宮澤紀子ゼミ■食品化学研究室
地域に寄り添い、未来へつなぎたい
まだ知られていない野菜を消費者の元へ

「”地域“に寄り添い”未来“に繋ごう」をキャッチフレーズとするJA南彩は、首都圏に近い立地を生かし消費者ニーズに対応した多品目の農産物の生産を展開しているなかで、2017年より青パパイヤの栽培に取り組んでいる。農作物の生産から、流通、販売を経た消費までの活動を通じて、青パパイヤを主としたJA南彩野菜の理解を深め、それらの認知度を向上させることを目的とした。これまでに青パパイヤ農家の訪問や、青パパイヤの特性を生かしたレシピ開発などを行った。今後は各種イベントへの参加、SNSでのレシピ動画の配信などの様々なツールで消費者へ届ける活動を進めていく。
きのこを軟らかく、食べやすく

きのこは食物繊維が豊富に含まれており、独特の食感を生み出している。一方で食物繊維の多い食材は、嚥下力や咀嚼力が低下した人にとって食べにくいものとなる。そのため、きのこを介護食に使用する場合、繊維を断つようにみじん切りにしたり、ペースト状にしたりすることを学園内留学で学んだ。このような方法は食べやすさは改善するが、視覚から得られる料理に対する食欲は減退する場合がある。そこで形状を維持したまま、きのこを軟質化できないか試みることを本実習テーマとした。文献や資料をもとに、まずは既存の軟化剤等を利用して数種類のきのこで軟化度合いを調べる予定である。
野菜のチカラを粉に込めて
捨て野菜が光るメニュー提案と生まれ変わる価値

一昨年、日本人の野菜摂取量は過去最低を記録した。近年の著しい価格高騰が要因に含まれる一方、規格外等による大量廃棄も起き、この矛盾した状況が深刻化している。そこで本実習では、埼玉県日高市で地元野菜、特に規格外の野菜から粉末を製造する「翔すけ」の乾燥野菜粉末を活用した、メニュー提案を行う。まずはベーグルへの応用を想定し、市場調査等を行った。今後は、他商品への展開と販売を視野に入れ、実用性と魅力を兼ね備えた商品開発を進める。そして、実際に端材や規格外品が生成する食品工場に訪問し、食品ロスについて理解を深めると共に、乾燥野菜の新たな用途や付加価値の創出を目指す。
全部食べて「ごちそうさま」
食品の廃棄を考える

私は飲食店でアルバイトをしている。その中で、大量に廃棄される食品を見て心が痛くなり、また食品を廃棄することに対する周囲の人の関心の低さにも危機感を感じた。そこで本実習では、食品廃棄物の削減に関心がある人を増やすことを目指し、その機会を提供する活動を行う。まずは、事業系の食品廃棄物の削減に関わる取り組みとして、規格外農産物をアップサイクルさせた商品を活用した商品開発を通じて、関心を持ってもらう機会を作った。今後は、家庭で発生する食品ロスの削減に向けた対策として、「使いきれずに捨ててしまう野菜」を減らすためのメニュー開発を行い、その情報を発信していく。
巨大きのこワンダーランド

「巨大きのこワンダーランド」巨大きのこの不思議な世界をまるで旅するような感覚で、その栽培法や調理方、魅力を幅広い世代に伝えることを目的に活動しました。ニオウシメジやササクレヒトヨタケ、巨大なめこといった珍しい品種を取り上げ、菌床作りや施設見学を通してきのこに対しての理解を深め、巨大きのこを使用した料理を試作しました。得られた知見はショート動画として自ら撮影・編集し、InstagramやTikTokをメインにSNSを通じて発信しました。今後も動画配信を通して、きのこの奥深い魅力や調理性、まだまだ知らない多様な可能性を発信していきます。
梅を通じて郷土愛を育む

私は、各地域で産出されたものに興味がある。特産品は、地域経済の活性化に加え、地域に対する理解を深め、地元愛を育むことができるものだと考えた。埼玉県越生町で梅の生産から加工品の製造までを手掛ける山口農園が経営する梅凜caffeで、梅を通じた料理で地元愛を深めてもらうことを目的に、メニュー開発とカフェ運営に取り組んでいる。メニューは、越生町以外の地域から訪れる人の地元愛も育めるように、越生町産梅×坂戸市産ハチミツのように、梅と地域の特産品とを組み合わせて考案し、試作を進めている。実際に考案したメニューを提供し、訪れた方々に梅の魅力と地元愛を深めてもらいたい。