令和4年度 食文化栄養学実習

衛藤久美ゼミ■国際協力学研究室


料理で楽しく学ぶ化学

料理は化学でできていると私は考える。本実習の目的は料理の楽しさを活用しながら、楽しく化学を学ぶきっかけを作ることである。小・中学校の理科の教科書の内容をふまえ、今回は結晶化、酸性とアルカリ性、物質の加熱による変化を取り上げることとし、琥珀糖、ロックキャンディー、バタフライピーのドリンク、クッキーの試作を行った。実際に作る事で化学の仕組みが理解しやすくなることが分かった。今後はさらに試作を行い、化学が苦手な人にも化学の仕組みをわかりやすく伝える方法を検討し、その内容を中学生以上に伝えるための冊子にまとめる予定である。

ゼロウェイスト料理を作りたい

身近なキッチンから出るごみは、食べ残し、野菜の皮や芯、食品パッケージ、使い捨て容器などがある。本実習では、通常生ごみとして捨てられる食材を活用して作る料理を「ゼロウェイスト料理」と呼び、ゼロウェイスト料理を作ることを目的とする。これまでにゼロウェイストの定義や環境問題の5R、食品ロスの実態などについて調べ、年間約570万トンの食品ロスが出ていることなどが分かった。また、書籍を参考に食品ロスを活用した料理を試作した。今後はオリジナルのゼロウェイスト料理の試作を行う予定だ。また、試作したゼロウェイスト料理をどのように活用していくかも考えていく。

プラントベースな食事法の提案
健康的で地球環境に優しい食生活の一つの方法

私は、人にも地球環境にも優しいプラントベースな食事法に関心を持った。本実習の目的は、日本人の食生活状況を踏まえ、「健康の促進」と「食料自給率の向上」につながるプラントベースな食事法を考案することである。これまでの文献調査より、プラントベースの食事法は、日本人が不足しがちな栄養素を補える可能性があることが分かった。また、プラントベース商品やプラントベースな料理を提供する飲食店を調べ、メニューを考案する際には調理法や満足感の工夫が必要だと分かった。今後は、不足しがちな栄養素を補うことができ、食料自給率の高い食材を使用したメニューを考案していく。

食育×サスティナブル

私はSDGs(Sustainable Development Goals)の「飢餓をゼロに」という目標と食品ロスが多い現状に矛盾を感じた。本実習の目的は食育を通じて食品ロスについて語り継いでいくサスティナブルな観点を取り入れた食育教材を考案することである。幼児対象の食に関する絵本を調べた結果、年齢に応じて内容、大きさ等が異なることがわかった。また文献調査よりデジタルの教材が多くあること、絵本以外にもエプロン、手袋、マグネットなどを活用した教材があることがわかった。今後は食育を通じて実際に触れる感覚を大切にするアナログな教材を作成していく予定である。

“もしも”に備えて野菜をストック

災害食について興味を持ち調べていく中で、近年「乾物・干し野菜」が災害時の栄養不足を補充できる食品として注目されていることが分かった。そこで本実習では、野菜の備蓄方法の1つとして「乾物・干し野菜」を活用したローリングストック方法を提案することを目的とする。文献調査の結果、野菜は乾燥させることで保存性に加えて、栄養価や風味も高まることが分かった。そこで、干し野菜を3つの干し方で製作し、野菜の特徴に合わせた干し方や保存方法などを比較し検討した。今後は干し野菜と市販の乾物を組み合わせて、日常生活にローリングストックを取り入れる具体的な方法について検討する。