令和3年度 食文化栄養学実習

平口嘉典ゼミ■食料・地域経済学研究室


しもつかれで地域振興!

 栃木県には、「しもつかれ」という郷土料理が古くから存在する。もったいない精神で受け継がれてきたしもつかれは、独特な見た目と味が特徴であり、熱烈なしもつかれファンが存在するほどである。そんなしもつかれの魅力をさらに知ってもらいたいと考え、研究テーマとした。
 本研究の目的は、栃木県の郷土料理「しもつかれ」を通して、しもつかれの美味しさや魅力を発信することである。そのために、しもつかれをブランディングする「しもつかれブランド会議」の方にヒアリングを行うとともに、当会議と連携してしもつかれの魅力発信を行う。
 これまでに、しもつかれブランド会議の代表者にヒアリングを行い、しもつかれの歴史や魅力、会議の目的や地域振興を取り入れたきっかけ等を調査した。課題としては、しもつかれに入っている酒粕が独特な風味を出しているため、学校給食でしもつかれを嫌いになってしまう子どもたちが多いことが挙げられた。次に、しもつかれブランド会議と連携して情報発信を行うことになり、しもつかれの西洋料理へのアレンジメニュー3品と、甘酒を使用した子ども用しもつかれのレシピを考案した。考案したレシピは、当会議のホームページとSNSを通じて発信した。また、当会議から依頼を受け、食べ歩き・テイクアウトができるしもつかれのメニューを提案した。
 これらの研究により、今まであまり知られていなかったしもつかれの魅力やアレンジの幅広さを知ることができた。また、私自身も、今回改めてしもつかれの美味しさに気づくことができた。栃木県民はしもつかれと聞くと、美味しくない料理と思いがちだが、家庭料理や西洋料理、おつまみなど、幅広くアレンジすることができ、美味しい郷土料理であることを知ってもらえるとうれしい。

復興のシンボル「仙大豆」による地域振興

 私の地元である宮城県仙台市は、2011年に発生した東日本大震災によって被災した。広大な水田や畑は津波の被害を受け海水を被った。震災から10年が経った現在まで復興が進められてきたが、その中でも元々水田だった場所が畑に変わり、米から大豆への転換がみられることに注目した。宮城県の新たな特産品である大豆を多くの人に知ってもらうために、大豆をメインとした地域振興を研究テーマとした。
本研究の目的は、宮城県における震災後の大豆生産の状況について調査し、宮城県を 大豆を通して振興することである。そのためにまずJA仙台へのオンラインでのヒアリングを行い、震災前後の大豆栽培量と耕作面積の増減、津波による塩害の影響について調査した。次に、仙台市で栽培されている「仙大豆」を使用した特産品について調査し、魅力を発信する方法を考えた。
水田が広がっている仙台平野は海抜が低く、海に水が流れていかないため、大きなポンプの役割を担う排水機場を利用している。しかし津波により排水機場が損壊してしまい、復旧するまで稲作が行えなくなった。そこで稲作のかわりに、昔から技術のある大豆の栽培から再開させたことにより、復興の象徴とされるようになった。JA仙台では「仙大豆」という名称でブランド化し、各種加工品の開発を行っている。その中の1つである「ソイパスタ」を広めるために6種類のレシピを考案し、JA仙台へ提案した。レシピ考案では独特の食感を改善するための工夫を行った。提案後、まずは仙台市民にソイパスタへの興味を持ってもらうため、仙大豆の説明も含めたレシピカードを作成し、市内の農産物直売所で配布した。
本研究を通して、仙台市内だけでなく県外の人たちにも宮城県の復興の象徴である「仙大豆」やその関連商品に興味を持ってもらい、さらなる復興に繋がればと考えている。

海のパイナップル ほやってなに?

