令和2年度 食文化栄養学実習

向後千里ゼミ■特任教授

御師町の神事における和食献立
~御師料理の保存と継承4~

 山梨県富士吉田市には、室町時代から続く御師町が今も大切に残されており、富士山信仰を中心とした地域の年中行事や、富士山に育まれた自然観や生活観による独自の生活文化が存在する。御師料理は、その御師町に住み、富士山参詣者の宿泊や食事の世話をはじめ、神職者として集落の神事や行事を長年支えてきた御師の方々によって形成された。
 御師料理は、神に感謝し、神人共食を行うことが基底にあるため、神事における神饌や直会として用意される特別な食事が特徴の一つとして挙げられる。その神事の中でも、特にハレの日とされるのが富士太々神楽の奉納の日であり、その際に直会として用意される食事は非常に豪華な本膳形式で、富士講のハレの食事としては最も盛大だといわれている。先行研究の整理や、主に江戸時代の食べ物の名称や料理の言葉についての研究を行い、江戸時代の食文化を掘り下げ、ワークショップの開催を目指す。そして集落の保存と、そこに息づく歴史的な食を含めた生活文化を継承することを目的としたワークショップを行い、今後の地域支援や国際交流活動に繋げたいと考えている。

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