令和3年度 食文化栄養学実習

宮内正ゼミ■文化学研究室


カプセルトイの魅力
今、大人たちにヒットしているのはなぜか

  硬貨を入れてハンドルを回すと転がり出てくるカプセル、あの空間は夢の詰まった宝箱のようなものだと考える。私が幼い頃に感じた開けるまで中身のわからないドキドキワクワク感は、大人になった今でも忘れられないほどの思い出であり、街で見かけるとついつい回してしまう。近年では大規模なカプセルトイ専用ショップも相次いで登場し、種類はおもちゃだけでなくクオリティーの高いミニチュアやポーチ、高価格ガチャなど変わり種まで様々なものへ発展した。しかし、よく考えると流行がめまぐるしく変化していく中で、硬貨を入れてハンドルを回すというアナログ式なカプセルトイはなぜ現在に至るまで残り続けているのだろうと疑問に思った。衰退していくどころか今や日本のカプセルトイは従来の子供向けおもちゃというイメージは薄れ、私のような大人までも巻き込む大きなマーケットとなっている。このことから私は、拡大し続けるカプセルトイの魅力について追求していこうと考えた。
  第1回の発表会では主にカプセルトイの市場動向、歴史、食べ物グッズの分類について発表した。4度にわたるカプセルトイブームが訪れていること、大人向けの商品が増えクオリティーや金額に変化が生まれていること、SNSの拡大により話題性になるデザインが人気だということがわかった。市場動向や歴史を振り返る中で、カプセルトイの発展には「大人」が深く関わっているといるのではないかと考察し、テーマを見直しカプセルトイの種類の中でも「食べ物グッズ」から「大人向け商品」へと焦点を変更することにした。
  第2回の発表会では子供向け商品と大人向け商品の比較とヒットへ向けた企業側の狙いを詳しく読み解くとともに、今後大人たちが与える影響について考察する。カプセルトイを回したいというきっかけ作りになったら嬉しい。

コーヒー嫌いがカフェに行く。

  私はコーヒーが苦手な人はなぜカフェに行くのか、ということを中心にし、カフェのあり方や最近の楽しめるコンセプトカフェを調べてテーマにしようと思います。私はコーヒーが苦手で飲めません。しかし、カフェや喫茶店の空間が好きでよく利用します。私のようなコーヒー嫌いもカフェを利用する理由を調査することにしました。カフェはコーヒーが苦手な人も通っていることからどういう理由で通うのか、カフェに求めるもの、楽しみ方、新しいカフェの形など、どのような要因でカフェという空間が構成されているのか、カフェのあり方について考えることを目的とします。
  カフェの利用目的は飲食物だけではありません。落ち着ける場所であれば図書館や漫画喫茶でも良いのにカフェに行く理由は、喫茶店やカフェを選ぶ際に重視するものが、雰囲気、内装・デザインなど店の作りが良い、という点があると考えました。どれが最重視されているのでしょうか。現在の明るくて新しいカフェのイメージは、1994年にカフェの本場・パリをお手本にしたオープンカフェが流行したことから広まりました。2000年頃にはコーヒー豆のオリジナルロースティングが売りの、開放的で明るいアメリカ西海岸からのカフェスタイルのブームとともに、さまざまなチェーン店が生まれ、現在に至ります。「ここでしか飲めない・食べられない」という、見た目も内容もこだわりの一品メニューが用意されているケースもありますが、メニューだけでなく椅子などの設備も個性的で印象に残りやすいものを揃え空間や雰囲気を提供するカフェが大半だと思います。立地や名称など、各所でオシャレ感を重視しており、店員の格好や立ち居振る舞い、接客対応なども含めて、お店全体で雰囲気を作り出すことでお客様に満足のいくサービスを行っているのではないでしょうか。

