保育園栄養士
社会福祉法人たつの子の会 西東京市立そよかぜ保育園
榎本美穂さん(2011年卒業)
素材そのものをおいしいと感じられる子どもに育ってほしいという思いから、すべて手作りとし、加工食品や食品添加物の入ったものは使用しません。旬の食材と朝から丁寧にとった出汁で薄味でも美味しい給食を作っています。離乳食の頃から野菜スティックや手づかみしやすい大きさの煮物などを毎日の給食に取り入れて、自分で食べたい気持ちや咀嚼力を育むことを大切にしています。また、アレルギー原因食材第1位である鶏卵は一切使用せず、アレルギーのある子も可能な限りみんなと同じものを食べられるように工夫し食事を楽しめるようにしています。
子どもの苦手な食材も、そのものの味を生かしながら美味しく食べられるように、4人の栄養士全員が試作を重ねてオリジナリティ豊かな給食づくりをしています。「食べられた!」という自信がつき、好きなものが増えていく喜びを感じることも食事の楽しさの1つです。
本物の味や香りを味わうこと、噛む力を育てること、食事の楽しさを知ること、全てが食べる意欲となり、そしてそれは生きる意欲となります。その子どもの意欲を育む仕事です。
Q. 現在の職業を選んだきっかけはなんですか?もしくは現在の職業に就くことになったきっかけはなんですか?

大学へ入学した頃はスポーツ選手の栄養管理をしたいと思い、身体のケアの知識を深めるために休日に民間の整体スクールへ通いました。そこで学び、たくさんの人と出会う中で食と健康の大切さを再確認し、食の面から健康を守る仕事をしたいと思うようになりました。「健康、食事」をテーマに幅広い企業を調べましたが、どこも働いている自分がイメージできませんでした。改めて何をしたいのか考えた結果、健康の土台を作る保育園で働きたいと思い、いくつも見学へ行き最後に出会ったのが今の職場でした。目の前にあった大鍋の南瓜の煮物。その綺麗さに驚き、ここで働きたいと思いました。健康的で見た目も美しく味も美味しい、私の学びたいものに出会えたと思いました。迷い探し続けて、本当にやりたいことを見つけることができました。

× 閉じる
Q. 将来の夢(目標)を教えてください。夢をかなえるために今なにをしていますか?

料理本を書きたい、料理教室がしたい、健康的な食事を出すお店を開きたい・・・などの夢を持っています。やってみたいことはたくさんありますが、今は仕事と子育てを一番大事にしたいと思っています。仕事でもっとスキルを磨くことや様々な視点で物事を考えられるようになること、娘が心身ともに健やかに育つように支えることが私の今やるべきことだと思っています。今すべきことを丁寧にやり、その経験を将来の夢に繋げていきたいと思います。

× 閉じる
Q. 具体的な職業について考え始めたのはいつごろですか?またそのきっかけはなんですか? そして、いまその職業に就いていますか?

高校生の頃は、管理栄養士の他にも体育教師や鍼灸師など様々な仕事に興味がありましたが、一番好きなことを考えたときに、料理をすることや料理本を読むことが好きだったので管理栄養士を目指すようになりました。大学へ入学した頃は、自分自身も運動が好きだったことから、スポーツ選手の栄養管理をしたいと思っていました。栄養以外の予備知識をつけるために休日に民間の整体スクールへ通い、筋肉や骨格のケアについて学びました。そこでたくさんの人と出会い学ぶ中で、スポーツ選手だけでなく、もっと多くの人の健康づくりの役に立ちたいと思い、健康の土台作りをする乳幼児期の食に携わる保育園で働こうと決めました。

× 閉じる
Q. あなたが働いている職場はどんなところですか?

溢れんばかりの厳しさと、溢れんばかりの優しさで出来ています(笑) 保育園は保育のプロである保育士と栄養のプロである栄養士の2本柱で成り立っています。それぞれが「子どものために!」と考えたときに、意見がぶつかり合うことも。栄養士の言葉に耳を傾けてもらうためにも、日々手を抜かず自分に厳しく仕事をする必要があります。そのため、栄養士同士の関係はとても良好で日々笑いが絶えなくても、仕事に関してはお互い厳しい目を持っています。自分を律しながら日々努力を重ね成長できる誇れる職場です。厳しさと強い思いやり、信念のある強いチームを目指しています。

× 閉じる
Q. 仕事上で印象深いエピソードには、どんなことがありますか?

