栄養教諭
北上市中央学校給食センター
上平彩さん(2011年卒業)
岩手県北上市にある学校給食センターで栄養教諭をしています。小学校10校、幼稚園1園の約2,800食の給食を作っています。職場には栄養教諭が私以外にもう1名おり、おもに献立作成、食数管理、食材の発注、検収、作業動線図・作業工程表の作成、衛生管理の指導などを分担して行っています。勤務している北上市では、アスパラガスや二子さといもが特産で、他にもお米や野菜など多くの食材が採れる地域なので、給食にはなるべく多く地元のものを取り入れるようにしています。旬の時期には、地元の農家さんから直接給食センターに納入してもらうこともあり、子どもたちに地元のおいしい食材をたくさん食べてもらえるように工夫しています。
また、給食を提供している10校の小学校へ訪問し、給食時間の子どもたちの様子や配膳の仕方、嗜好などを聞いたり、学級活動や家庭科の時間をつかって、食に関する指導を行ったりもしています。食育指導では、各学年の発達段階に合わせた内容を担任の先生との打ち合わせで決定し、当日は担任と栄養教諭のTT(チームティーチング)で授業を行っています。
給食や食育指導を通して、毎日の食事によって自分の身体が成長していることを実感させ、子どもたちに食べることの大切さや楽しさを伝えるために、日々仕事に励んでいます。
Q. 将来の夢(目標)を教えてください。夢をかなえるために今なにをしていますか?

給食の残食ゼロ!が目標です。給食でカレーや肉じゃがなど人気のあるメニューの日には残食も少ないですが、魚料理や煮物などの日はどうしても残量が多くなります。こういう日は自分の献立が悪かったのかな、もう少し工夫できたのかな、と反省の毎日です。新しい献立を出す時は家で試作をすることもありますが、家で作った時は良くても、大量調理となると出来上がりや味は一緒にはなりません。もっと食材のこと、料理のこと、大量調理のことなど、まだまだ勉強が必要ですし、管理栄養士であっても調理技術をしっかり身につけなければならないなと感じています。

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Q. 同じ仕事を目指す後輩へ、一言メッセージをお願いします。

管理栄養士が働く場はたくさんありますが、学校給食に携わりたい!小・中学校の子どもたちと関わりたい!という人には、栄養教諭をぜひおすすめします。学校給食は衛生面も厳しく、それぞれの施設によってできる調理方法や献立も変わってきます。また、食物アレルギーのある子どもも増えてきているため、多くのことに配慮しながら仕事をしなければなりません。その中で子どもたちが食べたい!苦手なものでもこれなら食べられる!という魅力ある美味しい献立を考えられるかが栄養教諭の腕の見せ所であり、面白さを感じるところです。

大学では教職課程を履修する人はあまり多くはなく、心細さを感じることもあるかもしれませんが、進む道は間違っていないと思いますので、最後まで頑張ってください。応援しています!!

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Q. あなたが働いている職場はどんなところですか?

岩手県北上市にある学校給食センターで働いています。北上市では3つの給食センターから市内の小中学校・幼稚園へ、約10000食の給食を提供しています。私の勤務している給食センターでは、小学校10校、幼稚園1園の約2800人分の給食を提供しています。給食センターの職員は22名おり、調理は直営で、配送を委託しています。

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Q. 現在の職業を選んだきっかけはなんですか?
もしくは現在の職業に就くことになったきっかけはなんですか?

私の両親が教員だったこともあり、自分も学校に関わる仕事に就きたいと幼い頃から思っていました。また、高校2年生の秋頃、進路に迷っていた時に、「食べることが好きだから」という単純な理由で、食に関わる仕事である管理栄養士を目指そうと決めました。その数ヵ月後に、父が体調を崩して入院をした際に、病院の管理栄養士さんから食事指導を受けているところを実際に見て、人のためになる素晴らしい仕事だと実感し管理栄養士を目指す気持ちが強くなりました。

「栄養教諭」は、学校給食の献立を考える「管理栄養士」であり、学校で食に関する指導を行う「教員」でもあります。まさに、自分が求めている仕事そのものだと感じ、栄養教諭を目指しました。

卒業後は地元に帰りたいと思っていたころ、ちょうど岩手県でも栄養教諭の採用が始まりました。高校・大学でお世話になった先輩が岩手県の栄養教諭に採用されていたこともあり、自分も同じ道を進みたいなと思い、この職業を選びました。

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Q. 仕事上で印象深いエピソードには、どんなことがありますか?

