令和3年度 食文化栄養学実習

奥嶋佐知子ゼミ■調理学研究室


色で美味しいを伝えよう!
作りたくなる料理の盛り付け

  皆さんは作る料理を決める時、最初に何を見て「これを作ろう!」と決めていますか?材料や作り方より、写真の第一印象で決めていませんか。写真が美味しそうだと、その料理を作りたくなるのではないかと思い、子どもたちに「作りたくなる料理の盛り付け」を伝えていこうと考えました。和食の盛り付けの色づかいに、青黄赤白黒という言葉があります。私は子ども料理教室の中で青黄赤白黒を使い、子どもたちに料理を美味しそうに見せるための色の組み合わせと見せ方を教えています。
  初回の料理教室では、赤・黄・緑の3色を取り入れたチンジャオロース丼を提案しました。赤と黄だけでは見た目に引き締まりがなく「あまり美味しそうに見えない。」という点を伝えてから、実際に緑を入れることで色の組み合わせの大切さを伝えます。実際に子どもたちが盛り付けをしたときには「おいしそう!早く食べたい!」という言葉を聞くことができました。3色・4色・5色を取り入れた盛り付けの色づかいを比較するため、自宅で試作行いました。3色で盛り付けした場合、簡単な材料で美味しそうな料理を作ることが出来ますが、1色増えるごとに見た目が華やかになり豪華にみえます。色を増やすだけで、簡単により美味しそうに見えることを実感することができました。
  子どもたちが丁寧に色を見せて盛り付けをすることで、より美味しそうな料理に見えることを伝えたいという思いから配布資料を作成し、色の組み合わせが悪い写真と良い写真を並べて、色の大切さと美味しそうに見せるための色の見せ方を伝えました。料理教室を通して私が実際に盛り付けをした美味しそうな料理をレシピに載せることで、子どもたちが日常の食事に「この色が足りないから付け足してみよう」と思い、さらには「この料理を作りたい」という気持ちになること願っています。

電子レンジで作る簡単レシピ
おうち時間を豊かにしよう

  私は、「電子レンジで作る主菜」をテーマに普段料理をする機会が少ない中高年男性と学内職員の方々に向けて料理教室の運営、レシピ配布をし、受講者の方々の調理頻度の向上を目指している。そこで家庭でも料理を作っていただけるように、調理工程を簡略化し、調理時間を短縮したレシピの提案をしている。レシピ提案や料理教室についてのアンケートから、電子レンジ調理に対する不安を多く頂いたため、電子レンジを使いこなし、簡単で美味しい料理を作れるようになれば、料理をする機会を増やせるのではないかと考えた。
  具体的な電子レンジ利用の不安点は、加熱時間、食材の破裂、使用できる容器、ラップの有無などである。その不安を取り除くために、いくつかの料理を提案した。一つ目の料理は食材が破裂しない方法を、いかを丸ごと一杯使用した、いかめしで伝えた。二つ目の料理は、ラップの有無についてと食材自身の水分を利用した蒸し料理として、しゅうまいを提案した。また、中間発表で紹介したアクアパッツァは材料を減らし、調理過程をさらに簡単にしたレシピの提案も行った。これらを通し、受講生へ改めてアンケートを実施した結果、電子レンジへの不安が減った方や、提案した料理を家庭で作ってくださる方が多くなり、以前よりも電子レンジを身近に感じてもらえたことがわかった。その一方で、食材をそろえることが大変という意見も多くいただいたため、材料の調達しやすさや調理過程の簡単さ、調理時間の短さを重要視しつつ電子レンジの加熱時間調節の情報も伝えることとした。受講者の方々がより一層電子レンジを使いこなせるように、受講生が取り組みやすい電子レンジ料理提案をし、おうち時間を豊かに過ごしていただきたい。

ロスをなくして!デリシャスLIFE!
~未来の自分たちのために今できること~

  「料理の楽しさを知り、食品ロスに関心を持ってもらう」を目的に料理教室を運営しています。料理教室では、子どもでも理解しやすいように、身近な3つのポイント「買い物・調理・片付け」の各段階に焦点を当て、子どもたちにもできる食品ロス問題改善に繋がる取り組みを伝えることにしました。
  料理を作る前には、家にある食材をチェックしてから買い物をすることで買いすぎを防止し、消費期限切れ・食材を腐らせて捨ててしまうことがなくなるため食品ロス削減になるということを伝え、子どもたちでも使いやすい買い物メモと家にあるものリストのテンプレートを作って配布しました。
  調理については野菜の下処理を工夫することで廃棄を減らすことができる事を、ピーマンの種の取り方や小松菜の根元の下処理を例に子どもたちに教えました。種の取り方次第で捨ててしまう部分がどれくらい減るのかを伝え、子どもたちにやってもらうことでロスを目で見て実際に感じてもらうことができました。また、他のゼミ生が作った種の取り方の動画もその場で見てもらったり、小松菜は、綺麗に洗えば美味しく食べられるだけではなく、捨ててしまう部分も減るということを配布資料に取り上げ掲載ました。そのほかに、皮を剥かなくても安全においしく食べられる料理の紹介、皮をむいた場合とのごみ重量を比較するなど、数字でわかりやすく示しました。片付けの段階では、食器やフライパンについた汚れを拭き取ってから洗うと食器洗いの時間が減り、節水にも繋がるということ、生ごみは水気を切ってから捨てると悪臭や腐敗の防止、ごみ焼却時のエネルギー軽減にも繋がるといったことを伝えていきます。
  最終的に子どもたちには、調理だけでなくだけではなく食生活全体を通して考えていけるようになってほしいと思っています。

