宮内正ゼミ■文化学研究室
新・パンの街
─宇都宮におけるパン屋の役割─
私は、地元である栃木県宇都宮市のパン屋について研究しています。近年宇都宮市ではパン屋が増加し、「パンの街」としてテレビや雑誌、SNSなど様々な媒体で取り上げられています。県内外問わずパン屋を目当てに宇都宮に訪れる人も多く、注目されていることからこのテーマについて研究することにしました。
「宇都宮」と聞いて大抵の人が『餃子』を思い浮かべると思いますが、近年の宇都宮では餃子店の約1.5倍に当たる120店舗のパン屋があります。人々が殺到する有名な人気のパン屋、知る人ぞ知るおしゃれなパン屋、観光地にある話題のパン屋、昔ながらのどこか懐かしさを感じるパン屋、数多くの素敵なパン屋が存在します。なかでも、商品・空間・立地・オーナーさん・お客さんなどが店舗によって異なり、様々な楽しみ方ができるという点が私の考える「宇都宮」のパン屋の魅力です。また、宇都宮市は都心と異なり、クルマ依存型社会であることから、駅周辺だけでなく中心部から外れた場所にもパン屋が存在します。この影響により、私も幼い頃から母とクルマに乗ってパン屋を利用することが当たり前となっていました。しかし今年の8月26日に国内初の路面電車LRTが開業したことで、利用可能な交通手段が増え、これまで以上にパン屋を利用しやすい環境になったと考えられます。
前回の発表会では、宇都宮でパン屋が増加した背景に着目し、文献調査と現地調査をもとに地域活性化の影響であると考察しました。今回の発表会では、クルマ社会やLRTとの関係性に着目し、地域とパン屋のつながりについて考察します。そして、これまでの研究を通し、宇都宮におけるパン屋の魅力やどのような役割なのかを明らかにします。みなさんが宇都宮のパン屋について興味を持ち、足を運ぶきっかけになればうれしいです。
「宇都宮」と聞いて大抵の人が『餃子』を思い浮かべると思いますが、近年の宇都宮では餃子店の約1.5倍に当たる120店舗のパン屋があります。人々が殺到する有名な人気のパン屋、知る人ぞ知るおしゃれなパン屋、観光地にある話題のパン屋、昔ながらのどこか懐かしさを感じるパン屋、数多くの素敵なパン屋が存在します。なかでも、商品・空間・立地・オーナーさん・お客さんなどが店舗によって異なり、様々な楽しみ方ができるという点が私の考える「宇都宮」のパン屋の魅力です。また、宇都宮市は都心と異なり、クルマ依存型社会であることから、駅周辺だけでなく中心部から外れた場所にもパン屋が存在します。この影響により、私も幼い頃から母とクルマに乗ってパン屋を利用することが当たり前となっていました。しかし今年の8月26日に国内初の路面電車LRTが開業したことで、利用可能な交通手段が増え、これまで以上にパン屋を利用しやすい環境になったと考えられます。
前回の発表会では、宇都宮でパン屋が増加した背景に着目し、文献調査と現地調査をもとに地域活性化の影響であると考察しました。今回の発表会では、クルマ社会やLRTとの関係性に着目し、地域とパン屋のつながりについて考察します。そして、これまでの研究を通し、宇都宮におけるパン屋の魅力やどのような役割なのかを明らかにします。みなさんが宇都宮のパン屋について興味を持ち、足を運ぶきっかけになればうれしいです。
消費を通して自己を知る
─食品の選び方─
「食品を購入する」ということは昔と今でまったく事情が異なる。昔は、とにかくお腹を満たすだけの分量が手に入るかどうか、その必要な「量」が入手できるかどうかが重要であった。量さえあれば質は問わない。ところが今は、自分の好きなもの、自分の食べたいものが手に入るかどうかが重要だ。同じ種類の食品から、自分の好きなもの、自分の食べたいものを探して、手に入れる。同じお米でも、品種や産地や農薬の有無など、自分が決めた条件に適ったお米でなければならない。「自分にとって重要な条件」(食品のモノとしての属性に関するもの。品質、価格、安全性、国産か外国産か、など)、「自分の好み」(食品に付与された価値や意味。食品そのものと直接的な関係のないもの。ブランド、パッケージデザイン、販売している店、店員の接客、値引き商品であるかないか、など)を真っ先に考えて、買うか買わないか、どれを買うかを決める。