初任の頃は、約3000食の給食を作るための食材がどのくらい必要なのか感覚がわからず、食材を多く頼みすぎたり、逆に少なくて足りなくなったりと失敗も多くありました。カレーや肉じゃがの時にはじゃが芋や玉ねぎが100kg以上になったり、みそ汁には豆腐が150丁以上使われたり、初めは量の多さにびっくりしていましたが、今は毎日のことなので見慣れました。

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Q. どんなときに仕事のやりがいを感じますか?

子どもたちや先生方から、「今日の給食、美味しかったです!」、「全員完食しました!」と言われた時が一番嬉しいなと感じます。給食センターにいると、子ども達がどんな様子で食べているのか、今日の給食の味はどうだったのかを近くで見ることができません。子ども達が喜んでたくさん食べてくれることを想像しながら献立を考えたり、よりおいしく出来上がるように調理師さん達と相談しながら作業をしたりしているので、嬉しい報告や感謝のお手紙がくると、とても励みになります。

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Q. 仕事がある日の平均的な1日のスケジュールを教えてください。

7時50分 出勤、着替え、手洗い、検収準備
8時15分 仕事開始、当日使用食材の検収、朝礼
9時00分 翌日使用食材の検収
10時30分 味見、調理状況の確認
11時50分 検食、休憩
13時00分 事務作業(献立作成、伝票整理、食育指導、指導案・教材作成など)
16時20分 反省、ミーティング
16時45分 退勤

基本的には、午前中は給食作りがメインです。その日に使用する食材や翌日以降の食材が納品されるため、数量や賞味期限、品温等のチェックなどをします。出来上がった料理の味見をして、その日の給食が順調に進んでいるかも確認します。

午後は納品が無いので、事務作業に専念できます。日によっては、食育指導やその打ち合わせ、学校保健委員会等の会議のために、学校へ出かけることもあります。

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Q. 略歴と職務経験を教えてください。

2011年3月 女子栄養大学実践栄養学科 卒業
同年4月 岩手県栄養教諭として採用

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Q. 現在の生活形態(一人暮らし、夫婦共働き等)を教えてください。また、仕事と私生活、それぞれに対する価値観、メリハリやバランスのとり方で工夫していることなどがあれば教えてください。

夫と二人暮らしで、夫婦共働きです。私の勤務はカレンダー通りで土日休みですが、夫は違うので休みが合わない日もあります。お互いに休みが合う場合には、買い物や旅行に行ったり、ライブに出かけたりして気分転換をしています。無理をしない程度に家事も分担しています。基本的には、仕事を家に持ち帰ることはないので、仕事と私生活のメリハリはとれています。

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Q. 困難にぶつかった時、どうやってその場を切り抜けましたか? 気分転換や息抜きの方法があれば教えてください。

私の場合は、人に話を聞いてもらうことが一番スッキリします。給食のこと、食育授業のこと、人間関係のことなど毎日悩みは尽きませんが、栄養教諭の同期と美味しいものを食べたり飲んだりしながら語り合ったり、違う職種の大学時代の友達へLINEで相談したりしています。できる限り休みの日は、仕事のことを考えないようにしているので、家族や友達と話したり、どこかへ出かけたりして気分転換をしています。

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Q. 就職後「女子栄養大学で学んでよかった」と思ったこと、また理由を教えてください。

先生方が栄養業界(?)では有名な方ばかりだということが、就職してからわかりました。仕事で使う本や雑誌などにも栄大の先生方の名前がたくさん載っていたり、研修会でもお見かけしたりと、素晴らしい先生方から4年間教わっていたことを実感しました。

また、仕事で困った時や調べ物をしたい時に、大学時代に使用した教科書や本などが参考になるので、仕事にも役立っています。

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Q. 学生時代、学業以外で打ち込んだことがあれば教えてください。

週3~4回、飲食店(うどん屋)でのアルバイトをしていました。バイト先が大学の近くだったこともあり、同じクラスの友達もよく食べに来てくれました。また月に一度、駒込キャンパスで行っている小学生対象の「こども料理教室」のスタッフとして、メニュー考案、試作、レシピ作成、調理補助などをしていました。子どもたちとの関わりを通して、より栄養教諭になりたいという気持ちが強くなりました。

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(掲載内容は、平成29年4月現在のものです。)
食育指導