令和6年度 食文化栄養学実習

奥嶋佐知子・神保夏美ゼミ■調理学研究室


お菓子と伝えるコーヒーの魅力
Café Charme

   私は趣味のカフェ巡りやコーヒー好きな母の影響でコーヒーに興味を持ち、今では自分で豆を挽いて飲むほどコーヒーが好きになりました。コーヒー豆の産地や焙煎度、抽出方法によって味や香りが異なるコーヒーの奥深さに気づかされ、コーヒーの魅力をより多くの人に伝えたいと思い、研究を進めています。
   奥嶋・神保ゼミでは「Café Charme」という店名で学内カフェを運営しています。各自のテーマに沿って、焼き菓子の提案、カフェでの提供を行いました。前半の営業では、「コーヒーバタークリームのサンドクッキー」の提供を行いました。試作する中でコーヒーの風味や香りが弱い、バタークリームが分離してしまうといった課題点が挙げられ、これらを改善するためにコーヒー豆を生地に混ぜ込む直前にミルで挽いて入れる、バタークリームはイタリアンメレンゲタイプのレシピから、パータ・ボンブタイプのレシピに変更をし、メニューを完成させました。
   「コーヒーバタークリームのサンドクッキー」を考案する中で、本当に焼き菓子にすることでコーヒーの魅力が伝わるのかと疑問を抱いたため、後半の営業に向け、コーヒーとお菓子のペアリングについても研究を進めることとし、「柑橘のフルーツタルト」を提供しました。爽やかな柑橘系フルーツとブルーベリーをのせたタルトを考案し、柑橘やベリーの風味を感じさせるコーヒーとのペアリングを楽しめる商品として提供しました。より柑橘の爽やかな風味を楽しめるよう、タルトの上にフルーツをのせるだけでなく、クレームダマンドの中にレモンとオレンジの皮を混ぜこむといった工夫を行いました。
   本発表会では、これまでの試作や4回の営業を通しての課題点や改善点、アンケート結果について発表します。

米粉の魅力を伝える精製糖不使用スイーツ
Café Charme

   奥嶋・神保ゼミでは『Café Charme』という名前で学内カフェの運営を行っています。Charmeにはフランス語で魅了する、魔法をかけるという意味があります。こだわりの焼き菓子とドリンクで魅力的なひとときを過ごしていただきたく、3月〜10月までに4回営業を行いました。
   個人テーマは、「米粉の魅力を伝える精製糖不使用スイーツ」です。私は小麦粉以外を使用したスイーツがもっとあれば良いのにと考えていたことと共に、身体を労わる優しいスイーツを作りたいと考えていました。そこで、日本人に馴染みがある米を使った、米粉でスイーツを作ること、精製糖を使わず含蜜糖を使ったスイーツにすることに決めました。今回の研究に共通している制限は、使用する製粉が米粉100%であること、砂糖は含蜜糖を使用することとし、特に米粉の特徴である「サクサク感」や「もっちり感」を活かすためのメニュー開発に取り組みました。1回目のプレ営業と本営業で、生地にもカスタードクリームにも米粉を使用したシュークリームを提供しました。シュー生地の焼成時間を変更して、納得のいく仕上がりになるまで何度も調整しました。2回目のプレ営業では、様々な米粉の製品を楽しんでいただくために、プチフールを提供しました。サクサクホロホロ食感が特徴のバタークッキーと小麦粉よりもずっしりもっちりした食感と夏らしくレモンのさわやかな味が際立つマドレーヌ、サクサク食感のラングドシャの3種類を作り提供しました。3種類の焼き菓子を短時間に作成するのは苦労しましたが、最終的には一つのプレートに様々な焼き菓子を並べることができました。2回目の本営業では、かぼちゃプリンと、甘くない食事系ケーキのケークサレを提供しました。元々甘いスイーツをあまり食べない私にとって、自分の理想とする甘さ控えめの焼き菓子を提供できました。また、ハロウィンに因んでオレンジ色と紫色を取り入れたいと考え、かぼちゃと紫芋を使用しました。
   喫食者アンケートによると本製品を喫食した多くの方が、米粉を使用した製品に対して「ボソボソしていて、体には良さそうだけどおいしくなさそう」というイメージを持っていたことが分かり、最終的には「米粉の方がおいしいかも?!」と感じてもらえる米粉の魅力を伝えることができるスイーツを目指しました。本発表では、試作の過程で工夫した点や苦労した点、営業後の考察などを発表します。

