令和2年度 食文化栄養学実習

向後千里ゼミ■特任教授

夕顔が今も富士山麓で食べられているりゆう
~御師料理の保存と継承1~

 現代の日本は、「和食」が無形文化遺産に登録され、「食」や「観光」など多くの分野で注目を集めている。その一方で、日本人の「和食ばなれ」が問題視されることも度々見受けられる。そこで、食材に視点を当て、昔は食べられていたが今は食べられる機会が減少している食材があるのではないかと考えた。富士山の雄大な自然環境の恩恵をうける山梨県富士吉田市は富士山の麓、標高約750mにある高原都市で、古くから信仰登山を支えてきた御師の集落が残されている。御師の食生活文化は、四季折々の食材やおもてなしの心で富士山の信仰登山者をささえる。本研究では、御師料理に使用されている代表的な食材「夕顔」に着目する。夕顔は現在8月の火祭の頃に食べられる料理として残っている。江戸時代には一般的に食べられていたとの記録があるが、現在は特定の地域でしか食べられていない。進捗としては、夕顔が大正から昭和にかけて食べられていた実態について文献を元に、調査分析を行った。今後は、夕顔の歴史、夕顔の生産量の推移と、地域性、富士吉田市との関係についてさらに調査を進め、御師料理の保存と継承につなげ、御師の人たちのお役に立ちたいと考えている。

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