薬膳の力でお酒をもっと楽しく
おうち時間を豊かに

  奥嶋ゼミでは「おうち時間を豊かに」というテーマの元、豊島区の中高年男性を対象とした料理教室をゼミ生3人で企画・運営しています。その中で私は薬膳をテーマにしました。普段の食生活では馴染みがなく珍しいと感じる薬膳ですが、実はスーパーで購入できる野菜などの身近な食材もその一つです。家で過ごす機会が増え薬膳の勉強をはじめた私は、自分の学んだ事をゼミ活動の場である男性料理教室の受講者にも伝え、薬膳を身近に感じ、様々な力や良さ、魅力を知ってほしいと感じました。また、受講者にはお酒が好きな方が多いので、旬の食材を使用したお酒に合う味つけの料理を考え、提案しています。
  9月まで新型コロナウイルスの影響で料理教室は中止となりましたが、受講生には自宅でも料理を続けてほしいという思いから、レシピと資料を郵送しました。資料には「薬膳入門」と題して食材の効能や分類、薬膳の考え方などのページを作り、受講者に伝えました。これらは野菜中心のレシピだったため概ね好評でしたが、家に常備している食材や調味料で作れるものがいいという意見もあり、料理教室再開に向けての改善点を見つけることができました。
  そんな中で、豊島区の受講者に郵送したレシピを使って、学内の男性職員を対象とした料理教室を実施しました。身近な食材であるししとう使ったきんぴらを作ると、受講者からは「野菜も薬膳だと知り、イメージが変わって身近に感じた」「楽しかった」などの感想を聞くことができ、薬膳を少しでも身近に感じてもらえたことを実感しました。自宅にある調味料や手に入りやすい材料で作ることができる薬膳を取り入れて、受講者が好きなお酒に合うレシピの提案をし、おうち時間を少しでも豊かにしていただくための取り組みができたのではないかと思います。

Let's食経験!
〜食事を楽しくするために〜

  私は子供の頃から好き嫌いが多く、外食に行く際は嫌いな物を注文時に抜いてもらい、多くの野菜を避けてきました。そんな私でも、独特なにおいの春菊はチーズと組み合わせる事でにおいが感じにくくなるなど、自分で調理をするようになり調理法次第で食べやすくなる事が分かり、食事のパターンが増えて選べる楽しみに繋がりました。そこで、ゼミでは苦手な食べ物を食べられるようになれた時の喜びを子供に知ってもらいたい、という思いで料理教室を運営しています。初回の料理教室で苦手な野菜を聞き、以降の料理教室でその野菜を取り上げて献立を考えていく事としました。
  子供たちの苦手な野菜としてピーマン、なす、ゴーヤ、きのこ、小松菜が挙がりました。苦手と感じる原因は、例えば小松菜では青臭い独特なにおいだと考え、いつもより長く茹でる事でにおいを消す事ができる事、その他の野菜では味噌やバターなどの香りの良いものと一緒に調理をする事で、独特なにおいが感じにくくなる事を伝えました。食感の場合では薄く切る事、苦味のある野菜は水にさらす、油でコーティングする事で苦味が軽減されます。これらのように、苦手野菜の調理方法を工夫して毎回の料理教室で献立を考えています。子供が苦手とする野菜には日常的に食べる事が多く、成長に必要な栄養素が豊富なものが多いため、子供たちにはぜひ食べてもらいたいです。野菜の個性を残したまま、調理法や食材の組み合わせで食べやすくする事は難しいと感じますが、配布資料に子供たちが「一口でもいいから食べてみよう」と思ってもらえるよう、分かりやすい言葉で伝え克服に繋げています。料理教室を通して一口でも食べられたという声を聞ける事、そして最終的には苦手な野菜を家や外食に行った際にも食べられるようになる事を望んでいます。

