あなたにとって、理想の食事とは?
給食・栄養管理研究室

実践栄養学科2年生の必修科目に、「ライフステージ栄養・食事管理実習」という実習があります。人の一生をいくつかの場面、例えば妊娠・授乳期、乳幼児期、学童・思春期、成人期、更年期、高齢期といったライフステージにわけ、ステージごとの特徴を理解し、それに応じた食事を計画・実践できるようになることが目標の授業です。学生たちは自分とは異なるライフステージの人の生活や、食生活を実体験として知る機会が少ないため、様々なライフステージの家族や親せき、友人等にインタビューして、どのような食生活を送っているかを調べてもらっています。インタビューの項目に「あなたの理想の食事とはどのようなものですか」というのがあります。いろいろな回答が上がりますが、最も共通して多くあがるのが「家族と一緒に食べる食事」です。理想の食事とは、食事の内容ではなく、食事を食べるときの状況を回答する人が多いことがわかります。どんな年齢の人であれ、家族とあるいは誰かと一緒に食べることが、理想の食事である。これは、その実現が難しい社会になっていることを意味しているのかもしれません。

話はかわりますが、最近、地方への仕事で何度かホテルで朝食を摂る機会がありました。そのたびに、小学生の子どもと親との組み合わせでの食事風景を目にしました。子どもは普段とは違うホテルでの食事を楽しんでいるようにも見えますが、積極的に食べている感じが見受けられません。親は先に食べ終え、ずっとスマートフォンをいじっています。子どもが食べる様子をみたり、声をかけたりがありません。親子は食卓と食事時間は共有していますが、果たしてこのような状況は、誰かと一緒に食べることになるのでしょうか?

誰かと共に食事をすることの意味の一つに、食事をしたときに感じたことを言葉にして表現すること、その会話を通して感じたことを人と共有すること、それらが記憶として残っていくことの大切さがあります。

食事は成長や健康の維持・増進に結びつくため、何をどれだけ食べたらよいかという、その内容が重要ですが、それをどう食べるかということも大切に考えていく必要があります。

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