酒場の役割とお酒の魅力

  当たり前のように店内でお酒を飲み、賑わっていた酒場ですが、新型コロナウイルスが流行し、その多くが休業、閉店に追い込まれ、人々の賑わう姿を見ることは少なくなりました。コロナ禍といわれる世の中になり、日常から酒場が減ることで、人々はどのような影響を受けてきたのでしょうか。酒場が存在している意味とは。酒場にいけない状況となった今、改めて、人々がどのような目的で酒場を利用しているのか、酒場の役割とその魅力について調べてみようと思いました。
  まずは、文献調査、アンケート調査から、酒場の歴史や利用のされ方、コロナ禍による影響を探り、酒場はお酒を飲んだり、ごはんを食べたりすることに加えて、友人と会う場所、同窓会や歓送迎会などのイベントの場所として利用されていることがわかりました。また、時には新しい人との交流も生まれることから、酒場は食事をする場所だけでなく、コミュニケーションの場所、ストレスを発散する場所としての役割も担っていると考えました。
  しかし、酒場をコミュニケーションの場所とするならば、ファミリーレストランやカフェなども同じ役割を果たしているのではないか。酒場ではない飲食店と酒場の違いはお店の雰囲気が異なることに加え、お酒の種類や有無が大きな違いだと考え、お酒の魅力について調査しようと思いました。また、新型コロナウイルスの影響により、お店が時短営業、休業になり、お酒を飲む頻度は低下し、家飲みが増えたことから、コロナ禍という状況を経てお酒の飲み方が変化したことがわかりました。現在は、緊急事態宣言は解消され、少しずつですが酒場が戻りつつありますが、まだ安心しきれない世の中で家飲みという選択肢を少しでも楽しくする工夫も考えていこうと思います。

”見方”を変える
-アニメ映画監督による描き方の違い-

  日本のアニメ映画は年々盛り上がりを見せ、今では海外でも人気なほど日本の魅力の一つになっています。そんなアニメ映画に私が注目したのは「食」です。ドラマやバラエティー番組と違い架空の物、実際には存在しないものが出てきているものに対しどうして人は、おいしそうという味やうれしい・悲しいという感情をもつのかという点を不思議に思いました。皆さんもそのような経験があるのではないでしょうか?アニメに出てくる食べ物に実写以上に魅力を感じたり、食べてみたい!と思うことがあるかと思います。このような自身の考えと周りの声を聴いて「どうしてなのか」ということを突き詰めていくことにしました。そこで、宮崎駿監督・細田守監督・新海誠監督の3人の監督を比較しながら美味しさの表現方法について自分なりの観点から考察しました。
  第1回の発表ではまず、人物の表情と体の動きに着目しました。そこでは宮崎監督は目で、細田監督は体の動きで、新海監督は目と手の動きでおいしさを表現していることがわかりました。また、登場する人物について、老若男女様々であり、子供がテーマや家族がテーマなど監督ごとに違ってくることもわかりました。今回の発表では料理の内容・映し方・回数・調理シーンなど料理に着目して研究しています。料理の内容は和洋中どのようなものか、写し方にはアングルなどの共通点があるのかなどです。普段は何気なく見ているシーンにどのような工夫がされていて何か意図はあるのかという点に注目しています。
  前回と今回の発表でその映画を見たことがある人には新しい視点で見てもらって面白いと感じてもらい、見たことがない人には作品を見るきっかけになればとてもうれしいです。

エスニック料理の虜(とりこ)
〜「香りを味わう」ベトナム料理〜

  現在、日本に住むベトナム人の数は40万人を超え、その影響で東京を中心に年々ベトナム料理店は急増しています。2010年以前は20〜30店舗とみられた都内のベトナム料理店の数が、今では300店舗近くあると言われています。そのため、コミュニティーとしての存在感が高まっていると考えられますが、まだまだ日本人には馴染みが薄いのが現実です。そこで今回は、一般家庭でも作れるようにアレンジを加えたレシピを紹介し、ベトナム料理をもっと身近なものにすることを目的としました。
  前回の発表では、風土や食材、味つけなどに着目し、ベトナムの食文化をさまざまな側面から見ていきました。まず、ベトナム料理を特徴づけるものとして、味わいの原則を重視して作られていることが分かりました。素材自体の香りを生かしつつ、五味(=塩気、酸味、辛味、甘味、コク)・五彩(=黒、赤、青(緑)、白、黄)・二香(=香りのよさ、香ばしさ)を一皿で満たすのが理想とされています。地域によって味付けは異なりますが、これはベトナム料理全般に言える法則です。そのため、料理の味付けは控えめにして、あらかじめ卓上に用意しておいた調味料や添え物を食べるときに加え、自分好みの味に調整するのが一般的なスタイルです。完成した料理の味付けだけでなく、タレを付けたりトッピングをしたりして、口の中で混ざった時に複雑で調和のとれた料理を作り上げることができるのです。
  今回の発表では、スーパーや輸入食品店で入手できる食材を使用し、家庭でも簡単に作れるようにアレンジを加えたベトナム料理を紹介します。まだまだ日本人には馴染みの薄いベトナム料理ですが、この発表を通して興味を持つきっかけになっていただけたら嬉しいです。