では、食品を購入するときの「自分にとっての重要な条件」や「自分の好み」とはいったい何か。もちろん、その人の年齢、性別、所得水準、家族構成、居住形態などによって決まるものも少なくないが、ここでは、無添加にこだわる、産地にこだわる、見た目や色つやにこだわる、パッケージのデザインにこだわる、といったその人の「こだわり」に注目する。例えば「今日は久しぶりにお家で焼肉をするから、いつもよりいいお肉を買おう」とか「ケチだと思われたくないから、ちょっと高い食材を買おう」というように、個別の食品へのこだわりもあれば、より広く、一連の購買行動全体にその人のこだわりが現れることもある。
そこで、消費者がどのような「こだわり」を持っているかという観点から消費を捉えることにする。調査方法はケーススタディを採用し、対象者に一週間夕食の買い物をする際、選んだ食材・食品とそれらの値段を写真に撮ってもらう。料理名とその料理を作ろうと思った理由も併せて記録してもらい、消費行動の背景にどのような「こだわり」があるのかを明らかにする。さらに、こうした「こだわり」をいくつかのタイプに分け、消費者自身の価値観や自己イメージなどとの関連を考察する。消費者が食品を購入するとはどういうことか。それは、消費者自身が次々に登場する新商品の「洪水」の中で自分自身の拠り所を見失わないように、自分が主人公として振る舞うことのできる「物語」を見つけ、その「物語」の中で自分の位置や役割を確認し、演じ続ける姿そのものにほかならない。
では、食品を購入するときの「自分にとっての重要な条件」や「自分の好み」とはいったい何か。もちろん、その人の年齢、性別、所得水準、家族構成、居住形態などによって決まるものも少なくないが、ここでは、無添加にこだわる、産地にこだわる、見た目や色つやにこだわる、パッケージのデザインにこだわる、といったその人の「こだわり」に注目する。例えば「今日は久しぶりにお家で焼肉をするから、いつもよりいいお肉を買おう」とか「ケチだと思われたくないから、ちょっと高い食材を買おう」というように、個別の食品へのこだわりもあれば、より広く、一連の購買行動全体にその人のこだわりが現れることもある。
そこで、消費者がどのような「こだわり」を持っているかという観点から消費を捉えることにする。調査方法はケーススタディを採用し、対象者に一週間夕食の買い物をする際、選んだ食材・食品とそれらの値段を写真に撮ってもらう。料理名とその料理を作ろうと思った理由も併せて記録してもらい、消費行動の背景にどのような「こだわり」があるのかを明らかにする。さらに、こうした「こだわり」をいくつかのタイプに分け、消費者自身の価値観や自己イメージなどとの関連を考察する。消費者が食品を購入するとはどういうことか。それは、消費者自身が次々に登場する新商品の「洪水」の中で自分自身の拠り所を見失わないように、自分が主人公として振る舞うことのできる「物語」を見つけ、その「物語」の中で自分の位置や役割を確認し、演じ続ける姿そのものにほかならない。
食品のカプセルトイ
─SNSで「かわいい」を共有するために─
みなさんは「カプセルトイ」と聞いてどんなものを想像しますか? おもちゃだったり、身に付けられるストラップだったり、飾れるフィギュアだったり、たくさんの種類が思い浮かぶと思います。私は、こうした数えきれないほどの種類がある中で、食品のカプセルトイに興味をもちました。
カプセルトイとは、カプセル自動販売機に硬貨を投入し、レバーを回転させて、手に入れることのできるミニ玩具です。かつては、人気の漫画やアニメや映画に出てくるキャラクターを中心に、怪獣、ロボット、恐竜、動物、人形、のりものなど、いわゆる「オタク」と呼ばれる人たちに人気のある玩具に限られていましたが、近年は、それらに加えて、食品の玩具に人気が集まっているようです。そこで、その人気の理由とは何か、その背景にある要因とは何かについて考察します。
