令和2年度 食文化栄養学実習

我が家めし
─内食の温かさがもたらす変化─

 現代は調理せずとも手軽においしい料理が食べられる環境が私たちにはある。宅配、総菜、冷凍食品。自分の食の価値観からこれらを取捨選択している。しかし、そのご飯は何年後かに記憶として残るのだろうか。最近は、新型コロナの影響により自宅で過ごす時間が増え、料理に力を入れる人が増加している。その作る過程の楽しさや出来栄えに満悦する人。家族での食事が増えた人。一人暮らしで人との食事が恋しくなった人。何気ない日常食がお腹を満たすもの、健康になるためのもの、そんな機能的な食だけでなく、精神的に満たされるものだと実感する人も増えているかもしれない。
 そんな食が日々の生活にゆとりを与えてくれる代表的な場所である家庭を実習の対象にし、よりリアリティある日常を表現するため我が家を題材とした。そして、内食の温かさの大切さ、人との結びつきを見つめなおし、作品に反映していきたい。木版画という自然の温かさとその料理にまつわる我が家の温かくなれる小話から、温かさが伝染していったら、人の作る料理が心を温めたということのなるのではないだろうか。制作を通して、人が作る料理がもたらす心の変化を考察していきたい。