令和8年度 食文化栄養学実習

奥嶋佐知子ゼミ■調理学研究室


このお肉、最初はなんだった?
“食べる”のその前を学ぶ料理教室

   小学生を対象とした料理教室で、「肉」を題材とした食育に取り組んでいる。この背景には、私自身が高校時代に畜産を学び、家畜の飼育や出荷の過程を通して、食べ物となるまでの過程や命と向き合った経験がある。普段の食卓では、肉はすでに加工された「食材」として目にすることが多く、その背景にある生き物の存在を意識する機会は少ない。そこで、肉を実際に調理する体験を通して、食材の背景に目を向けるきっかけをつくることが必要だと考えた。
   本研究では、2026年度の子ども料理教室を通して、肉の部位や特徴などの食材理解を深めるとともに、食材の背景にある「いのち」について考える機会をつくることを目的とする。また、知識を一方的に伝えるだけではなく、調理中の問いかけや声かけを通して、子ども自身が気づき、考えられる食育を目指す。最終的には、食材の違いを知り、自分で食べ物を選ぶ力を身につけ、食べることの背景に気づくことにつなげたい。
   初回の料理教室では、身近な加工食品であるサラダチキンを取り上げ、「これは何の肉か」「もともとはどのような形だったのか」と問いかけ、加工された食品と元の食材を結びつけて考えられるようにした。翌月の教室で子どもから「家でもサラダチキンを作って、料理教室で作ったものと食べ比べた」と聞き、家庭でも取り組んでいたことが分かり、調理を楽しんでいるようだった。以降の料理教室では、カレーや中華スープで生の鶏肉を扱う献立を取り入れた。子ども達からは「鶏肉は好きだけど、生肉を切るのは初めて」「肉を切るのが難しい」といった気づきが増え、普段食べている肉と調理前の肉との違いに興味を持つ様子がみられた。
   これまでの調理体験を通して、子どもたちは普段食べている肉だけでなく、調理前の肉にも目を向けるようになった。また、料理教室での経験を家庭で試す姿もみられ、調理体験が食材への関心を広げるきっかけとなったと考えられる。調理を通して、肉がもともと生きていた命であることや、食卓に届くまでの背景に目を向け、「いただきます」という言葉の意味を子ども自身が考えられるようになって欲しい。