令和4年度 食文化栄養学実習

竹内由紀子ゼミ■食文化研究室


心身の健康を保つための自然療法

「自然療法」とは、身体が本来持っている自然治癒力を活かして健康を維持したり、病気を治そうとする医療体系のことです。「自然療法」の中に「植物療法」があります。「植物療法」とは、植物粗抽出物を用い、人が生まれながらにして有している自然治癒力に働きかける療法をいいます。植物と聞いて何を思い浮かべますか?多くの人にとって植物は、第一に食べものなのではないでしょうか。しかし植物には、身体の不調を改善したり、健康を保つ、言わば薬理的な効果を発揮するものもあるとわかりました。今回はハーブの力に着目します。植物療法の可能性をみなさんと共有したいです。

オタクが紹介する百人一首の魅力

私は、6歳から12年間、競技かるたを習っていた百人一首オタクです。大好きな百人一首を食と絡めながら、多くの人にその魅力を伝えたいと思い、このテーマにしました。百人一首は、鎌倉時代の歌人、藤原定家が飛鳥時代から、鎌倉時代までの歌人を100人挙げて、1人につき1首ずつ選んで成立した和歌集です。江戸時代にかるたの形に整えられ、明治時代に競技かるたとして広まりました。経過報告会では、百人一首をモチーフにした商品があることを紹介しました。さらに百人一首に関連した企画などについて追跡し、魅力を伝える実践の在り方を追究したいと思います。

酢は何のために存在したのか
酢から見る世界の食文化

甘味はエネルギー、塩味はミネラル、旨味はタンパク質。このように食材に含まれる栄養素は味で明示される。一方、酸味と苦味は人体に有害である可能性を示唆し、人はこれらの味を不快に感じるとされる。しかし不快に感じるはずの酸味が、今日まで世界の各地で豊かな食のバラエティに関与している。人類は有益な発酵という現象を見出して、数々の発酵食品を生み出してきた。酢もその一つである。現代における酢の使用目的は主に調味であるが、異なる時代や地域の使用方法や種類を調査すれば文化や風土が見出せると考え、世界の酢について追求することをテーマにしている。

マカロンの不思議な魅力

外側はサクッと、内側はねちっとした独特な食感をもつマカロンの虜となった。現在、マカロンは多様化している。その実態は、バニラ・チョコレート・ストロベリーといった定番から目を疑うような変わり種まで数えきれないほどだ。最近では、韓国のトゥンカロンが流行したり、コンビニでマカロンが販売されていたりとさまざまな場所で見かけることが多くなった。既存の型にとらわれない、変容する姿に可能性を感じ、研究テーマとした。マカロンの特徴や魅力を分析し、多様化した姿を追跡する。市場のマカロンを一つひとつ目で見て味わい、探っていく。今回は、身近なマカロンについて発表する。

床屋をカフェにして居場所をつくる

私は自分を含めた誰かの居場所となる場所を求めてきた。そして私は、人に手料理を振舞っている時に居場所を得られた感覚になる。そんな私の想いから表記のテーマで活動をしている。床屋である理由は、私の母親の実家が昭和44年開業の床屋として建物を残しているため、古き良き魅力をもつ居抜き物件として扱えると考えたからだ。また、一般的にカフェは第三の居場所としての機能をもつため、居場所を作るのに適した業態だと判断したことから床屋をカフェにすることにした。人が居場所だと感じる要件を調べ、最終的にはどんなカフェが自分にとっての居場所になるのかを模索したい。

日本国内における和食の普及

皆さんにとって「和食」とは身近な存在ですか。これに対して、肯定的な意見を持つ人は少ないのではないでしょうか。和食は日本独自の食で健康に良い印象がありますが、同時に手間や高級といった日常に馴染みにくい印象もあります。飽食の時代により和食離れが進んだことで継承が危ぶまれ、2013年ユネスコ無形文化遺産に登録されました。一方で海外からは健康的、動物性食品の利用が少ない、環境に対し良いなどの点から注目されています。海外のように国内で和食に対して魅力を感じてもらえるよう、近年の日本国内の食志向や自国の食に誇りを持っている海外食を元に、和食の姿や良さをお伝えします。

タラの魅力ったら
タラコと白子

私の両親は海の幸が豊富な青森県出身であり、食卓にも魚が多く登場する。私はそのなかでもほろほろとして淡白な味わいのタラが一番好きである。そこで、食べるだけではないタラの魅力を多くの人に知ってもらいたいと思い、テーマとした。これまでの研究でタラは日本各地で様々な食べ方がされていることを知った。今回はタラの卵巣と精巣であるタラコと白子に焦点を当て、地域による呼び方の違いや地域性、歴史を追究する。今後は各地域のタラ料理を実際に調理し地域性や見つける、タラ漁師の方にインタビューをするなど、タラについて様々な視点から知見を広げていく。

心惹かれるレモネード

レモネードはレモン果汁に甘味を加えて、水、炭酸、お湯などで割った飲み物です。私は元々、炭酸飲料が得意ではありませんでしたが、レモネードが炭酸飲料とは限らないと知ったとき、私にとってレモネードは新しい飲み物の選択肢となりました。そして、レモネードの爽やかな飲み心地に魅力を感じました。2016年頃からレモネード専門店ができ、アメリカの影響を受け、日本での注目度も高まってきました。調べていく中で、レモネードは小児がんの支援に関わっていることがわかりました。味わいだけでなく、歴史や意味付けなど違った目線で、レモネードについて追求していこうと考えています。

福島の醤油

日本料理に欠かせない調味料の一つである醤油。私は幼い頃に経験した塩分制限がきっかけで、醤油に興味を持ちました。私は、自分の地元である福島県の醤油にフォーカスしようと研究を進めています。福島県は醤油の生産地として著名でないかもしれませんが、醤油醸造所が20カ所以上あります。地方の中小規模の醤油醸造メーカーがどのような戦略を持って経営しているのか調査したいと思っています。未だ福島県での調査はできていませんが、予備的調査として埼玉県にある弓削多醤油で、社長にお話をうかがい、見学の機会を得ました。この知見を活かして研究を進めて行きます。

台湾と日本の珈琲事情
─コーヒーの歴史を味わう─

日本でも国産のコーヒーが栽培されていることを知っていますか?その栽培技術の出所はまさかの台湾?!1895~1945年、日本が台湾を占領していました、日本は台湾でコーヒーの栽培実験を行い、台湾産のコーヒーを日本の国産コーヒーとて販売した時代もありました。歴史的に深い繋がりがある二つの国を、コーヒーを通して見ると、関係性の深さや文化の違いが見えてきます。日本では、独自に発展した喫茶店文化があり、近年はカフェの文化が展開しています。一方台湾でも、20年ほど前からカフェブームが起きています。両国のコーヒーの好みや生活における意味などについて比較研究しています。

世界に受け入れられる日本食

みなさんは日本食と聞くと何を想像しますか。すし、焼き鳥、天ぷら、たくさん想像できますね。ではこの写真は何だと思いますか?これは海外で一般的な「寿司」、日本食なのです。実は海外で認知されている日本食は、日本人が認識している日本食とはかなりかけ離れたものなのです。私は、海外ではどのようにアレンジされたものが日本食として認識されているのかに着目しています。日本人が親しんできた日本食を「伝統的日本食」、他国の人によってアレンジされた日本食を「フュージョン日本食」として、ヨーロッパ、特にオランダをメインに新たな日本食「フュージョン日本食」を調査しています。