質問コーナー、キャンパスツアー動画視聴、個別相談(希望者のみ)、動画では紹介されていない「iパーク」、「ピンクの廊下」に案内する旨を伝えました。
実験を行う前に、「果物や野菜の皮をむいて放置しておくと、どうして変色するのか」を配布されたプリントと、ホワイトボードを使って学びました。実験テーマにある「変色」とは、食品の調理や加工貯蔵中に起こる色の変化(黄色~褐色の着色)のことです。皮をむいた果物や野菜の変色には、酵素による酸化反応が関与しているので、食品学では「酵素的褐(かっ)変(ぺん)」といいます。
▼今回の実験で使用するリンゴの褐変反応を実際に見比べながら、講義が進みます。写真の一番左が切ったばかりのリンゴで、右の2つに比べて褐変反応が進んでいない断面です。
リンゴを包丁で切断しただけで、なぜこのような色の変化が起こるのでしょうか? もともとリンゴには、フェノール性の化合物(クロロゲン酸、カテキン類などのポリフェノールと呼ばれる成分)が含まれています。同時に、ポリフェノールを酸化して褐変反応を引き起こす酵素「ポリフェノールオキシダーゼ(いろいろな酵素の総称です)」も含まれています。酵素とポリフェノールが離れている時には、酵素反応は進みません。しかし、切る、すりおろすなどによりリンゴの組織が損傷すると、ポリフェノールと酵素が接触します。酵素がポリフェノールを酸化する反応が進行し、褐色の色素が生じて、リンゴは茶色く変色していきます。
さて、どうしたらこの反応の進行を抑えることができるでしょうか? この後、変色を防ぐ方法を考え、その効果をミニ実験で確認します。
▼実験の手順について、プリント(下記)を見ながら説明を受けます。今回の実験では、リンゴを試料として使用します。変色を引き起こす酵素が働かなくなる条件を相談し、あらかじめ設定されている6つの条件(No.1~6)に、みんなで考えた2つの条件(No.7 砂糖水添加、No.8 レモン汁添加)を加えた8つの条件で実験を行うことにしました。まずは予想を書き込みます。
▼いよいよ実験です。手順にそって実験を進めます。参加者の皆さんは、実験着の代わりの使い捨てエプロンで身支度を整えます。食品化学研究室のゼミ生2人が、実験をお手伝いします。
▼ラベルを貼ったビーカーに、No.1~8の条件になるように試薬等を入れていきます。ゼミ生がお手伝いして、参加者の皆さんにも、駒込ピペットの使って試薬を測り入れてもらいました。駒込ピペットは、1920年代に当時の駒込病院の院長が考案されたそうです。
▼ビーカーの準備ができたら、リンゴをすりおろします。すりおろしたリンゴは、薬さじを使って、山盛り1杯ずつ各試薬が入ったビーカーに入れ、ガラス棒で試薬と混合します。すりおろしたリンゴは、すぐに変色し始めるので、手早く操作を行います。そのまま置いて、5分後に色の変化を観察します。
▼色の変化を観察するまでの5分間を利用して、藤原先生とゼミ生2人を交えて、実験に限らず短大部での講義や実習などの授業や学生生活について話をしました。
▼5分後に、色の変化を観察します。No.1(一番左端にあるビーカー)の無処理を基準として、色の変化を比較します。
▼次に、No.1 と同じく無処理で5分間放置しておいた No.6のビーカーに2%アスコルビン酸溶液を添加して変化があるかどうかを確認します。すでに変色してしまったリンゴに、後からアスコルビン酸を添加するとどうなるでしょうか?色の変化はあるでしょうか?試薬を混合したら、反応するまで5分間待ちます。待っている間は、再びトークタイムです。
▼すべての実験が終わったので、結果をまとめます。もう一度、No.1(無処理)と見比べながら、まとめシートに結果を記入します。予想が合っていたかな?