コラボカフェで推し活を最大限楽しみたい!
Café Charme

   私は多くのコラボカフェにおいて、商品の見た目は魅力的なのに対し、おいしさが劣っている、一品の量が多いことから様々な商品を一度に楽しみにくい等の問題点があると感じています。また、特典のグッズを得るために注文だけをして食べ残すという行動が多くみられるようになりました。この問題を改善するために、中間発表では商品の見た目のクオリティを維持し、味やテクスチャー、一品の量を見直すことで、食べ残しを減らし、楽しい、美味しいという気持ちで推し活をしていただけるメニューを提案することにしました。
   奥嶋・神保ゼミでは焼き菓子をメインに提供する学内カフェを運営しています。個人で提供する焼き菓子のテーマを私の推しであるピアプロキャラクターズの「初音ミク」とし、計4回の営業を行いました。前半2回の営業では、SNOW MIKU2021のテーマ楽曲「Fondant Step/Heavenz feat.初音ミク」をイメージした「時計ちゃんのフォンダンショコラ」を提供しました。
   中間発表後、後半2回の営業では、販促物や特典のグッズを得るための大量注文といという、もう一つの問題に注目した新しい焼き菓子の提案を行いました。
   DECO*27さんの楽曲「ヴァンパイア」をイメージした「吸っちゃっていいの?君を絶賛させるザッハトルテ♡」の提供を行い、前半営業に引き続き、初音ミクの魅力と楽曲を食に落とし込み、存分に再現すること、味やテクスチャーにこだわりながら新たに特典となるイラスト販促物を2種類デザインしました。
   本発表会では商品作りにこだわった点、工夫した点を含めて発表します。また、お客様からいただいたアンケート結果や、ゼミ生の意見、感想をもとにコラボカフェにおける問題の改善の方法を探り、まとめたものを発表していきます。

紅茶の魅力を焼き菓子で再発見!
Café Charme

   私は、昔から母とよく飲んでいた紅茶に興味を持ちました。近年では紅茶は飲むだけでなくスイーツとして食べて楽しむ機会が増えています。このことから、アールグレイなど定番の紅茶だけでなく、多種多様な紅茶を使用することで食べて楽しむ紅茶の可能性と新たな魅力を感じてもらいたいと考えました。本実習では、世界三大紅茶をはじめとしたノンフレーバーティーを使用したパウンドケーキと紅茶の風味を生かすフルーツを添えたスイーツを提案しました。
   奥嶋・神保ゼミでは、焼き菓子をメインに提供する学内カフェ“Café Charme”(カフェシャルム)の運営を行ってきました。プレ営業と本営業を各2回行い、前期では「いちごと紅茶のパウンドケーキ」を提供しました。プレ営業でお客様からいただいた意見を取り入れ、本営業では世界三大紅茶のダージリン、ウバ、キームンを使用した食べ比べが出来る3種類の紅茶パウンドケーキを提供しました。付け合わせとして手作りのいちごソースと甘さのないホイップを添えて、季節感があり、紅茶パウンドケーキに合う仕上がりにしました。お客様アンケートで、3種類それぞれの紅茶の風味の違いが分かり難かったり、パウンドケーキのしっとり感が足りないといった課題点が挙げられ、後期の営業に活かしました。後期の営業では「秋を感じる紅茶パウンドケーキ」を提供しました。ミルクティーに合う茶葉を選定し、前期の課題点をふまえて、茶葉を細かくしてから生クリームで煮出し、紅茶の風味を最大限に引き出してからパウンドケーキ生地に混ぜ込んだところ、風味が強く、しっとりとした仕上がりにすることが出来ました。付け合わせにアップルシナモンとさつまいもクリーム、甘さのないホイップを添え、紅茶の風味を引き立てる仕上がりにしました。
   発表会では、これまでの試作や営業を通じて学んだこと、大変だった点や改善点、お客様のアンケート結果などについて発表します。