 私は幼いころまで宮城県石巻市で生まれ育った。美味しい食材・食事が溢れ魅力のあるまちだが、2011年に起きた東日本大震災により、被害の大きかった石巻市は被災地としてそれまでは知名度の低かったまちとは思えないくらい有名になったと実感している。本研究では、宮城県石巻市の被災地のイメージの払拭と魅力の発信により、地域振興を図ることを目的とした。
 これまでに市の特産品について広く調査を行った。宮城県東京事務所へのヒアリングから、海産物だけでなく、農産物にも力を入れていることやイベントを実施していることがわかった。次に、数ある特産品の中で、海のパイナップルと呼ばれるほやに着目し、基礎的な情報の収集を経て、ほや・ほや加工品の販売を行う(株)三陸オーシャンと連携をして、メニューの提案を行った。提案では、ほやの良さを生かしつつ、多くの方が苦手とする味と臭い・見た目に対しての抵抗感をなくすことを目標とした。また、多くの方にほやに興味を持ってもらえるように、家庭でも簡単に挑戦できるメニューや馴染み深い料理でアレンジすることにした。その後、提案したメニューをまとめ、リーフレット作成も行った。ほやは生産地から離れた場所では知名度が低くなり、それに伴って消費量も減るため、少しでも知名度を向上させることと老若男女問わず興味を持ってもらえることを目的とした。ほやとは何なのか、どのような見た目か、どのような食べ方があるのかといった情報や、料理を作る場合のおすすめ、ほやの栄養成分、ほやを食べることでどのような利点があるか等の情報を掲載し、多くの人の目にとまるようなデザインを心掛けた。
 本研究を通じて、生産者の思いを実際に聞くことができ、メニュー提案につなげることができた。また、ほやのメニュー提案を通じて、石巻市の魅力発信につなげることができた。

お酒と料理で川越の新しい魅力を発見!

 近年、人口減少やライフスタイル・嗜好の変化により、日本酒の消費量が減少している。私は酒が好きでよく飲むが、日本酒は若い人にはあまり飲まれていない。そこで料理と合わせて日本酒をたくさんの人に飲んでもらいたいと思い、研究テーマとした。
 本研究の目的は、日本酒のおいしさを多くの人に伝えるとともに、地域食材を使った日本酒に合う料理を考案し、その土地の新しい魅力を発信することである。これにより地産地消が進み、持続可能な社会の形成にもつながる。そこで日本酒と豊富な食材が存在する川越市を対象にする。
 はじめに、川越で製造されている日本酒の特徴を知るために、小江戸鏡山酒造へのヒアリングを行った。濃醇うま口で飲みやすい日本酒が製造されており、日本酒を楽しんで飲んでもらいたいという作り手の思いが込められていることが分かった。次に、日本酒の味と香りを知るために、当社の11種類の製品の試飲を行った。製品によって、まろやかな味のものや、すっきりした味のものがあり、なかには梨や梅のようにフルーティーな味のものもあり、それぞれの特徴が感じられた。また飲む時の温度によって味や香りが変わることや、期間限定で醸造される製品があることを知った。さらに、市内の農業体験への参加や、農産物直売所への訪問により、川越で作られている食材への理解を深めた。これらの調査をふまえて、日本酒が主役になるように、各日本酒の特徴に合わせた料理を考案した。日本酒と料理のペアリングでは文献をもとに、対照的な味、味の余韻、似ている味・香りの3点に留意した。
 この研究を通して、日本酒に決まった飲み方はなく、自分の好きな飲み方をすればよいこと、和食だけでなく様々な料理に合うことが分かった。たくさんの人が日本酒を身近に感じてもらえたら良いと思う。