ジャパニーズコスメの魅力を再発見
〜メイクはもっと楽しい!〜

  あなたは今日、どんなコスメを使ってメイクをしていますか?
  どんな、と聞かれた時、コスメは多彩な区別が可能だ。ファンデーション、アイシャドウ、リップなどのコスメ本来の分類。プレゼントで貰ったものか、自分へのご褒美として買ったものか。または、どこの国発祥の、どんなブランドのものなのか。
  近年、人々の嗜好の多様化や購買のオンライン化に伴い、韓国や中国発祥ブランドのコスメが注目を集めている。また欧米ブランドのコスメは、長い間日本人に愛され続けてきた。こうした中、私は就職活動がきっかけで国内の化粧品企業に興味を持ち、研究をしてきた。商品のコンセプトや、それを体現する品質や機能などへのこだわりを知り、今まであまり意識してこなかった日本発祥ブランドのコスメへの愛着が湧いた。そこでこの研究では国内と海外の化粧品ブランドを様々な観点から比較し、日本発祥ブランドのコスメである「ジャパニーズコスメ」の独自性や魅力を探究していく。また多くの人々が惹かれるブランドイメージはどのように価値付けされているのか、人々がコスメに対して求めることは何かを掘り下げ、化粧品市場の今後の展望について考察していく。コスメは好きでも、海外ブランドを愛用している人は、ジャパニーズコスメを普段のコスメや友人へのプレゼントの選択肢に入れてみてほしい。まだお化粧にあまり馴染みのない人は、これを機にデパートの化粧品コーナーに足を踏み入れ、お気に入りのコスメと出会ってほしい。身だしなみのためだけではない、そのコスメに何かしらのストーリーが加われば、メイクは一段と楽しいものになる。ジャパニーズコスメの魅力を自分自身が再認識すると共に、この発表を通して一人でも多くの人に化粧品の多彩な楽しみ方を共有していきたい。

現代社会を映す食品パッケージ

  さっき食べたカップラーメンのカップ。電子レンジで温めたレトルトパウチ。耐熱に優れたこれらのパッケージは、昭和30年代に生まれ、爆発的人気となった。その背景には、スーパーマーケットが急増したことによる人々の「大量消費」と言った、社会の変化が関係している。食品パッケージは、社会環境や人々のニーズの変化と共に様々な姿に変化している。商品の梱包や情報の表示だけでなく、その時代の社会を表す重要な役割を担っている。食品パッケージは、「現代社会を映す鏡」と言えるだろう。
  食品パッケージは、「SDGs」や「コロナ」と言った社会問題の影響も受けている。プラスチックの削減に向けて、「キットカット」の包装やコンビニエンスストアのお弁当の容器が、紙製のものに変化している。また、コロナ禍での内食の拡大により、調味料の需要が高まったことで、「進化系調味料」が生まれた。袋型で、中に食材を入れて電子レンジで温めるだけで料理が完成するという便利な商品や、なかなか一度に使い切れない食材がチューブ型の調味料になって登場した。お菓子における変化としては、ひと口サイズに個包装にした徳用袋が増加した。昨今、お菓子を食べるシーンが多様化していることに加え、コロナ禍における家族でのステイホームの影響を受け、徳用袋の市場が伸びている。多様化した食のシーンやコロナの時代に対応した、新たな包装形態である。
  後期の発表では、食品パッケージの素材や機能面に加え、デザイン面における変化にも着目していく。「パケ買い」という言葉があるように、パッケージのデザインに魅かれて商品を購入する人がいる。パッケージのデザインは、消費者の購買意欲を高める重要なものである。過去から今日までのパッケージデザインを比べ、その変化に迫っていく。

