令和8年度 食文化栄養学実習

堀端薫ゼミ■給食システム研究室


米×アイス=どうなる?
米のおいしさを味わうアイスの研究

   普段、私たちが白米として食べている米は、加工方法によってさまざまな食品へと姿を変えます。米粉パンや米粉スイーツなどは、その活用方法の一例として挙げられます。一方で、米の消費量は長期的に減少しています。そこで本研究では、すでに行われている米の加工利用に着目し、その中でも冷菓への応用を通して、米に価値を付加できる可能性について検討することを目的としました。
   まず、米および米粉の特性について文献調査を行いました。米粉は、品種や製粉方法によってアミロース含有量やでんぷん損傷率などが異なり、それぞれの特性に応じて、私たちの用途により選択し、使い分けられることが分かりました。また、米を利用したアイスの事例もみられたことから、米とアイスの組み合わせに着目しました。アイスは幅広い年代に親しまれている食品であり、米を使用することで、米の風味や特性を生かしたアイスを作ることが出来ると考えました。
   目標のアイスは、米の風味や甘みを感じられる、なめらかで美味しいアイスとしました。試作では、これまで米粉、炊飯米、生クリーム、甘味料などの原料や配合を変え、複数回検討を行いました。初回の結果では、優しく甘い味わいが得られた一方、シャリシャリとした食感や粉っぽさ、米の粒感が課題となりました。その後、シャリシャリ食感の改善を図り、生クリームを使用した試作では、シャリシャリ食感は無くなり、濃厚さが得られたものの、重くもったりとした口当たりとなってしまったため、また新たな課題点となりました。次なる目標は、生クリームを使用せず、米の風味を感じられる優しい甘さと、なめらかな口溶けを目標としました。
   本研究では、これまでの試作結果を踏まえ、最終的にどのようなアイスを完成させることができたのか、また、目標とした風味や食感をどの程度実現できたのかについて報告します。

寿司屋のコース料理のデザート提案

   本研究では、さいたま市産のさつまいもを活用し、アルバイト先の寿司屋のコース料理のデザートとして提供する芋ようかんの開発を行っている。コース料理に合わせたデザートとして、食後でも食べやすく、さつまいもの風味を生かした適度な甘さと軽さを持つデザートを目指し、試作と評価を重ねている。
   当初は、さつまいものペーストのようなしっかりとした食感の芋ようかんを想定していた。しかし、食後のデザートとして提供する場合、食感や食べ応えが重く感じられる可能性があると考え、水ようかんへと変更した。そこで、ゼミ内で水ようかんの官能評価を実施し、水ようかん単体、大学芋風のタレをかけたもの、芋けんぴや芋チップスを添えたものを用意して、トッピングや食感の違いによる嗜好性を比較した。その結果、13人中7人が水ようかん単体を好み、最も多くの評価者に選ばれた。この結果から、トッピングを加えることよりも、水ようかんそのものの風味や食感を生かす方向性が考えられた。
   さらに、試作品をアルバイト先の店長に試食してもらい、商品として提供することを想定した評価を受けた。その結果、水ようかんは食感や風味が軽く、食後のデザートとして印象に残りにくいことや、抹茶と合わせた際にさつまいもの風味が弱く感じられることが課題として挙げられた。また、粉寒天を用いた試作では水で薄めすぎたため、寒天特有の風味が感じられ、パールアガーを用いた試作では弾力の強い食感となるなど、凝固剤の種類や配合によって食感や風味が変化することが分かった。これらの評価から、食後の食べやすさだけでなく、さつまいもの風味を十分に感じられることも重要であると考えられた。また、食べ応えが重い場合には提供量を調整する方法も考えられるため、食感を軽くすることだけを重視せず、甘さや風味、食感、提供量を総合的に検討する必要がある。
   研究に関連する取り組みとして、さいたま市内の農園を訪問し、さつまいもの収穫体験を行った。また、農産物の納品に同行し、提供先の飲食店で実際に食事をするとともに、来店客が農産物を購入する様子を見学した。これらの経験を通じて、地域で生産された農産物が飲食店で提供され、消費者に届けられる過程を知ることができた。
   今後は、ゼミ内および店長から得られた評価を踏まえ、さつまいもの風味をより明確に感じられる配合や食感を検討する。食後のデザートとしての食べやすさと、さつまいも本来の風味や商品としての印象を両立させ、コース料理に適した芋ようかんの完成と店舗での提供を目指す。

甘味料によるエネルギーカットと美味しさの追求
〜1kcal減らすことにいくらかける??〜

   私は、普段からお菓子作りをしている。その中で、菓子類はエネルギー量が多く、多量の砂糖が使われていることに着目したことをきっかけに、砂糖を別の甘味料に変え、エネルギーカットにつなげることはできないかと考えた。しかし、エネルギーカットを目的に甘味料を置き換える場合、材料費が高くなるという課題がある。そこで私は「コストをかけてまでもエネルギーカットは必要か」という疑問を抱き、エネルギー量、コスト、美味しさの3つの観点から、手軽に作ることができ、おいしさを維持したスイーツの検討を行っている。
   中間発表までの研究では、まず、グラニュー糖、ラカント、パルスイートを対象に、粉末、水溶液、加熱後の状態について官能評価を実施し、甘味や風味などの特徴を比較した。次に、これらの甘味料を用いてクッキーとプリンを作り、砂糖を他の甘味料に置き換えることによるおいしさへの影響とエネルギー量、コスト面の関係を調べた。さらに、私たちがスイーツを選択する際、エネルギー量と価格がどの程度影響するかを調べるため、各要素を比較する方法であるコンジョイント分析を行うためにアンケートを実施した。その結果、今回の調査では、エネルギー量よりも価格の方が商品選択に大きく影響することがわかった。このことから、エネルギーカットを目的としたスイーツを提案する際には、エネルギー量カットだけでなく、コストとのバランスも重要であると考えられた。
   現在は、これまでの研究結果を踏まえ、エネルギー量カットとコストカットを両立させながら、おいしさを維持したケーキの開発に取り組んでいる。生クリーム×スポンジ生地というシンプルなスイーツだからこそ、おいしさを追求したケーキを作りたい。そして、甘味料の違いによるエネルギー量、コスト、おいしさの関係を総合的に評価し、無理なく美味しく楽しめるケーキの提案につなげたい。