地産地消商品で秩父を振興!
〜商品開発とカフェ運営〜

 大学2年次に、農村部でのワーキングホリデーに参加した経験から、自然豊かで人の温かみを感じられる田舎の魅力を多くの方に知ってもらいたいと考えるようになった。
 本研究の目的は”ちかいなか”と称する埼玉県秩父地域を対象に地産地消のスイーツ商品を開発し、それらを提供するカフェを企画して、多くの人に魅力発信をして秩父地域の振興に繋げることである。
 これまでに、秩父地域おもてなし観光公社と秩父地域地場産業振興センターと会議を行い、1市4町の素材を使用した、ベイクドチーズバーを土産品として開発販売することが決まった。その後、地元菓子店で構成される、お菓子な郷推進協議会の協力が得られ、関係者を招いて原型試作品の検討会を実施し、改良点等について意見交換を行った。会の参加者のうちの1社で、地元洋菓子店の水戸屋本店から商品化に向けた製造協力の申し出をいただき、本格的に開発を進めた。試作では大型の調理器具やオーブンを用い、実際の商品販売を想定した調理を行い、分量や味を調整した。関係者の試食会を経て、最終的に秩父地域の素材を使用した5種類のベイクドチーズバーと1種類のホールチーズケーキが完成した。商品のパッケージデザインは、地元のデザイナーさんが手がけており、秩父地域の自然と水をモチーフとしている。さらに、今回考案したスイーツを提供するカフェを学内で行い、秩父地域の魅力発信を行った。
 土産品の商品開発には、いかに賞味期限を延ばせるか、美味しくかつ原価を下げられるか、梱包は冷凍に適しているのか、作り手・売り手のオペレーションに負担はないかというように、様々な考慮すべき点があり、開発の難しさを知った。今回の取り組みが1人でも多くの人に、秩父に行こう!田舎は魅力的だ!と感じてもらえたらいいなと考える。

おうちde食べよう!ヨーロッパ野菜!!

 ある講義の中で、さいたま市においてヨーロッパ野菜をつかった地域振興の取り組みがあることを知った。同時に、ロマネスコやスティッキオなどのヨーロッパ野菜を初めて口にし、この美味しさを多くの人に知って欲しいと思い、実習のテーマとした。
 本実習の目的は、さいたま市のヨーロッパ野菜の認知度を上げ、市内外での消費量を増やすことである。そのために、コロナ禍でおうち時間が増えたことを踏まえ、ヨーロッパ野菜を使った家庭で作りやすいレシピの提案、公開を行った。
 これまでに、文献調査、さいたまヨー ロッパ野菜研究会(ヨロ研)へのヒアリングを行い、コロナ禍での取り組みを含めた現状、これからの展望などを調査した。そこから、ヨロ研では、市内小学校でヨーロッパ野菜を使用した学校給食を提供したり、地元のマルシェに出店したり、地産地消の活動に重きを置いており、地域経済を活性化し、進んで農業をする人を増やすことを目的としていることがわかった。
 次に、ヨーロッパ野菜の存在を知り、食べてもらうこと、家庭でヨーロッパ野菜料理を調理してもらうことの2点を目的としてレシピ考案をし、YouTubeの「とある料理系女子大生」というアカウントにて調理動画を公開し、視聴アンケートを実施した。その結果、視聴者の大半の方にヨーロッパ野菜を食べてみたい、購入してみたいと思って頂けた。またアンケート結果を踏まえて動画を再編集し、改良に努めた。
 この実習を通じて、私自身も食べたことがなかったヨーロッパ野菜も口にし、洋食だけでなく色々な料理に合うポテンシャルの高さを感じた。公開したレシピ動画によって、ヨーロッパ野菜を食べたことがないというだけで敬遠している方が食べるきっかけになればと思う。

地元の“おいしい”を伝える
群馬県沼田市の地域振興

 群馬県沼田市は県の北部に位置し、河岸段丘をはじめ豊かな自然に囲まれた地域である。多くの特産品があるにもかかわらず、その知名度が低いと感じ、食を通して地元の振興を図ることを本研究の目的とした。これまでに市役所や地元の農家さんに現地調査を行い、市の取り組みや農業の現状を知った。  地域振興を行うにあたり選択した特産品は「こんにゃく」である。こんにゃくというと地味、臭い、癖がある、調理法が少ないといった印象を受けるかもしれない。そこで目を付けたのが生芋こんにゃくである。一般に販売されている精粉こんにゃくに比べ、癖があまりなく非常に柔らかいのが特徴で、整腸効果や美肌効果が高いとされる。しかしその一方で、生芋こんにゃくの認知度は低いことが課題である。  今回、市内でこんにゃく芋生産とこんにゃく製造を行う農業法人のご協力のもと、こんにゃくをもっと身近に感じてもらうべく、家で簡単に作れるメニューを提案した。生芋こんにゃくを用いたレシピに加え、こんにゃくの加工品を使ったアレンジ方法も考案した。更にそれらのレシピをまとめ、生芋こんにゃくの効能や沼田市の情報を加えたリーフレットを作成し、当法人のこんにゃくのギフトパックに同封してもらうことになった。商品を受け取った方にこんにゃくの調理方法や魅力を知ってもらうだけでなく、沼田市の魅力も知ってもらうことで、地元の振興につながることを期待している。  本研究を通して、自分自身が長年住んでいた沼田市の魅力を再発見することができた。この研究によって、沼田市についてより多くの人に興味をもってもらいたいのはもちろん、こんにゃくをもっと気軽に楽しんでもらえたら幸いである。こんにゃくは沼田市以外にも、群馬県全域で多く生産されている。どう食べればいいのかわからない、という貴方も、ぜひ一度召し上がってみてほしい。