日常にコーヒーを

  私はコーヒーが嫌いだ。なぜなら苦いからである。
  しかし世の中にはコーヒーを飲む文化が定着している。スターバックスコーヒーやドトールコーヒーショップを始めとした喫茶業界は年々店舗数を増やしている。また、身近な存在であるコンビニエンスストアにもコーヒーをドリップする専用の機械が設置されている。これらのことから、コーヒーの存在は人々の日常に深く溶け込んでいることが分かる。味覚には個人差があるとはいえ、あからさまな苦味を持った飲み物がここまで普及し、愛されているのはなぜなのか、私は疑問に思った。また、私自身が喫茶店で働いた経験から、コーヒーを飲んで優雅に過ごす人々をよく目にし、日常的に飲むことに憧れを持っているため、どうにかしてコーヒーを克服して好きになりたいと思い研究を始めた。この研究は言わば、自分自身がコーヒーを飲めるようになるためのものといっても過言ではないだろう。
  本研究では苦味そのものに焦点を当て、コーヒーを苦く感じる要因が何なのか調べた。その研究結果から、苦味の感受性は遺伝に左右され、苦味に苦手意識のある人は飲み続けることにより克服するしかないとわかった。苦手なものを摂取し続けるのは難しいことである。そこで、コーヒー嫌いな人でもコーヒーを少しでも日常に取り入れやすくするための知識を中心として取り上げることを本研究の目的とした。
  なるべくコーヒーの魅力が伝わるよう焦点を絞って研究内容をまとめた。コーヒーが身体に与える影響や、家でよりおいしく飲むための淹れ方のコツ、豆の種類や焙煎による味わいの違いなどを調べた。
  この研究を通して、私自身また、コーヒー嫌いの人が少しでも多く興味を持ってくれたらと思う。よりコーヒーの魅力を知ることで、苦手を克服しておいしく味わえる日が来ますように。

美味しさを伝えるオノマトペ

  私は「美味しさを伝えるオノマトペ」をテーマとして研究しています。
  私たちが美味しさを感じる時、視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚の五感が使われます。しかし、それは実際に料理を目の前にしなければ感じることができません。では、実際に料理を目にしていない人に美味しさを分かりやすく伝えるならば皆さんはどうしますか?
  テレビ番組での食シーンを思い浮かべてみましょう。料理を映像で移しナレーションが説明、出演者がいわゆる食レポを行うまでがワンセットになっていることが多いと思います。食レポに注目してみるとチーズがとろとろしている、野菜がシャキシャキで美味しい、と美味しさを伝えるためには言葉が重要、密接な関係であると思い、まず食シーンと言葉について大まかなテーマを設けることにしました。中でも「とろとろ」「シャキシャキ」のような言葉が多用されていると感じ、これらの言葉について着目し研究テーマとしました。
  このような言葉を「オノマトペ」と言います。オノマトペとは擬音語や擬態語の総称であり、状態や動きを音で表したものです。食シーン以外にも日常会話や広告、文学作品等様々な場面で使われています。前回の中間発表会ではなぜ食シーンにオノマトペが多用されているのかをいくつか仮説を立て考察し、日本語と英語の比較、コンビニエンスストアで売られている商品名等について発表しました。今回は、より深く追求した考察結果をご報告します。オノマトペには一体感を生み出す力があるため食シーンに多用されるという仮説から、特定の食べ物には特定のオノマトペが連想されるのか、特定のオノマトペに対して連想される食べ物の特徴等アンケート調査を行った上で、最終的な食シーンにオノマトペが多用される理由を発表します。

