令和4年度 食文化栄養学実習

宮内正ゼミ■文化学研究室


ポチる瞬間が最高潮

「ポチる」。それは、オンラインショッピングなどで商品の購入ボタンをクリックするという意味のネットスラングである。人間の消費行動のうち、計画購買は1割程度に過ぎないと言われる。ほとんどは非計画購買、つまり衝動買いである。夜な夜な携帯をいじり、ネットで服を買ってしまう。コンビニでもつい余計なものまで購入してしまう。一体、原因は何なのだろうか。そこには、勢いやノリ、興奮の他にタイムセールなどといった気持ちを揺さぶる外的要因も含まれていると考える。そこで人間の心理とその背景にある社会的・経済的・文化的要因とは何かについて文献調査を進め、考察する。

スポーツ観戦における食の役割 

皆さんは現地でスポーツ観戦をしたことがありますか? 私はよく地元にあるプロチームの試合観戦に訪れます。そこでは会場にお祭り時のように出店が並び、観客は飲食物を手に持ちながら試合観戦をします。考えてみれば、スポーツ観戦することと飲食することは本来無関係であるはずなのに、なぜ人々はスポーツ観戦しながら飲食をするのか、不思議です。本研究では、スポーツ観戦において食はどのような役割を担っているのかを追究します。さらに、スポーツ種目の違いによる食事の内容における楽しみ方の違いや、試合に集中できる商品の提案、スポーツ観戦における食のあり方などについても調べていきます。

カフェという場所を考える

若い世代にとってカフェは身近な場所となっている。SNSの影響が大きいこともあり、カフェを調べる時はネットで検索するより具体的で多くの情報が手に入る。カフェと言ってもその種類は様々であるが、SNS上で話題になったカフェには写真で見た飲食物を目当てに訪れるようになる。そうなると、これまでのカフェの目的や意味とは異なってくるのではないか。そこでなぜ人々はカフェに行くのか、訪れる目的とカフェ空間について調査することにした。カフェ空間は利用目的と関係していると考え、空間にも着目しながら、今後カフェはどのような場所になっていくのか考察していく。

和食と日本酒と居酒屋と。
~あったらいいな、こんなお店~

皆さんは、居酒屋好きですか? 私は大好きです。初めて行った三軒茶屋の居酒屋。ただ、お酒を飲む だけではなく、料理、空間、接客、お店の雰囲気、全てを魅力に感じたのが、居酒屋巡りにはまったきっかけでした。友人とお酒を片手に語りながら、そこでしか出会えないおいしい肴を楽しむ、これが 私の思う『居酒屋』の魅力の一つだと考えます。『居酒屋』はどのようにして生まれたのか、人々は『居酒屋』に何を求めて足を運ぶのかについて追求します。また、他の飲食店にはない『居酒屋』ならではの魅力とは何か、そこから、私が考える理想の『居酒屋』を追究していきます。

私の家のごちそう
家族と料理のつながり

私は家族が作ってくれる料理が大好きです。大学に入りひとり暮らしを始めたころから、そのありがたみをより一層感じるようになりました。母や祖母が作ってくれる料理には、レストランで食べる料理にはない何かがあるはずです。これはいったい何なのか。料理の味なのか味だけではない何か別のものなのか。そこで、まず家庭料理の特徴とレストランの料理の特徴を明らかにし、次に家庭料理におけるこだわりのある料理法や食材について調査します。最後に、母や祖母が作ってくれる料理にはどのような想いや意味が込められているのか、それを私はどう受けとめているのか、について考察していきます。

お菓子の魅力と謎

いまはどこでも手軽に手に入り、いつでも食べることのできるお菓子。お菓子は私たちの日常に欠かせないものとなりつつある。そんな身近なお菓子をみなさんはどんな時にどんな場所で食べるだろうか。なかにはお菓子を全く食べない人もいる。年齢によってお菓子の嗜好性が変わることもある。じっさい私の祖母は昔は洋菓子派であったのに今は和菓子派になってしまった。こうした嗜好の変化や、お菓子を食べない人とお菓子を食べる人の違いはどこから来るのか。以上に紹介した数々の疑問や日々の実感を手がかりに、私たちの生活においてお菓子とはどのような存在であるかについて追究する。