和菓子で地域振興?

 これまでに大学で学んできたことを生かし、飲食店へのメニュー提案を通して地域振興に関わり、新たな発見や学びを深めたいと考えたことが動機である。
 本研究の目的は、「食」を通して川越市を振興することである。かつては、川越の蔵づくりの街並みは、大人が訪れる観光地というイメージが強かった。しかし SNSの効果により、近年若者で賑わう観光地となっている。
 今回、川越の和菓子店・彩乃菓の協力を得て商品提案を行った。若者にとって和菓子は親しみ深いものでは無い。今年は埼玉県150周年であり、埼玉の特産品を使用した商品開発をすることで少しでも話題性が生まれ、和菓子に触れてもらうことが狙いである。実際に店舗研修を行い、商品の売り手としての経験や店主のアドバイスをふまえて川越市の特産品である小江戸鏡山酒造の純米酒を使用した「羊羹」の提案を行った。近年、日本酒と和菓子のマリアージュが楽しめる飲食店が出店し始めており、素朴な甘みに合う日本酒の異色の組み合わせが話題となっている。別々にするのではなく、「日本酒を使用した羊羹」という新たな発想で、和菓子と日本酒が若者から大人までより身近な存在となるように改良を重ねた。羊羹特有の小豆の風味を残しながら日本酒の香りが感じられるように、水や日本酒の量、調理工程に工夫を凝らした。提案した商品は店主らにより改良が加えられ、店頭販売されることになった。
 商品提案を通じて、美味しい商品を提案することはもちろんであるが素材を活かすことやその活かし方を学んだ。この活動を行なうことで顧客視点や開発視点で「食」に関わることができ視野が広がった。今回開発した商品が、埼玉県や川越市の振興につながればうれしい。

みよしギョーザで魅力発信!

 埼玉県三芳町は世界にも誇れる落ち葉堆肥農法を江戸時代から今までずっと継続してきた素晴らしい町である。自然の力で育てる野菜は安全安心で、町民にとっても地球にとっても優しい点がこの街の魅力である。そのことを多くの人に知って貰い、地域振興につなげたいと考えた事が研究動機である。
 本研究の目的は、三芳町の特産物である「みよし野菜」を多くの人に知って貰い、購買意欲を高める事である。研究方法は、みよし野菜を使用した餃子を考案し、発信を行う事である。
 これまでに三芳町観光産業課の担当者にヒヤリングをし、みよし野菜ブランド化推進のきっかけや今後の課題について調査した。課題としては、第1に三芳町民にみよし野菜を食べて貰う事、第2に野菜の価格が高騰しても購入してもらえる程のブランド力を獲得する事が挙げられた。また、落ち葉堆肥農法や農業の現状への理解を深めるべく、これまでに複数の農家の方々を訪問し、ヒヤリングを行った。さらに農業に関連するイベント等にも参加し、農業者や地域住民の生の声を聞きながら三芳町の歴史文化について深く学んだ。
 また、みよし野菜をPRするために、みよし野菜を使用した餃子を考案し、近隣の農産物直売所において総菜商品としての提案を行った。また直売所訪問客の農産物購買意欲を高めるために、みよし野菜を使用した餃子のレシピ配布を行った。さらにSNSを利用し、みよし野菜のPRを行った。
 今回の活動を通じて、農業者が丹精込めて栽培するみよし野菜の魅力や自然豊かな三芳町の魅力を体感する事が出来た。今後も魅力発信に力を入れたいと思う。この研究により、1人でも多くの人に三芳町の魅力が伝わり、訪問客で溢れる町へと変わってくれたら嬉しい。

国産小麦で坂戸市をもっとおいしく!