コラボカフェでおいしい料理を召し上がれ
Café Charme

   みなさんはコラボカフェに行ったことがありますか?私は好きなアニメや漫画のコラボカフェによく行きます。私はコラボカフェで扱われるコンテンツが好きで、キャラクターをイメージした料理やグッズ、空間を楽しむために利用しています。しかし、コンテンツを用いているコラボカフェでは料理の見た目が重視されていて味わいに納得ができないという課題があると感じました。私はこの課題に対して味わいと見た目を両立させたメニュー提案を通じてよりコラボカフェを楽しんでもらいたいと思い、研究を続けました。
   奥嶋・神保ゼミでは焼き菓子を使用した学内カフェを運営してきました。個人で提供するメインの焼き菓子をマカロンと設定し2度のプレ営業、本営業を行いました。5月の本営業では2人組のキャラクターをモチーフとし、ビターチョコレートとチーズケーキガナッシュを挟んだマカロンを提供しました。マカロンの生地に対する課題が多く、焼成温度が高く焼き色がついてしまったり、マカロナージュの過剰によりマカロン自体が膨らまず萎んでしまったりと何度も試作を繰り返しました。その結果、マカロナージュを生地の状態を適切に判断して行えるようになり、見た目も良いマカロンに仕上げることが出来ました。10月の本営業では紫色イメージのキャラクターをモチーフとし、マカロンケーキを提供しました。
   マカロンには「甘味が強い」という課題がありましたが、生のブドウで酸味を加え、カスタードクリームで甘味を和らげることで改善しました。また、マカロンは制作時の湿度に左右されることが多く、8月や9月の湿度では5月の本営業にて使用していた基本レシピでは美しく焼くことができなくなってしまいました。そのため1度基本レシピを見直し、グラニュー糖の量を増やし、角がツンと立つように泡立て、表面を完全に乾燥させることでより美しいマカロンを焼成することができました。
   本発表会では4回の営業を通じて工夫した点や前営業からの改善点、味わいに対して工夫した点、見た目に関してこだわった点を含めてスライドにて発表し、お客様から頂いたアンケートやゼミ生の感想を基に目的としていた見た目と味わいを両立させたメニュー提案をすることができたのか発表したいと思います。

ガトーショコラで新感覚スイーツ!
Café Charme

   2種類のスイーツやパンの特徴を組み合わせてできた新たなスイーツであるハイブリッドスイーツが、近年コンビニエンスストアやカフェなどの市場に増加し始めている。見た目や味などのユニークさから、食べる人をワクワクさせるという点に魅力を感じ、本研究では、スイーツが好きな人を対象に、味や見た目の新寄生によりワクワクするスイーツを提案することを目的とし、新たなハイブリッドスイーツの考案をテーマとした。スイーツの中でも人気の高いガトーショコラをベースとし、市場調査や文献調査をもとに組み合わせるスイーツの検討、試作を行った。
   本ゼミでは「Café Charme」という店名で学内カフェの営業を行った。学内カフェでは各自のテーマに沿った焼き菓子を提供し、私は自分で新たに考案したハイブリットスイーツの提供を行った。
   1回目の本営業では、ガトーショコラと浮島を組み合わせた「ガトー・うきしま・ショコラ」を提供した。浮島とは、こし餡とメレンゲを主材料として蒸した、しっとりした食感が特徴の和菓子である。提供したのはガトーショコラと浮島を2層にして蒸したスイーツで、試作を通してそれぞれの生地の比率を調節したり、イチゴジャムで酸味、甘納豆で食感を加えたりして、ガトーショコラと浮島の食べ合わせを工夫した。
   2回目の本営業では、ガトーショコラとメロンパンを組み合わせた「メロンパンショコラ」を提供した。ガトーショコラをクッキー生地で包んで焼き上げ、外はさっくり、中はしっとりの2つの食感が楽しめるスイーツに仕上げた。イチゴとバナナ、2種類のフレーバーを用意し、クッキー生地とガトーショコラの間にそれぞれのペーストを入れたが、その際サクサク食感が損なわれないよう、試作では粉や水分量の調節を行った。
   本発表では、これまでの活動で得られた成果について、試作や、カフェ営業を通してお客様から頂いた評価を基に発表する。

トッピングで自分好みの焼き菓子を
Café Charme

   私がこのテーマを選んだのは、数年前にカフェで体験した"カスタムオーダー"の魅力や楽しさを、少しでも多くの方々に伝えたいと考えたからです。自分の好みや気分に合わせてトッピングをカスタマイズすることで、食事がより楽しく、満足度や体験価値が大きく高まることを実感しました。特に、トッピングによって味や食感のバリエーションが加わり、個々の味覚に応じたカスタム体験ができる点に魅力を感じ、今回の研究に取り組むことにしました。
   学内カフェ【Café Charme】の前半の営業では、焼き菓子の中でもシンプルで、さまざまなトッピングとの相性がよいスコーンを提供しました。お客様には、2種類のトッピングを自由に選んでいただき、オリジナルのプレートを楽しんでいただきました。私がカスタムオーダーを体験したカフェでは甘いトッピングのみでしたが、自分自身が甘味と塩味が同時に感じられる"甘じょっぱい"食べ物を好むことや、トッピングの幅を広げたいという思いから、"甘じょっぱい"・"しょっぱい"トッピングも加えた6種類を考案し、より自分好みの焼き菓子に仕上げることができるよう試行錯誤を重ねました。後半のプレ営業では、ポップオーバーと選べる2種類のトッピングを提供しました。ポップオーバーの軽くて空洞のある生地や、甘さが控えめな生地はどんなトッピングにも合うのではないかと考えたため、このメニューを選びました。 本営業では、発表会でのコメントと営業で実施したアンケート結果を基に、選べるトッピングを3種類に増やし、お客様により多様な組み合わせを楽しんでいただけるよう改善を行いました。
   今後もゼミ活動での経験を活かし、最終的には将来カフェで働いた際に、考案したメニューを提案・提供したいと考えています。お客様それぞれが自分だけの特別な焼き菓子を楽しめる体験を提供し、私が提案した商品を通して、カスタムオーダーの魅力や楽しさを伝えていきたいです。

