山田耕太郎ゼミ■データサイエンス教育研究室
ケーキの需要予測システムの構築
大学1年生の頃から個人経営のケーキ屋でアルバイトをする中で、閉店時のケーキの売れ残りによるフードロスや、人気商品の早期完売による機会損失という課題を目の当たりにし、時期や天候などの要因を考慮した需要予測の必要性を感じた。そこで本研究では、フードロスの削減および機会損失の低減を目的として、ケーキ屋における需要予測システムの構築と有効性の検証を行った。本研究にあたっては、勤務先である「Le sourire d'ange」の協力を得て、営業日ごとのケーキの販売数、売れ残り数、売上高などの販売実績データの提供を受けた。中間発表では、定番ケーキ18種類を対象にロス率を算出し、商品ごとの売れ残り状況を考察した。その結果、ロス率の大小は他商品との類似性や商品認知度、味への先入観、人気の高さなどが要因となっていることが考えられた。さらに曜日、気象データ、SNS投稿、クーポン配布の有無を考慮した重回帰分析では、販売個数の予測精度の向上と、曜日やSNS投稿、天候との関係が確認できた。
本発表では、令和7年9月から令和8年8月まで収集した255日分の販売実績データにイベント内容の詳細を加え、販売個数との関係を分析した結果を報告する。なお、中間発表では18種類のケーキそれぞれについて売上個数の予測を行ったが、1日の販売個数が数個のものは1個の誤差が精度に大きく影響するため、全種類の合計販売個数の予測に変更した。また中間発表では天候として気象庁発表の天気概況を使っていたが、例えば「曇時々晴一時雨」と「曇一時雨時々晴」の区別や、晴・曇・雨が複合した天候の取り扱いの困難さがあったため、天候を降水量と風速の数値データに変更した。イベントを内容別に分析した結果、イベント内容によってケーキの販売個数への影響が異なることが分かった。特に記念日や季節のイベント(クリスマスやハロウィンなど)ではケーキの販売数が増加する一方、店舗独自のイベントでは来店客数は増加するものの、ケーキの販売数にはほとんど影響していないことが分かった。一方SNS投稿は来店客数やケーキ販売数の増加と関係し、ケーキの購入を促す可能性が示された。曜日別では日曜日の売り切れ率が高い一方、平日は閉店時の残数が多く、曜日によって製造数を調整する必要性も示された。加えて、曜日のみを用いたモデルにSNSや天気、イベントなどの要因を加えて予測精度を検証した結果、イベントを種類別に考慮したモデルで来店客数の予測誤差が最も小さくなった。需要予測システムの構築については発表時に報告する。
本発表では、令和7年9月から令和8年8月まで収集した255日分の販売実績データにイベント内容の詳細を加え、販売個数との関係を分析した結果を報告する。なお、中間発表では18種類のケーキそれぞれについて売上個数の予測を行ったが、1日の販売個数が数個のものは1個の誤差が精度に大きく影響するため、全種類の合計販売個数の予測に変更した。また中間発表では天候として気象庁発表の天気概況を使っていたが、例えば「曇時々晴一時雨」と「曇一時雨時々晴」の区別や、晴・曇・雨が複合した天候の取り扱いの困難さがあったため、天候を降水量と風速の数値データに変更した。イベントを内容別に分析した結果、イベント内容によってケーキの販売個数への影響が異なることが分かった。特に記念日や季節のイベント(クリスマスやハロウィンなど)ではケーキの販売数が増加する一方、店舗独自のイベントでは来店客数は増加するものの、ケーキの販売数にはほとんど影響していないことが分かった。一方SNS投稿は来店客数やケーキ販売数の増加と関係し、ケーキの購入を促す可能性が示された。曜日別では日曜日の売り切れ率が高い一方、平日は閉店時の残数が多く、曜日によって製造数を調整する必要性も示された。加えて、曜日のみを用いたモデルにSNSや天気、イベントなどの要因を加えて予測精度を検証した結果、イベントを種類別に考慮したモデルで来店客数の予測誤差が最も小さくなった。需要予測システムの構築については発表時に報告する。
生成AIとの適切な距離はどこ?
