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営業調理実習

(3年生 後期 選択科目)

─Dousite Oniku Nano?─

2015.03.16 授業紹介 学生取材記事
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 「営業調理実習」は、私たち学生が学内施設で店舗運営を行いながら飲食店経営の流れを学びます。 この営業調理実習は、3年生の後期に開講される「創作メニュー実習」と共に履修します。

 今年の創作メニュー実習は、ファミリーステーキハウス〈ステーキのどん〉様との商品開発でした。 創作メニュー実習では、市場調査、班ごとに企画と試作の繰り返し、2回の社長プレゼンを経て、商品開発を行いました。 そこで考案したメニューに、提供しやすい量やセット内容、原価調整や盛りつけ変更等の修正を加えて、実際に店舗運営をしながら販売する場がこの営業調理実習です。 営業当日は調理からサービスを学生が担当します。

 そこで、提案させていただいたメニューを中心に、営業調理実習では、 「やわらかステーキセット」、「あつあつチーズフォンデュセット」などの5つを販売しました。 経過はそれぞれ異なりますが、どれも班ごとに試行錯誤しながら考えたメニューです。

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調理からサービスまで学生が担当しました

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「あつあつチーズフォンデュセット」

 料理以外にも内装づくりやメニュー表、販促物の作成などの準備もしなくてはいけません。内装は装飾係りが中心となり、 毎日残って作業をしてくれたおかげで、シンプルな中にもこだわりがある、学内感を感じさせない内装になりました。 メニュー表や班ごとの販促物もそれぞれ手の込んだ素敵なものでした。

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メニュー表も手作りしました

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班ごとに作った販促物 ランチョンマットとリーフレット

 営業当日。オープン前は緊張していましたが、オープンしてからは、あっという間に時間が過ぎていきました。

 私たちの班が提供したメニューは、キノコなどの菌類から食物繊維を摂り、 チーズの乳酸菌や味噌の麹菌などの善玉菌を合わせる事で腸内環境を良くすることを提案した「菌活ハンバーグセット」。

 営業1日目のアンケートで「・・・でもハンバーグが硬かった。」こんなコメントが多くありました。 そのハンバーグの仕込みを主に担当したのは私でした。
 お客様に提供するということで、どの班も肉は最終的にオーブンで肉の中心温度が75度以上になるまで加熱しなければなりません。 ハンバーグは温度計を刺すと肉汁が出てしまいます。そのまますぐ提供できれば良いのですが、かかる時間は10分以上。 なるべく早く提供するというオペレーション上、仕込みの段階で加熱、冷却をし、提供時は再加熱して提供するため、 どうしてもハンバーグが硬くなってしまうのです。

 そこで工夫できることとして、ハンバーグに入れる玉ねぎの量を1.5倍に変更することにしました。 ここまで考えたのは良いものの2日目の仕込みは15食分、3日目の仕込みは前日に急遽食数が増え20食分。 思った以上の量に途中でなぜフードプロセッサーを使わなかったのかと心が折れそうになりながら、 結局2日間とも二人がかりでみじん切りにしたのはいい思い出です。

 そして肝心のハンバーグの柔らかさは、営業2日目のアンケートでは「ハンバーグが硬かった」という意見がなくなり、 なんと営業3日目にはアンケートで「ふんわりハンバーグ」というコメントをいただきました。 「ふんわりハンバーグ」という言葉を聞いた時は正直泣きそうになりながら喜んでしまいました。 まさかハンバーグで涙を流すとは思ってもいませんでしたが、それぐらいメニューに力を注げたのではないかと思いますし、この実習で印象深い出来事です。

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八丁味噌ソース&濃厚チーズソースの菌活ハンバーグ

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セットメニューのデザート 爽やかな香りの「レモンはちみつゼリー」

 実習中、戸惑いや電車の遅延などのハプニング、慣れないことも多く、思い通りにはいかない難しさも経験しました。 しかし後期の創作メニュー実習から商品開発を進め、この営業調理実習でのやっと販売。 どの班のメニューもずっと見てきたメニューです。実際に学内・学外のお客様が食べてくれているところを見て、料理がきれいになくなったお皿を見て、 「美味しかったです。」という言葉をいただいて、リピーターになってくださった方もいて、なかなか自分たちの班の注文が入らず不安になった時もありましたが、 3日間を通して自分たちの考案したメニューを食べてもらえる喜びを肌で感じました。

 実際に営業したのは3日間ですが、それまでの準備などを含めると多くの時間を費やした実習であったと感じます。 それでも毎日の反省会で新しい改善点が見つかり、日を追うごとに進化していく、そんな3日間でした。たくさんの人に助けてもらいながらも、 一人一人が考えて行動し、充実した時間を過ごしたのではないかと思います。 みんなで協力して、と言うとありきたりかもしれませんが、声を掛け合いながら協力し合い、 食文化栄養学科っていいなって改めて感じられるような、ただ一言「楽しかった」や「大変だった」だけではないことを経験できた実習でした。

(食文化栄養学科・ 3年 M.K./2015.03.16)