私の職場は鶏卵を一切使用しないため作れないものが多いことやレシピ本の引用がしづらいこともあり、1年目はおやつの新作づくりが難しく、辛いと感じていました。そのとき、上司に「卵なしはできないことが増えるのではなくて、可能性が広がることなんだよ」と言われ、「できない」と諦めていた自分に気付き、前向きに新メニューの試作に取り組むようになりました。アイディアを形にして、意見を出し合い、改良を繰り返します。新しいものを生み出すことは難しいけれど、自分が前向きに考えられれば楽しくなることや、自分たちで1から考えたものが自慢の逸品になったときの嬉しさを知ることができたのは、あのときの上司の言葉があったからだと思います。

× 閉じる
Q. どんなときに仕事のやりがいを感じますか?

子どもたちからの「美味しかったよ!」という声や、試食会などで保護者の方から給食に対する信頼や感謝の声が聞けたとき、自分たち自身も満足の出来で喜びあえたときです。最近ではご家庭でも園の食事を目指してくださる保護者の方もおり、子どもたちが保育園にいる間だけでなく、生涯の健康に繋がっていると感じられることにもやりがいを感じています。

× 閉じる
Q. 仕事がある日の平均的な1日のスケジュールを教えてください。

5時半   起床、朝食、身支度など
7時    自宅出発
8時半   出勤、調理業務
11時    昼食提供、片づけ、事務仕事
13時    おやつ作り開始
14時半   おやつ完成、食事、事務仕事、片づけなど
15時15分  退勤
16時半   子どもの保育園お迎え
17時半   夕食支度、入浴など
18時半   夕食
19時    子どもとの時間
20時    子ども就寝
20時半   翌日の食事仕込み、洗濯、事務仕事など
22時    就寝

× 閉じる
Q. 略歴

平成23年3月 女子栄養大学卒業
平成23年4月 社会福祉法人たつの子の会入社(正規職員)
       西東京市立そよかぜ保育園配属
平成27年4月~平成28年3月 産前産後休暇、育児休暇取得
平成28年4月 6時間パートタイマーにて職場復帰

× 閉じる
Q. 現在の生活形態を教えてください。また、仕事と私生活、それぞれに対する価値観、メリハリやバランスのとり方で工夫していることなど。

夫婦共働きでもうすぐ2歳になる娘との3人暮らしです。仕事も家庭もどちらも大切に思っていて、仕事はもちろん全力でやりたいですし、子どもと向き合う時間も作りたいと思っています。家庭では、帰宅後に時間に追われないように休日や前日の夜に食事の作り置きをして、子どもといる時間にゆとりを持てるようにしています。子どもの体調不良のときは、基本的には私が休めるように職場の方々に配慮してもらっていますが、行事等でどうしても休めないときは夫や母、時には遠方に住む義母に子どもを看てもらうこともあります。社会と家族に助けてもらっているおかげで仕事と母親業の両立が成り立っています。

× 閉じる
Q. 困難にぶつかったとき、どうやってその場を切り抜けましたか

とにかくその問題と向き合うようにしています。自分のどこがよくなかったのか、そしてこれからどう考え行動すべきかということについて自分で考え、上司や同僚とじっくり話し合います。困難にぶつかったときは当然辛く苦しいものですが、よく考えることで自分が一つ成長し、また、壁を乗り越えることで、その経験を自信に変えることができます。

× 閉じる
Q. 就職後「女子栄養大学で学んでよかった」と思ったこと、また理由を教えてください。

確かな知識がついたことです。就職したばかりの頃は、大量調理の技術や現場で判断する力は未熟でしたが、知識はしっかりと頭に入っていたので、保健所とのやりとりや職場での栄養についての話の際には困ることはありませんでした。また、私の職場は大学で勉強した栄養管理とは少し考え方が違う部分がありますが、それでも大学時代に学んだ知識が役立っているという点でも女子栄養大学で深く学んでよかったと思っています。

× 閉じる
Q. 学生時代、学業以外で打ち込んだことがあれば教えてください。

若葉祭実行委員会渉外部に所属していました。宣伝のために仲間とビラ配りをしたことも良い思い出です。普段なかなか関わることのできない先輩とも親しくなり、授業や臨地実習、就職活動などについてのお話も聞けてとても参考になりました。また、他の学科の友だちができたこともよかったです。社会に出てからは、それぞれ管理栄養士、家庭科教諭、臨床検査技師、養護教諭と違う仕事をしていますが、今でもたまに集まってお互いの仕事の話をすることも楽しいです。

× 閉じる
Q. 同じ仕事を目指す後輩へ、一言メッセージをお願いします。

保育園の管理栄養士の仕事は、仕事として多くの子どもたちの健康を支えるだけでなく、自分の大切な人の健康も守れる知識や技術が身につく仕事です。私はこの仕事に就いて心から良かったと思っていますし、私の職場での仕事を誇りに思っています。皆さんもたくさん迷って自分の進む道をしっかり選んでください。応援しています!

× 閉じる
(掲載内容は、平成29年4月現在のものです。)
季節のメニュー