~過度な依存をしない付き合い方~
生成AIに悩みの相談相手になってもらうことが多いが、たまに過度な肯定や過剰とも思える寄り添いをしてくることがあり違和感を感じることも多い。そのような過度な肯定を抑制することを目的に、生成AIと適切な距離を保つにはどのようにすれば良いのかをテーマに研究を行った。
まず初めに生成AIに対して「あなたは○○です」のような役割を与えるプロンプト設計を試みた。この方法はOpenAIが「良い結果を得るための6つの手法」として公式に示していたもののひとつであるが、最近ではそのようなプロンプト設計は、AIが役割に徹するあまり肝心の回答内容の質が下がるといったマイナスの効果を生み出してしまうという研究結果や、個人的な内容の相談に対しては過度に肯定的になるという構造的な問題があるという研究結果が発表されるなど、プロンプト設計では対応しきれない問題があることが分かった。
生成AIの仕組みを調べると、このような問題はAIが会話の文章生成を行うときにLLM(大規模言語モデル)から確率的に言葉を選んでいることと、AIのメタ認知能力に原因があることが分かった。メタ認知能力は自分が考えていることや行動を客観視する能力のことであるが、AIはLLMから言葉を選んでもっともらしい文章を生成するよう訓練されすぎており、生成した文章をメタ認知的にどういう意味を持っているのかを判断したり内省したりすることはあまり行われていない。ハルシネーションと呼ばれる現象もこの構造的な問題で理解することができる。つまり確率的に言葉をつないで生成した文章が結果的にウソの内容になっても、内容の真偽についてAIは全く気にしていないため、そのまま出力されてしまうということになる。同様に、過度な肯定や寄り添いもAIがそのように訓練された結果であり、AIはメタ認知的に過剰かどうかは判断できない(していない)ため、AIの構造的な問題といえる。
以上のことから、過度な肯定を抑制するために現時点でできることは複数のAIを使って意見の良し悪しを判断させることが考えられる。例えばChatGPT内で複数のAIを立てて「みんなで意見を調整してから回答して」とお願いする方法や、Genspark AIなどの新しいサービスを使ってAIに意見調整をさせるなどの方法がある。ただAIは変化が速いため手軽にずっと使えるものになるかどうかについては注意が必要である。
生成AIの仕組みを調べると、このような問題はAIが会話の文章生成を行うときにLLM(大規模言語モデル)から確率的に言葉を選んでいることと、AIのメタ認知能力に原因があることが分かった。メタ認知能力は自分が考えていることや行動を客観視する能力のことであるが、AIはLLMから言葉を選んでもっともらしい文章を生成するよう訓練されすぎており、生成した文章をメタ認知的にどういう意味を持っているのかを判断したり内省したりすることはあまり行われていない。ハルシネーションと呼ばれる現象もこの構造的な問題で理解することができる。つまり確率的に言葉をつないで生成した文章が結果的にウソの内容になっても、内容の真偽についてAIは全く気にしていないため、そのまま出力されてしまうということになる。同様に、過度な肯定や寄り添いもAIがそのように訓練された結果であり、AIはメタ認知的に過剰かどうかは判断できない(していない)ため、AIの構造的な問題といえる。
以上のことから、過度な肯定を抑制するために現時点でできることは複数のAIを使って意見の良し悪しを判断させることが考えられる。例えばChatGPT内で複数のAIを立てて「みんなで意見を調整してから回答して」とお願いする方法や、Genspark AIなどの新しいサービスを使ってAIに意見調整をさせるなどの方法がある。ただAIは変化が速いため手軽にずっと使えるものになるかどうかについては注意が必要である。
失敗料理から見る生成AIの発想の特徴
私は料理をする中で、料理に失敗した際にそのまま食べたり、捨てたりすることがある。失敗した料理をおいしく食べることができれば、食品ロスの削減にもつながると考え、生成AIを活用したリメイク提案に着目し、本研究を行った。まず、日本栄養大学の学生120名を対象に、料理の失敗経験や失敗した料理への対応についてアンケート調査を実施した。その結果、「食材を焦がす」という失敗が最も多く、失敗した料理を「アレンジする」と回答した学生は17%であった。そこで、焦げた食パンを事例として、生成AIによるリメイク提案について調査した。
ChatGPT、Gemini、Claude、Perplexityの4種類の生成AIに同じ条件のプロンプトを入力し、提案されたレシピを比較した。その結果、4種類の生成AIすべてからフレンチトーストが提案されるなど、共通した提案がみられた。一方で、焦げの捉え方や使用する材料、アレンジ方法、説明の詳しさなどには違いがあり、それぞれ異なる特徴がみられた。また、生成AIから提案されたレシピを実際に調理・試食したところ、焦げの苦味が残るなど、必ずしもおいしく食べられる結果にはならなかった。このことから、生成AIが料理として成立するリメイク案を提案できても、実際の食味とは異なる可能性があると考えた。
