令和2年度 食文化栄養学実習

平野覚堂ゼミ■ビジュアル・コミュニケーション研究室

食べる物語
─感情に対する味のイメージを表現する─

 切ないは甘酸っぱい、悲しいはしょっぱい。そんな感情に対する味のイメージを持つ人も、多いのではないだろうか。私は味や料理、食事シーンに対して、なぜ感情のイメージがあるのかと疑問に思い、自分自身で物語や感情を食で表現してみたいと考えた。まず、人々がにそのようなイメージをおこさせる表現の一つである、小説における比喩表現や映画の一コマを調査した。家族の温かさや母の温かさを表現するシーンでは、白米や和食。夏の切ない甘酸っぱいシーンでメロンソーダ。ひとり思いを巡らせるシーンでラーメン屋。何気なく見ている様々な物語から、これらのようなシーンが知らずのうちにインプットされているのだと思った。また、「寝不足のおかげで顔が安物のチーズケーキのみたいにむくんでいた」という比喩表現のある小説があった。一見頭にハテナが浮かんでしまうような文章だが、不思議とその見た目、チーズケーキに対するむくむという表現がすっと頭に入ってきた。今後は、このように食べ物とそのシーンや感情がリンクするようなものを、料理で表現し、エッセイを添えた作品づくりに取り組んでいきたいと思う。

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