令和6年度 食文化栄養学実習

平野覚堂ゼミ■ビジュアル・コミュニケーション研究室


目で味わう装飾菓子
─マジパン細工で表現する和歌の世界─

学園内留学を通し、マジパン細工でコンテストに挑戦した。マジパン細工は童話やイベントをモチーフにしたものが多く、絵本の世界のような可愛らしい見た目の作品が並ぶ光景に少し違和感を覚えた。その一方で、和菓子の実習を通し、和菓子には日本の文化を象徴させるような四季折々の多彩な表現や美しい見た目、その見た目に宿る意味や菓銘など、奥深い魅力があることを知った。このことから、マジパン細工にも和菓子のような菓銘や意匠を取り入れることで、新たな魅せ方を表現できるのではないかと考えた。「桜」をテーマに百人一首をもとに、日本らしさをもつ新たなマジパン細工の魅せ方を提案する。

台所と暮らし

人の家の台所に行き、その台所とそこで暮らす人を取材している。私は人の暮らしに興味があり、その人が何を考え生きているのか、どんなことを大切にしているのか、これまでどのような人生だったのか知りたいと考えている。それらを知る手段として、台所に着目した。なぜなら、台所は暮らしの一部であり、そこで暮らす人の個性が出るところだからだ。同じ人間が一人としていないように台所も同じものは存在しない。取材させてもらう対象者は、自分のこれまでの人生に関わりのあった人としている。6月の発表では、これまでに取材した6人の台所とその人について発表する。

無機質と食と美と
─光を表現した和菓子─

近頃、「無機質カフェ」という言葉が流行っているらしい。それはカフェのメニューのことではなく空間のことであり、家では再現しにくい空間やコンセプトの強さによって若者世代から支持されているようだ。食業界において「無機質」という言葉は現代プラスに捉えられているのである。それならば、食空間だけでなく、食そのものにおいても「無機質」がプラスの働きする可能性もあるのではないか。本研究では食における「無機質」の可能性を、自分が無機質とは離れていると感じる和食によって表現し、その後、五感の芸術とも呼ばれる和菓子によって美術作品の美しさ、無機質な雰囲気を制作していく。

にっぽん脇毛カルチャーにおけるクリエイション

自分の脇に毛が生え始めたとき、どんな感情を抱いただろうか。私たちが生きるこの日本では女性の剃毛、脱毛は美容行為の一つとして広く受け入れられている。しかし、世界に目を向けると、「生やしておく選択肢」が存在する。体毛の中でも、最も生やしておくにはハードルが高いであろう脇毛にフォーカスして、生やす選択肢をグラフィックデザインで表現する。研究目的は、今ある「普通」を破壊することだ。常識にとらわれず、進化を追い求めていく。その過程で出会う人、共感を得る人、そうでない人にも、これまで考えもしなかったであろう脇毛について、生きる上での新たなテーマを見出してもらいたい。