もう絶対に汚れない‼
~レシピブックからホームページへ~

  私が初めて子ども料理教室に携わった際、配布したレシピブックを子供たちが料理中に汚したり、忘れて帰ることに遭遇しました。また、コロナ禍で教室開催数が減ってしまっため、おうちでも料理を楽しんでもらうにはレシピブック以外の情報発信が必要ではないだろうかと考え、子供料理教室に連動したホームページを作成し、情報発信をしようと考えました。ホームページを作成するにあたって特に気を付けたことは、見るのはあくまでも子どもたちであるということです。同じページに複数のカテゴリーを掲載せず、構成を複雑にしないことや、子供たちがわかりやすいような言葉を使用し、内容を難しくしないようにすることを心掛けています。ホームページの大きな構成は、ホーム・レシピ・コラム・その他としています。レシピには料理動画を掲載し、作り方には揚げる調理のように子供だけでは難しい部分は一言添えるようにしました。コラムに関しては、アンケートで聞いた苦手食材について特集し、おいしく食べるための調理法や特徴などを記載しています。食品ロスに関しても載せており、廃棄率を少なくする切り方を動画とともに掲載しています。また、クイズを取り入れるなど子供たちが楽しめるような工夫をしました。その他に関しては、盛り付けのポイントなどを掲載しています。作成したホームページについて見やすさ・わかりやすさなどを子供たちに聞いてみたいと考えています。コロナ禍で思うように料理教室を行えないことが多かったですが、そのような中でも活動があるときはたくさんコミュニケーションをとるように心掛け、子供たちに思いが伝わるようなホームページを作成してきました。慣れないホームページ作成ですが、子供たちの意見を聞きながら、少しでも料理が楽しいと感じ、子供たちの意見を聞きながら食材に興味を持ってもらえるように、最後まで発信していきたいと考えています。

おうちで学ぶ料理動画
~子ども料理教室~

  皆さんは料理を作るとき、何を見て作りますか?本やWEBサイトでレシピを見ながら作る人も多いのではないでしょうか。私たちが運営する「子ども料理教室」では、ゼミ生で作成したレシピブックを見せながら、細かな手順やコツなどを直接口頭で伝えます。しかし、今年度はコロナ感染症対策のため、開催中止や試食禁止など思うように実施できませんでした。料理教室で実習できなかった料理は、レシピブックを配布し、家で作ってみてほしいと伝えますが、受講者は普段あまり料理をしない小学生の子どもたちです。紙のレシピでは伝わりづらいことも多くあるのではないかと考えました。そこで「料理教室でのお手本」や「復習用の教材」の役割を果たす料理動画を作成しようと決意しました。
  今年度初めて行った動画配信は、料理教室で実施したチンジャオロース丼と牛乳プリン、持ち帰れないため実習できなかった中華スープの3つの料理動画です。それらに加え、材料のピーマンに着目し“食品ロスの少ないタネの取り方“や“切り方によって変わる食味の違い”を説明する動画を作成しました。映像であるからこそ、手や包丁の動かし方を動作に合わせて説明でき、調理工程についてもなぜそうするのか食材を示しながら伝えられたため、文章よりも表現しやすかったです。アンケートを実施し、子どもたちにとってわかりやすかったかも調査しています。
  料理教室終了後に、子どもたちに料理動画を見せると、真剣に見ながら「すごい!」「わかりやすい!」と言ってくれたことが印象に残っています。料理動画は、自分にとって伝えやすく、子どもたちにとってわかりやすい手段であると感じました。加えて、動画配信という新しい試みで子どもたちの興味を引くことができたのではないかと思います。

お酒×スイーツ
男性料理教室 ~おうち時間を豊かにしよう!~

  ゼミでは、「コロナ禍で増加したおうち時間を、食を通じて豊かにしてもらう」ことを目的に、豊島区で中高年男性を対象にした料理教室をゼミ生3人で運営している。その中で、私はお酒を使用したスイーツのレシピを提案する、お酒×スイーツを個人テーマにした。料理教室の受講者はお酒好きな方が多く、また、受講者から「最近の料理教室でスイーツを作れていないのが残念」という声を聞いた。そこで、お酒を使用したスイーツのレシピ提案をすることで、飲料としてのお酒以外の楽しみ方と新たな魅力を伝えることを個人テーマの目的として進めている。3月から9月の料理教室はコロナ禍のため中止になったが、受講者には提案したレシピを郵送することにした。そこで、スーパーやコンビニで手軽に購入できることとメイン食材との相性を考え、使用するお酒を選択し、赤ワイン×アイス、日本酒×ゼリー、ウイスキー×アップルパイ、白ワイン×どら焼き、焼酎×豆腐花のレシピとそのお酒に関する資料を作成した。郵送したレシピに対して受講者からは、「材料は安くて揃えやすいほうがいい」という意見があり、お酒と材料の相性だけでなく、準備のしやすさも考慮することにした。このような中で、7月に学内の男性職員を対象に料理教室を運営する機会を得た。提案したスイーツは白ワインをあんこに混ぜることでさっぱりとした味わいになり、あんこが苦手な人でも食べやすいように工夫をしたどら焼きである。実際に調理してもらうと、生地をフライパンで焼く際の火加減や形を丸くすることに苦戦している様子も見られたが、実施後のアンケートでは、「料理をすることが楽しいと感じた」というコメントが多く見られた。10月の料理教室は、ビール×マフィンのレシピを提案した。自宅に常備されていることの多いお酒で作る簡単なスイーツを通して、お酒を様々な料理に使用することができる新たな魅力を伝えることができた。