お酒 -体質に合った飲み方を-
基礎栄養学研究室

お酒の主成分であるエタノールが、体内で正常に代謝されるためにはアルデヒド脱水素酵素(ALDH)と呼ばれる酵素が必要となります。ALDHはアセトアルデヒドを酢酸に変える酵素で、これがうまく働かないと、アセトアルデヒドが体内にたまります。アセトアルデヒドは毒性が高く、心拍数増加、頭痛、吐き気などの不快症状を引き起こします。

通常、お酒に弱いといわれる人は、遺伝的にALDHの働きが悪いことが知られています。遺伝的なALDHの働きの違いには地域差が関係します。もともと、欧米人に比べて、日本人はALDHの働きの弱い人が多い民族です。ワインなどを水代わり?と思われるほど大量に飲んでも平気な欧米人が多いのはそのためです。日本国内でも地域差が見られ、中部、近畿地方ではほかの地域に比べて、ALDHの働きの弱い人が多く、そこから東西にそれぞれ向かうにつれ、ALDHの働きの強い人が増え、つまり、酒豪が多くなります。平均すれば、日本人の約50%はお酒に強い人、約7%は弱い人、残りはその中間型です。

ALDHの働きが強い人に比べて弱い人では(同量飲酒し続けたとして)、消化管や肝臓などのがんになりやすいことが知られています。一方、お酒に強い人は、弱い人より飲酒による悪影響は少ないものの、不快症状が出現しないので、つい飲みすぎになりがちです。その結果、当然の事ながら、高血圧、脂質異常症、脳出血、肝硬変等のリスクが高まります。持って生まれた体質を受け入れ、その体質に合った対処方法(=飲み方)をすることが、大切です。

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