あなたにとって、ごはんとは?
ごはんという日本語の不思議

“ごはん”。この三文字を見てあなたは何を思い浮かべますか。お茶碗に盛られた一杯の“ごはん”。「今度ごはん行こう」と言うときの、食事やその空間全体としての“ごはん”。あるいは、食卓に並んだ数々の料理をひとまとめに言うときの“ごはん”。これら三つのうちのどれかになるのではないでしょうか。 私たちは“ごはん”という単語を、そのときの状況や文脈に合わせて無意識のうちにその意味を正しく理解し会話しています。そこには、話し相手、その人との関係性、状況、前後の会話が影響し合っているはずです。日本語の“ごはん”という言葉の意味やニュアンスについて考察します。

それぞれの利用者にとっての回転寿司

私は回転寿司に行くのが好きです。少なくとも月に二回、多いときは週に一回は行きます。回転寿司は、高級品というイメージのあるお寿司が一皿110円からと安価な価格で提供され、友人や家族はもちろん、一人でも気軽に利用することができます。レーン上をおいしそうなお寿司がぐるぐると回転していく様子を見るのも楽しみの一つです。回転寿司に通ううちに、一人なのか誰かと一緒なのか、その一緒に行く人が誰なのかによって、その食事シーンのもつ意味合いも違ってくるのではないかと気が付きました。回転寿司という一つの食空間が、それぞれの利用者にとってどういう意味をもつのかについて探ります。

今日の心地よさ
カフェをなぜ利用するのか

みなさんはどのような時にカフェを利用しますか?美味しいコーヒーを味わう時、休憩や気分転換をしたい時、友人や知人とのおしゃべりがしたい時、軽食をとりたい時などそれぞれあると思います。これまでのカフェのイメージはコーヒーをくつろぎながら飲む居心地の良い空間であり、一人で落ち着いて読書や勉強をする場でしたが、近年ではインスタ映えするようなカフェができたり、ごはん屋さんでも内装がオシャレであればカフェと呼ばれたり、時代を経てカフェの言葉自体変化しているように感じます。カフェによって利用の仕方は変わるのかをフィールドワークなどを通して追求していきます。

なぜスターバックスは人気があるのか

近年、SNSなどを見るとカフェの需要が高まっていることが分かります。中でもスターバックスコーヒーは幅広い世代に親しまれています。スターバックスコーヒーは何故こんなに人気があるのでしょうか。店内をみると、勉強している人、読書する人、会話を楽しんでいる人など、それぞれ思い思いにその空間を利用しているように見えます。カフェチェーン店の中でも多くの店舗数を構え、絶大な人気を誇るスターバックスコーヒーについて、その客層や利用目的とはどういうものか、人はカフェに何を求めているのか、さらには、なぜここまでカフェ文化が発展をしたのかを探ります。

ぼっち飯ってかわいそう?
〜ひとり行動・ひとり時間で得られるもの〜

突然ですが、皆さんは一人で外食をしたことがありますか?ぼっちで飯を食べるのはかわいそうなこと?恥ずかしいこと?学校や職場で一緒に食事をする相手がいないことに一種の恐怖を覚えることをランチメイト症候群といいます。また、ぼっち飯をしている惨めな様子を他人に見られたくないという心情から、トイレの個室で食事をする「便所飯」という行為を行う人もいるそうです。しかし、現在ではぼっち飯を辛いと思う人ばかりではないようです。実際、カウンター席やおひとりさまがコンセプトのお店も結構増えてきています。今回はその「ぼっち飯」について深く追求していきたいと思っています。

和食における美とは〜幕の内弁当を中心に〜
食と向き合うときの考え方について

料理を前にして私たちは何を考えるだろうか。作り立ての温もり、いつもの味が味わえる安堵感。特別なごちそうであれば、洗練された味が味わえるという期待感、季節の彩りを考えた盛り付けに心躍る高揚感。こうした場面において、その料理が美しいかどうかを意識する人はどれほどいるだろうか。一方、外国人は日本料理を美しいと賞賛する。そもそも料理とは美しいものなのか。美しいものでなければならないのか。美しいものとはどういうものなのか。美しいと判断する基準はどこにあるのか。食べる人の「おいしそう」という判断なのか、料理人のイメージなのか、あるいは、外国人のもつイメージなのか。