食物アレルギー対応スイーツの提案
Café Charme

   私たちは『Café Charme』(シャルム)という名前で、学内カフェの運営を行っています。Charmeにはフランス語で魅了する、魔法をかけるという意味があり、私たちの提供するスイーツや空間で魅力的な時間を過ごして頂きたいという思いが込められています。個人テーマは、食物アレルギー対応の焼き菓子です。私は周囲にアレルギーを持つ人が多いことから、食物アレルギーに興味を持ちました。厚生労働省によると、日本の人口1~2%の方が何らかの食物アレルギーを持っている可能性があると報告されています。即時型食物アレルギー原因食物の過半数を占める鶏卵や小麦、乳製品はスイーツに多く使用される材料です。本研究では、食物アレルギーを持っている方を含めた全ての方に楽しんでいただけるような焼き菓子の商品提案を目的とし、食物アレルギー代替食材を使用した2種類のスイーツの提案を行います。
   これまでは計4回の営業を行い、3月・5月の営業では、鶏卵不使用のプリンと卵白・小麦粉不使用のアーモンドチュイールを提供しました。プリンの鶏卵不使用のレシピは調べると数多く出てきますが、ほとんどはゼラチンや寒天などの凝固剤を使用しているためゼリーのような食感です。そこで凝固剤を使用しないレシピを製作したいと考えました。また、プレートとして提供する際の味やテクスチャーなどのバランスを検討し、食べ合わせを楽しめるよう提案しました。8月・10月の営業では、鶏卵・乳・乳製品・小麦を使用しないティラミスを提供しました。スポンジ生地は上記食材を使用せずに水分量と膨らみが適度なバランスになるよう工夫し、クリームは乳・乳製品を使用せずにティラミス本来のもったりとした濃厚なクリームを再現できるようレシピ作成を行いました。
   中間発表では5月までの試作と学内カフェの運営について報告をしました。本発表では6月以降の活動と計4回の営業を通じて学んだこと、工夫した点や苦労した点などについて発表します。

最後までおいしく「五味そうさま!」
Café Charme

   私の知人は、1つの料理、特に甘い食べ物を食べている途中で「味に飽きた」と食事を終える。この行動への疑問を契機に、私は食べ物の「飽き」に興味を持ち研究テーマとした。また「飽き」に関する調査の過程で、おいしさに関係のある「五味の感じ方」についての研究事例が、他のおいしさの構成要素(見た目や温度、色彩など)についての研究に比べて少ないことを知り興味を持った。このことから五味の特徴を踏まえた飽きない料理は実現可能なのかという疑問が生まれたため、本ゼミでは食べ物の「飽き」の要因と五味の特徴に関する文献調査結果を応用した焼き菓子の提案を目的とした。
   中間発表会ではそれまでに取り組んできた活動として、関連文献の収集と整理、1品目の菓子試作と学内カフェのプレオープンでの提供などについて報告した。そして今回は中間発表会以降に取り組んだ活動として、2品目の菓子試作と学内カフェでの提供や全4回の営業で得られた結果の考察、研究全体を通して明らかになったことなどについて報告する。
   本研究では、2種類の飽きの要因([1]糖類摂取によるホルモン分泌、[2]同一の食べ物の継続摂取による大脳皮質からの感覚信号)それぞれに対応した2種類のタルト菓子を提案し学内カフェで提供した。全3回のアンケート結果では、[1]を起因とした飽きに対応した1品目は「少し飽きた」という回答が複数見られたが、[2]を起因とした飽きに対応した2品目は全て「飽きなかった」という回答であった。以上のことから今回提案した菓子においては、糖類の摂取による飽きに比べ同一の食べ物の継続摂取による飽きの方が感じやすいと考えられた。
   また2種類のタルト菓子において五基本味の特徴を活かした提案をすることができた。特に、2品目に提案した「おだしの効いたうまみあん」では鰹節を使用しただしと抹茶を使用したタルトを組み合わせてうま味の相乗効果を生み出し、「意外性がある」「面白い」という意見を得ることができた。このことからスイーツにおける「うま味」の応用はこれからの食業界の商品開発に活かすことができるものだと考えた。
   最後に、本研究を通して得られた「飽き」と「五基本味の感じ方」に関する考察や提案レシピなどは、今後の飲食店の商品提案や改良に貢献するものだと思われる。