食品の性質を利用したヨーグルト
食品化学研究室
宮澤紀子専任講師  ▶宮澤専任講師のご紹介はこちら

食品は、生命活動を維持するための栄養素を補給する栄養面での機能(一次機能)、おいしさに関わる嗜好面での機能(二次機能)、病気のリスクを低減する機能(三次機能)があります。食品学では、食品の成り立ちや分類、食品に含まれるさまざまな成分の構造や性質、機能などを学びます。さらに、その学びを深めて、食品の品質保持、向上を目的とした食品加工学にも展開していきます。例えば、牛乳にはたんぱく質が約3%ほど含まれていますが、その主体はカゼインです。たんぱく質は、構成するアミノ酸の種類と数によって固有の等電点をもち、その等電点で最も溶解度が低くなり、沈殿しやすくなります。カゼインの等電点はpH4.6です。牛乳に乳酸菌を加えて乳酸発酵させてつくるヨーグルトは、その性質を利用したものです。つまり、乳酸菌が乳酸を生産することによって牛乳が酸性となり、等電点でカゼインが沈殿したのです。近年、この原理を応用して、大豆を原料としたヨーグルトが新たに開発されています。大豆特有の風味とやさしい深い味わいが特徴的でおいしい加工品です。このように基礎から段階的に学びを深めていくなかには、新しい活用のヒントがあるかもしれません。

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