令和3年度 食文化栄養学実習

高島美和ゼミ■英語圏文化研究室


異文化の出会いと混ざり合い

私は、明治時代の文明開化によって生まれた西洋風の建築物やファッションなど異文化の混ざり合いから生まれたものに魅力を感じることが多い。最近では西洋美術に興味を持ったことをきっかけにジャポニズムの作品と出会い、魅了された。ジャポニズムとは、19世紀半ば日本の開国をきっかけに日本文化が海外に流出したことにより日本の美術品が西洋の美術、工芸、装飾など幅広い分野に影響を与えた現象のことだ。今回の研究では、東西交流によって生まれた美術品の歴史や特徴を調査した。研究の最終目標はジャポニズムや文明開化の世界観を表現したティーセットをデザインし、作品集をつくることだ。

イギリス伝統菓子のおいしさ
視覚とおいしさの関係性

世界には「まずい」と言われてしまっている料理がある。それが、「イギリス料理」である。理由は、歴史的背景や既に多くの人がおいしくないと認識していることが考えられる。しかし、そんな固定概念から、食べたいと思わない人がほとんどではないだろうか。私自身もイギリス旅行に行った際にイギリス料理を探してでも食べたいとは感じなかった。そして、素朴な味で彩りの少ないイギリス料理や菓子は人々にとって魅力的に感じにくいのかもしれない。食器や食空間と関連付けて、敬遠されがちなイギリス料理を「おいしそう」と人々の興味をそそるものに見えるようにすることを目指す。

想いを込めたマカロンたち

私は昔からお菓子を作り食べることが好きで、特に洋菓子に興味を持っていた。そこでフランスの伝統菓子を調べていたところマカロンの奥深さに魅力を感じた。マカロンとはどんなお菓子かと聞かれると、表面がつるっとしていてクリームが挟まっている、フランスのお菓子を思い浮かべるだろう。しかし私たちが知っているそのマカロンは数多くある形態のほんの一部に過ぎない。そこで私は多種多様な形態があるマカロンの歴史や地域性を調べまとめることにした。そしてマカロンをもっと身近に感じてもらうため、バレンタインデーやひな祭りなど私たちに馴染みのある行事を、マカロンを用いて表現する。

映画の中の食シーン
ヨーロッパを舞台に描く作品からわかること

私は、映画の中に出てくる食シーンに興味がある。どこで食べられている料理なのか気になったため、映画の中に出てくる食事・料理の研究をしている。アメリカやヨーロッパを舞台にした洋画をとりあげていく。今回は華やかなイメージの強いヨーロッパを舞台にした作品に注目をした。地域の特徴や食文化、使われている食材の発祥地、食事シーンからわかる時代背景について分析をしている。そこからヨーロッパの国ごとの食シーンの違いやその国の特徴をみてきた。ヨーロッパを舞台にした作品に出てきた印象的な料理や食材などの食シーンを紹介する。洋画を通してわかる各国の特徴を研究していく。

イギリス料理の中のじゃがいも

私は中学生のころ演奏でイギリスに行った時、イギリス料理を食べた。イギリス料理というと、「まずい」という固定概念を持っている人も多いのではないだろうか。なぜ、このような話が広がってしまったのか。本当にイギリス料理はまずいのか。気になったのだ。伝統的なイギリス料理のレシピを元にすると、じゃがいもを使った料理が多いことがわかった。実際にローストポーク、ジャケットポテト、フィッシュアンドチップス、シェパードパイなどを試作した。しかし、どの料理も量が多く、日本人にとっては重いと感じた。今回の発表ではイギリス料理の特徴などを踏まえて、その魅力を見ていく。

その空洞、どう埋める?
〜シュークリームの展開と付加〜

誰もが何らかの趣味嗜好を持っている。日常生活を少し豊かにしたり質を上げたりするもの、私にとってそれはフランス菓子だ。興味を持ったきっかけは子どもの頃、パティシエだった叔母の菓子を食べたことだ。それから今まで、300店以上のパティスリーを食べ歩き、自ら菓子を作ってその魅力に触れてきた。また昨年は、学園内留学制度で香川調理製菓専門学校製菓科に通った。本研究では、その経験を生かして創作した菓子を追究する。その題材は「シュークリーム」だ。写真と言葉で魅せる菓子を、ギャラリーに来てアートを眺めるような気持ちで楽しめるものをめざす。