みなさんも、No.1(左から2番目)と他のビーカーを比べてみてください。No.1は、すりおろしたリンゴに何も手を加えないで放置した時の色です。No.1と比べて、着色が薄ければ、褐変反応が抑えられたことになります。
酵素には働きやすいpHがあるので、No.2では酸性に、No.3ではアルカリ性になるよう試薬を添加しました。台所にあるもので置き換えると・・・No.2の酢酸は食酢、No.3の炭酸水素ナトリウムは重曹です。
No.4の塩化ナトリウムは食塩(NaCl)です。皮をむいたリンゴの変色を防ぐためには塩水につければよいと聞いたことはありませんか?No.5とNo.6で使用したアスコルビン酸は、ビタミンCの正式な名称です。還元作用があり、酸化防止剤として広く使用されています。
今回の実験で使用した試薬等で、リンゴの褐変を防ぐことができる理由については入学後に詳しく学修します。
最後は、みんなで実験器具などの片付けをして、体験授業は終了しました。
■体験授業に続いてキャンパスツアーの動画を視聴
この日、新たに作成されたキャンパスツアーの動画を初披露。実際に歩く目線で学生生活を撮影したものです。分かりやすいキャプションを入れ、楽しいイラストで加工した箇所もあり、軽快な音楽に乗って本学のキャラクターたちが紹介して行きます。
▼駒込駅からの道案内から始まったキャンパスツアーの動画を視聴する参加者たち。
▼キャンパス内を案内する本学のキャラクターは、本学創立者の香川綾が料理を科学的に数量化しながら作るために考案した計量カップと計量スプーン、これに調味パーセント(おいしい味付けの仕方)を組み合わせて調理の仕方を順序だてた料理カード(今でいうレシピカード)をもとにしたもので、「カッピィ」(下写真、最上段左の左側)、「スプーニー」(上段右・下段左の右側)」、「レシピィ」(下写真、最上段左の右側)の愛称で親しまれています。
■視聴後には補足と質問タイム、そしてアンケート記入を終えたら個別相談、最後に見学
視聴後には、コロナ禍の現在の様子を藤原先生が補足。動画を撮影した時より行動制限が緩和されたため、登校時の体温チェック等は簡素化され、教室の座席のパーテーションはなくなっています。また学食の座席には新たなパーテーションが設けられました。さらに、動画を見て気づいた参加者の疑問・質問を受けて、一日の授業時間についてゼミ生が具体的に1限から答えました。参加者の皆さんの高校生活と比較しながら、1限目の始まる時間や実習がある場合の時間などについて話しました。そしてアンケート記入後、希望者は個別相談となり、最後に2か所(「iパーク」と「ピンクの廊下」)を見学して終了となりました。
▼個別相談希望者は体験授業を行った学生実験室で、藤原先生からお話を聞いた後、短期大学部教務学生課の職員にも短大の学びや学生生活などに関して相談し、より理解を深めていただきました。
▼施設見学で、まずご案内したのは1号館3階にある「iパーク」です。月~金曜日9:00~18:00までパソコンが自由に使える開放されたスペース。制限のあるコロナ禍で感染拡大防止のため長らく休館していましたが、5月末に利用再開したばかり。入館時の手指消毒、使用前後のPC・デスク周りの除菌を各自で行うのは他の施設と変わりはありません。栄養計算ソフト(栄養Proなど)の利用、レポート作成、e–Learningの場として活用されています。もちろんインターネットも使用できます。
▼最後に、各研究室の掲示が集められた展示に見入る参加者。案内した教職員に質問したり、相談したりしながら、短期大学部のゼミでの学びにも触れていただきました。この場所は、1・2・3号館をつなぐ廊下で、床がピンク色なので「ピンクの廊下」と呼ばれ親しまれています。学生たちが集えるよう椅子とパーテーションを設置したテーブルが並んでいます。
当日、参加していただいた高校生のみなさん、ありがとうございました。
■WELCOME COLLEGEでは、駒込キャンパスに来校して実際の授業を体験したり、キャンパス内の施設や研究室の掲示を見たり、短期大学部の学びに触れることができ、学生生活などに関する個別の相談もできます。様々なテーマで授業体験が企画されています。参加は事前予約制となります。
WELCOME COLLEGEの参加申し込みは
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WELCOME COLLEGEのご案内(PDF)は
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