 私の地元である坂戸市では「ハナマンテン」という品種の国産小麦が生産されている。しかし、知名度がまだ低い。そのため、まずは坂戸市民に知ってもらいたいと思い研究テーマとした。
 本研究の目的は、坂戸市で生産されたハナマンテンの魅力を市民に対して発信し、坂戸市の振興につなげることである。そのために、JAいるま野、ハナマンテン生産者、ハナマンテンのパンを製作するパン屋にヒアリングを行うとともに、ハナマンテンの特徴や性質を生かしたパンを製作し、PR活動を行う。
 これまでにJAいるま野では、ハナマンテンの集荷量や流通量、品質評価などをお聞きし、(株)原農場ではハナマンテンを生産するうえでの工夫も知ることができた。次に、ハナマンテンのパンを製作するパン屋「リュネット」店主にヒアリングを行い、パン製作のきっかけや苦労した点、作るうえでの注意点をお聞きし、「オートリーズ」という製法を知った。オートリーズとは水と粉のみを混ぜて20時間以上寝かせる製法で、フランスパンを作る際の下準備に用いられる。この製法により、たんぱく質含量の少ない小麦粉でも、もっちりとした食感が得られるとのことだった。また注意点として、季節によって吸水率を変えること、捏ね上げ温度を低く抑えること、データをとりながら作ること、食パンなど簡単なものから作ることを教わった。以上をもとにハナマンテンを使用した食パンの試作をした。思うようにパンが膨らまず何度も失敗をしたが、最終的に自宅でも作れるレシピを完成させ、市民への情報発信を行った。
 本研究を通じて、ハナマンテンの魅力を知り、ハナマンテンの生産・流通・加工に関わる人々の思いも強く感じることができた。今後ハナマンテンが、坂戸市を含め、より多くの地域で知られるような存在になることを願っている。

ワインの町「つくば」を目指して

 私の地元「つくば」は、国立の研究機関・大学を中心とする研究学園があり、近年市内でワインへの注目度が高まっている。生まれたときからお世話になったつくばに恩返しがしたいと思い、自分の得意分野である「食」を利用して地域に貢献できるのではないかと考えた。
 本研究の目的は、つくばの特産品を通して地域を振興することである。これまでにつくば市役所へのヒアリングや地元ワイナリーの現地調査をおこない、つくば市農業の現状を把握してワインで地域振興を図る取り組みを学んだ。また、生産者を支える支援者の存在も重要であることを知り、作り手のワインにかける情熱に感銘を受けた。その調査時に、毎度、大量廃棄になってしまう「ぶどうの搾りかす」や「未熟果のぶどう」の活用方法を考えてほしいという依頼があった。
 そこで私は酸っぱく苦みもある摘果したブドウの特徴を生かした「未熟果ぶどう」のジャムを提案した。提案先はつくばの特産品を使用したお菓子を販売しているつくばsweetsさんである。オンライン会議や実食を行い、多くのアドバイスをいただいた。最終的にはジャムを気に入っていただき、商品化できるようお手伝いをしたいとうれしいお返事をもらった。次に搾りかすを利用した「ぶどうスコーン」を製作した。種が口の中に残ったり、焼き上げの際にワインの香りがとんでしまったり、搾りかすをうまく活かすにはどうしたらよいか、何回も試作を重ね、最終的に商品を提案した。
 この研究を通して、つくば市の魅力を再発見するとともに、生産者と加工業者をつなげることに成功し、人がつながることこそが地域振興への第一歩だと実感した。今回の取り組みを通して、提案したワインのスイーツが少しでも人がつながるためのツールになれば嬉しい限りである。