令和3年度 食文化栄養学実習

山下史郎ゼミ■フードマーケティング研究室


チャイ×アーユルヴェーダ
心身が健康になる飲み物へ

チャイのルーツであるインドの食の根源として、アーユルヴェーダを見つけた。体質に合わせた健康的なスパイスを使う食事法が紹介されていたが、チャイは紹介されていなかった。そこで日本ではおしゃれな飲み物として扱われてきたチャイを、アーユルヴェーダを基にした健康にも良いドリンクとして企画することにした。文献調査や専門家へのインタビューにより、アウトプットとして、アーユルヴェーダをもとにしたその人の体調に合ったチャイシロップを提案することにした。また、自分の体調に合うチャイを見つける為の診断ツールを作成し、チャイの可能性を広げることを考えている。

推しパン!チャンネル
─パンマニアへの情報発信─

現在、YouTubeやSNSの投稿から料理家になる人が増えている。このことから、将来の目標を「料理家」と掲げる私も、動画チャンネルを活用した情報発信がしたいと考えた。特に関心の強い「パン」を題材とし、ニッチなターゲットである「パンマニア」の心に刺さるチャンネルの企画・作成を行う。テレビの料理番組には料理家が一方的にレシピを伝える「一方通行の情報の流れ」があると感じた。この特徴を課題と捉え、既存の番組には無い「双方向のやり取り」ができるコミュニティ動画を目指す。視聴者の意見を取り入れた「推しパン!チャンネル」を通して、パンマニアとパンのおいしさや楽しさを共有したい。

ヤマガタ ガストロノミー
山形蔵王の食の可能性を探る

私の出身地山形県は、食が豊かで美味しい県だと感じる。そんな山形県のまだあまり知られていない食べ物に目を向け、山形の食文化に新しい価値をつけたいと思い、研究テーマにした。研究対象である蔵王は、 温泉とスキー場しか名物がないと思われている。実際取材をしてもその二つだけが挙げられた。だがそんな中、蔵王ジンギスカンを知った(発祥の地ともいわれており、「ジンギスバーガー」もある)。取材中、人気店には客が列をなしていた。このジンギスカンに可能性を感じた。今後は、山形の地元客にターゲットを絞り、蔵王ジンギスカンを観光資源として形にしていくことを検討している。

YAKUMI
薬味の可能性を広げる

西洋に比べ日本の家庭では「薬味」を一般的にみることが多い。それは、食べている途中にひと味を加えて「香りや味の変化を楽しみたい」というニーズがあるのではないかと考えた。近年の「ちょい足し」のブームもあった。添え物として扱われることが多い「薬味」の魅力に注目し、新しい薬味のあり方を提案し食事の楽しみ方を広げたい。食べている途中にひと味を加えて「香りや味の変化を楽しみたい」というニーズが万人にあるのだと仮定すると、西洋料理で日本の薬味文化を取り入れることも可能ではないかと考えている。今後は、西洋料理に合う新しい薬味と使い方を考案していく予定。

「料理の一個残し=遠慮のかたまり」を考える

目的は「遠慮のかたまり」について考えその状態を楽しむ方法を提案することである。「遠慮のかたまり」は、食べ物の最後の1つを遠慮して残すという現象である。なぜ「遠慮のかたまり」が発生するかを議論したところ、自分を良く見せようと他者の視線を意識していること、相手との関係性によって異なることが分かってきた。文献調査や過去の事例から「遠慮のかたまり」の背景を分析した。そこでわかったメリット・デメリットの両面から「遠慮のかたまり」を楽しむ方法を考える。 最終的にはこれを具体的なツールに落とし込んでいき食シーンの会話を促進させるきっかけにしたい。

冷や飯は主役
炊きたてに負けない冷や飯の魅力を考える

おいしいご飯=温かいご飯という印象があるため、冷たいご飯に対しマイナスなイメージを待たれることがある。ご飯は温かいものが良いというのはなぜか、という疑問をきっかけにこのテーマを選択した。冷や飯のおいしい食べ方を伝えることで、上記のイメージを払拭したいという考えから、「冷や飯の魅力を伝える」を目的とし研究に取り組んでいる。実際に、歴史や栄養面、レシピの分析による冷や飯料理の傾向分析等を行い、冷や飯の代表でもある弁当メーカーへの取材も検討している。最終的には、考案したレシピをホームページ等に掲載することで、より多くの人に冷や飯の魅力を伝えることを考えている。

食べ物遊び、悪いこと?
ラテアートをきっかけに

「食べ物で遊んではいけません」。幼い頃多くの人が言われたこの言葉は、よく考えると一概には言えないのではないだろうか。飲み物の上に絵を描くラテアートやキャラ弁などアートとして評価される食べ物、実験的要素を含む子ども向けの菓子、アクティビティ性のあるスイカ割りや闇鍋など、社会に許容される食べ物遊びも多く存在する。食べ物遊びがあふれるよのなかで、いっそのこと大人こそ遊んでしまおう!身の回りの人の実体験や知育菓子(R)の製造をしている企業への取材を通し、許容のボーダーラインの考察、食べ物遊びのこれからの価値の新たな可能性を考えていく。

食べる香水
─香水の魅力を料理で表現─

匂いを楽しみ、纏うものとして使用されている香水を味覚でも楽しみたい。嗅覚に異常が出た時でも香水を楽しみたいと思う。香水が食べられるようになったら楽しみ方が増えると思い、食べる香水を研究テーマとした。「食べる香水」とは香水の魅力を料理で表現した、嗅覚だけでなく味覚や視覚からも楽しめるものである。現時点では、香水についての知識を増やし、アロマテラピーの資格を取得した。また、類似商品の試食を行っている。今後の活動としては過去に好きだった匂いや思い出の匂いなどについて考察し、アウトプットのモデルとなる香水を決め、試作を行う予定である。

ネオ・パスタの世界
ヘルシー志向のパスタを楽しむ

家庭でも簡単に作れるイタリアンであるパスタ。最近では社会の健康志向の高まりに合わせ、糖質に考慮された麺や、野菜を混ぜ込んだ麺を見かけるようになった。そんな新感覚のパスタをより楽しむためのパスタ料理を提案しようと考えた。エンドウ豆を原料にしたパスタを試食したが、これまでの小麦のパスタでは味わえないような独特の香りや食感を楽しむことができた。糖質を気にしてパスタを控えている人や従来のパスタに飽きてしまった人をターゲットにし、健康的なパスタの新しい世界を発信していこうと考えている。今後は他の食材を使った麺も試して、新たな魅力を探していく。