WAGASHIの魅力

日本ではお茶うけや年中行事に食べることが多い和菓子。そんな和菓子は輸出されたり、訪日観光客によるインバウンド需要の増加によって、和菓子の知名度が上昇している。和食がユネスコ無形文化遺産に登録されたこともあり、海外では和菓子の見た目の美しさや繊細な味が評価され”WAGASHI”として注目されている。海外でのWAGASHIの認知度や日本の和菓子職人が外国でどんなWAGASHIを提供しているかを調べ、日本の和菓子と海外のWAGASHIの違いを考える。そし て3年次の製菓専門学校への学園内留学経験を活かし、家でも簡単に作れるWAGASHIのレシピも考案し作成する。

カレーが辿った華麗なる歴史
~インド、イギリス、そして日本へ~

カレーという料理は、昔から好きな給食ランキング上位の常連であり、幅広い世代からも愛されている。そんなカレーだが、カレーと聞くとインドを連想する人は多いのではないだろうか。しかし、日本の家庭でよく出される「カレールウを使ったカレー」は元を辿ればインドを植民地としていたイギリスから日本に持ち込まれた料理であるとされており、インドのカレーとは全くの別物だ。長きにわたってインド、イギリス、そして日本において愛されてきたカレーという料理の奥深さを知るために、今回は、イギリスとインドの関係という視点からカレーの歴史を紐解いていく。

物語から読み解く食文化
若草物語に登場する食表現

子供の頃によく読んだ外国を舞台にした児童文学。そこにはさまざまな食べ物や食事シーンが登場する。これらの食表現を目にすると、見た目や味、香りを想像し、おいしさが頭に浮かんでくることがある。時には知らない食べ物の名前を目にして、どんなものなのだろうと想像が膨らむ。食表現によって物語に深みが出るのは何故なのかを探っていく。若草物語、赤毛のアン、小公女の三作品に登場する食表現をまとめ、物語の舞台となった国や時代の食文化について分析しながら考察を進めている。今回の発表では若草物語1作目と2作目について、英語原文や物語の舞台の食文化にも触れながら説明する。

好みの紅茶を見つけよう

紅茶を入れる時、私は少しわくわくした気分になる。茶葉から抽出して紅茶を飲むという行為は、私に特別感を簡単に演出してくれる。だからこそ、自分の好きな茶葉を見つけもうワンランク上の身近な特別感を楽しみたいと考えた。また、今まで紅茶に興味がなかった人も紅茶の味や魅力を知ることで、紅茶を飲むきっかけになるのではないかと考えた。代表的な茶葉をとりあげ、その茶葉の特徴、飲み方について研究を行い、それぞれ個人の“好みの紅茶”を見つけられるようなyes noチャートの作成を行う。また、学園内留学での学びをいかしそれぞれの紅茶の特徴と合うお菓子のレシピ考案する予定でいる。

紅茶を嗜み楽しむ

家でゆっくりと過ごす時間が増えた今日、私の毎日の楽しみは丁寧に入れた一杯の紅茶だ。インドのダージリン、スリランカのウバ、中国の祁門などその日の気分によって、飲みたい茶葉を選ぶ。実は紅茶と一口に言っても、茶葉の種類から茶園、グレードや収穫期によって味も香りも色も異なる。そんな紅茶をもっと「嗜み楽しむ」ために、その魅力と奥深さについて知り、研究したいと考えた。本発表では紅茶の種類と淹れ方を中心に、種類が豊富で日常的に私が好んで飲んでいる「世界のお茶専門店 LUPICIA」のノンフレーバードティーをいくつか取り上げ、味や香りの違いについて話す。

食空間におけるジェンダー

古くから家庭における食事の支度や、台所を切り盛りしてきたのは女性である。近年、女性の社会進出が進み、SDGsにもジェンダー平等の目標が組み込まれている。しかし、食の部分に目を向けてみると、「台所=女性の場所」という意識は根強く残っているように感じる。なぜ女性だけの役割とされがちなのか?現代では男女平等がうたわれているにもかかわらず、「性的役割分担」の意識は男女双方の生き方を狭めていると感じる。社会の流れが変化してきている今、こうした意識を変えていかなければならない。性別役割分業意識を問い直し、これからの食空間の在り方を探る。

アンチエイジングでなりたい自分へ

アンチエイジングとは「老化という自然ななりゆきに抗うもの」とマイナスに捉える人もいるかもしれない。一方で老化によって様々な病気の発症リスクが上がり、バイタリティがなくなってくるのも事実だ。実際に私の周りでも年齢を理由に趣味や夢を諦めてしまう人が多いと感じている。大切なのは加齢に無理に逆らうのではなく、心身ともに年齢に応じた最高の健康状態を目指すことだ。そこで健康についての知識がない人やアンチエイジングに興味があっても何から始めればいいか分からないという人に向けて、気軽に情報を得られるウェブサイトを作成し、生活習慣の勧めや抗老化レシピを発信する。