今後は、4種類の生成AIが提案したレシピについて、焦げへの対応方法や使用材料、調理方法などをさらに比較するとともに、実際に調理して味、苦味、食感、見た目などを評価する。また、焦げ以外の失敗料理についても、加熱などの失敗を対象として、生成AIによるリメイク提案を比較・検討する。さらに、試食で得られた問題点を生成AIに伝え、レシピを改善させることで、提案内容の変化についても検討する。これらを通して、失敗料理に対する生成AIの提案の特徴と限界を明らかにする。
ChatGPT、Gemini、Claude、Perplexityの4種類の生成AIに同じ条件のプロンプトを入力し、提案されたレシピを比較した。その結果、4種類の生成AIすべてからフレンチトーストが提案されるなど、共通した提案がみられた。一方で、焦げの捉え方や使用する材料、アレンジ方法、説明の詳しさなどには違いがあり、それぞれ異なる特徴がみられた。また、生成AIから提案されたレシピを実際に調理・試食したところ、焦げの苦味が残るなど、必ずしもおいしく食べられる結果にはならなかった。このことから、生成AIが料理として成立するリメイク案を提案できても、実際の食味とは異なる可能性があると考えた。
今後は、4種類の生成AIが提案したレシピについて、焦げへの対応方法や使用材料、調理方法などをさらに比較するとともに、実際に調理して味、苦味、食感、見た目などを評価する。また、焦げ以外の失敗料理についても、加熱などの失敗を対象として、生成AIによるリメイク提案を比較・検討する。さらに、試食で得られた問題点を生成AIに伝え、レシピを改善させることで、提案内容の変化についても検討する。これらを通して、失敗料理に対する生成AIの提案の特徴と限界を明らかにする。
スタジアムの新たな可能性
野球観戦はワインとともに
私はプロ野球が好きでよく球場に行く。そして応援の合間に球場スイーツを楽しむのが私の定番だったが、日本ハムファイターズの本拠地であるエスコンフィールドHOKKAIDOに球場内でのワイン醸造という世界初の取り組みを始めた「THE FIFTY FIFTY CLUB」というレストランがあることを知った。球場といえばビールのイメージが強く、実際エスコンフィールドHOKKAIDOには世界初の球場内クラフトビール醸造レストランもある。また、海外の球場のアルコール事情を調べるとビールが主流であることは日本と変わらないが、例えばドジャースタジアムではビール以外のアルコール飲料としてカクテルや日本酒、焼酎など、ニューヨーク・メッツの本拠地であるシティ・フィールドでは宝酒造の缶チューハイなどが提供されていることを知り、野球観戦にもいろいろなスタイルがあることを実感した。しかしワイン好きの私はぜひTHE FIFTY FIFTY CLUBに行ってお店の料理とワイン、そしてお店の雰囲気やお客様の様子を調査したいと考え、前期期間中に球場を訪れた。
中間発表ではお店の雰囲気や提供されている料理とワインを紹介し、飲み比べセットで6種類のワインで料理を味わうことができて満足度が高かった一方、私が球場で楽しみにしているスイーツはほとんど提供されていないことなどを報告した。現地に行った当時、唯一提供されていたプリンはワインに合っていてとても美味しかったため、スイーツの品数が少ないのは勿体ないと思い、この研究を通じてワインに合うスイーツを提案して球場でのワインの楽しみ方を増やすことも研究テーマとしている。要旨執筆時点において、いくつかのスイーツを候補として考えており、今後試作を行って本当にワインに合うかどうかを調べる予定である。
また、THE FIFTY FIFTY CLUBにワインを提供しているのは「京都ワイナリー 四条河原町醸造」という、株式会社ケイオスが経営している店舗で、京都市内初の都市型ワイナリー併設レストランである。「京都市内初」や「球場内でのワイン醸造世界初」など、「初」の取り組みを行っている会社ということでとても興味があり、四条河原町醸造の現地調査を計画中である。スイーツの試作とのタイミングが合えばTHE FIFTY FIFTY CLUBで提供されているものと同じワインでスイーツとの相性を調べたいと考えている。
中間発表ではお店の雰囲気や提供されている料理とワインを紹介し、飲み比べセットで6種類のワインで料理を味わうことができて満足度が高かった一方、私が球場で楽しみにしているスイーツはほとんど提供されていないことなどを報告した。現地に行った当時、唯一提供されていたプリンはワインに合っていてとても美味しかったため、スイーツの品数が少ないのは勿体ないと思い、この研究を通じてワインに合うスイーツを提案して球場でのワインの楽しみ方を増やすことも研究テーマとしている。要旨執筆時点において、いくつかのスイーツを候補として考えており、今後試作を行って本当にワインに合うかどうかを調べる予定である。
また、THE FIFTY FIFTY CLUBにワインを提供しているのは「京都ワイナリー 四条河原町醸造」という、株式会社ケイオスが経営している店舗で、京都市内初の都市型ワイナリー併設レストランである。「京都市内初」や「球場内でのワイン醸造世界初」など、「初」の取り組みを行っている会社ということでとても興味があり、四条河原町醸造の現地調査を計画中である。スイーツの試作とのタイミングが合えばTHE FIFTY FIFTY CLUBで提供されているものと同じワインでスイーツとの相性を調べたいと考えている。