食品の最期
食品ロスについて考える

  皆さんは、どのような時に食材を捨ててしまいますか?調理の時、冷蔵庫に閉まったままで賞味期限が切れてしまった時、料理に嫌いな食材が入っていた時、床に落としてしまった時など様々な場面で一度は捨てたことがあると思います。私は、食べ物を残す・捨てるといったことが簡単にはできません。なぜなら、食卓に並べられて、口に入るまでには農家の方々が何ヶ月もかけて「生産」・「収穫」し、それを「仲買人」や「卸」が買い取り、スーパーなどの「小売店」が販売し、「調理」という過程があって成り立っています。これらの一連の流れには多くの人と期間、お金がかかっています。食べ物を残す・捨てるということは、それらの行程を全て無駄にすることでもあるからです。私自身、好き嫌いは多いので、いかに残さないで食べるかを考えて調理したり、注文したりしています。ですが、食品ロスについて考えを深めていく中で、意識だけでは食品ロスを減らすには足りないということが分かりました。食品関連企業からは、年間約320万トン。家庭からは、約280万トンの食品が廃棄されています。計約600万トンもの食品が食べられることなく燃やされるのが現状です。一回あたりの食品量が少ないはずの家庭からの食品ロス量が約半分も占めていることに驚きます。昨今、SDGsへの関心が高まり、企業での取り組みも増えています。企業での取り組みによって大幅に食品ロスを削減することができます。企業が行っていることをそのまま家庭で行うのは難しいですが、家庭で簡単に出来ることを一人一人が続けていくことで、大幅に削減できると考えています。そこで、食品ロスを家庭と企業という観点から削減方法を考えていきます。

スパイスの最高峰
料理の素材の魅力を引き出すスパイス

  スパイスと聞くと何を思い浮かべるだろうか。ターメリックやシナモン、ペッパーなど...スパイスは世界には数百あるといわれている。そもそも、スパイスを使う目的はなんだろうか?
  スパイスは大きく分けて3つの役割がある。それは、「色付け」「香り付け」「味付け」である。その他にも、殺菌や抗菌、防腐作用などの目的があり、スパイスは役割だけでも奥が深い。そして、一つのスパイスがこのどれかに分類される訳ではなく二つ以上の役割を兼ねることが多々ある。
  以前カレーを食べた時、ふと「美味しい」と感じた。しかし、何が隠し味となって、それがどんな風に料理に影響して美味しいのかを言語化する事が出来なかった。そして、それは日本のスパイスなどにも言える。スパイスを知ることで、食自体の幅を広げられるのではないかと考えこの研究に至った。香辛料で料理の素材の味をより深め、素材の魅力をさらに引き出し、様々な使い方を出来るようになることが本発表の目的である。前回の研究では、和食における「和のスパイス」の歴史や、食文化に関わる代表的なスパイスを研究した。そして、それぞれの目的や効果も共に研究を行なった。歴史や機能性をより深く探究し、特殊な調味料の役割を調べた。今回の研究では、具体的な種類の把握や、香りのより良い引き出し方、スパイスそれぞれがどの役割を持っているのか分類した。更には調理中の工夫や、素材の魅力の引き出し方を調査することでスパイスの効果を最大限に引き出すことを目的とした。
  この研究を通して、スパイスの魅力について理解し、スパイス本来の持ち味を生かした魅力溢れる料理を作り出すことが出来たら、多くの人の食の世界が広がるだろう。

「しあわせを」を創る食環境 

  皆さんは食事をした時、味の問題以外で「しあわせだな」と感じた経験はありますか?きっとあると思います。人は料理の味だけで美味しいと思うのではなく、見た目はもちろん空間や一緒に食べる相手など様々な要因が人に美味しい、しあわせだなと思わせていると考えます。例えば私の場合、上京して一人暮らしをしているので一人で食事をする機会が増えました。よく実家から私がカレー好きなのを分かってレトルトのカレーが送られてきますが、カレーは大好きなのに一人だと一向に食べたいと思えず、食べた時には正直何とも感じていない自分がいます。カレーは大量に作ってみんなで食べるから美味しいのだと、食べきれないレトルトカレーたちを見て思いました。レトルトカレーの味に何の罪もないはずなのに、この料理を食べて美味しいとか、幸せだとかを感じない。きっとレトルトカレーであっても誰かと一緒に食べたり、家ではなく本格的な空間のカレー屋さんで食べたりすれば料理の味以上の幸福度を得られるのではないかと思います。私はこのような食環境の様々な要因が人々の「しあわせ」にどれほど影響を与えているのかを調査・分析し、人が食事をする時に「しあわせ」を得るためにはどうあるべきかを研究していきます。
  またアニメや漫画の世界ではどのような食環境が「しあわせ」とされているのかも調査し幅広い視点から「しあわせ」について考えていこうと思います。この研究を聞いて下さった方々が少しでも自分の食生活を見直すきっかけになったり、幸福度を上げるために毎日の食事に自分なりの花を添えてみようと思ってもらえたり、コロナ禍という今だからこそ何か皆様に影響を与えられればと思います。