そもそもカプセル自動販売機は当初、子供のおもちゃとして駄菓子屋さんの店頭に置かれていいました。それが最近は、スーパー、ショッピングモール、ターミナル駅構内、量販店の店頭などに設置されるようになり、子供だけでなく、大人にも親しめるもの、身近なものになりました。このことは、ネットにおけるSNS利用の普及と相俟って、その販売機でゲットした人気のカプセルトイをInstagramやYouTubeといったSNSにアップして、仲間同士で盛り上がる、話題にする、という新しい楽しみを大人たちに提供することになりました。
もうひとつは、ここ最近、顕著になっている食情報番組の増加や食関連のブログの人気に見られる、食べものへの「視覚的な興味」の増大というものが、カプセルトイのなかでも、とくに食品に関するカプセルトイの人気を後押ししているということです。
以上のことから、食品のカプセルトイは、子供よりも大人を対象とした玩具として、SNSという世界で仲間と「かわいい」を共有する楽しみであり、食への「視覚的な興味」を満たすものとなっています。
カプセルトイとは、カプセル自動販売機に硬貨を投入し、レバーを回転させて、手に入れることのできるミニ玩具です。かつては、人気の漫画やアニメや映画に出てくるキャラクターを中心に、怪獣、ロボット、恐竜、動物、人形、のりものなど、いわゆる「オタク」と呼ばれる人たちに人気のある玩具に限られていましたが、近年は、それらに加えて、食品の玩具に人気が集まっているようです。そこで、その人気の理由とは何か、その背景にある要因とは何かについて考察します。
そもそもカプセル自動販売機は当初、子供のおもちゃとして駄菓子屋さんの店頭に置かれていいました。それが最近は、スーパー、ショッピングモール、ターミナル駅構内、量販店の店頭などに設置されるようになり、子供だけでなく、大人にも親しめるもの、身近なものになりました。このことは、ネットにおけるSNS利用の普及と相俟って、その販売機でゲットした人気のカプセルトイをInstagramやYouTubeといったSNSにアップして、仲間同士で盛り上がる、話題にする、という新しい楽しみを大人たちに提供することになりました。
もうひとつは、ここ最近、顕著になっている食情報番組の増加や食関連のブログの人気に見られる、食べものへの「視覚的な興味」の増大というものが、カプセルトイのなかでも、とくに食品に関するカプセルトイの人気を後押ししているということです。
以上のことから、食品のカプセルトイは、子供よりも大人を対象とした玩具として、SNSという世界で仲間と「かわいい」を共有する楽しみであり、食への「視覚的な興味」を満たすものとなっています。
思い出の中の食風景
─記憶としての食─
旅行先で食べた料理、初めて作った料理、忘れられないあの味。人々の心に刻まれる食。誰もが懐かしさとともに思い出す食の風景というものをもっているに違いない。こうした「思い出や記憶に残る食」とはいったいどういうものか。どのような特徴があるのだろうか。出身・世代・性別など、できるだけ異なった属性をもつ人にインタビューを実施し、思い出や記憶に残る食には、どのような要因や特徴があるのかを調査した。おいしかった、楽しかったといったポジティブな記憶だけでなく、心の傷(トラウマ)になった経験や苦い思い出など、ネガティブな記憶についても、可能なかぎり、考察対象とした。
食べものを味わうとき、味だけが重要なのではない。人は食べものを味わうとき、食べものの香りや見た目、さらに食事環境、心理状態などじつに多くの要素の影響を受けている。つまり、人は「脳で味わっている」のだ。私は、思い出や記憶に残る食には、食事環境や心理状態などが大いに関係しているのではないかと考えた。インタビューをしていくなかで、ある共通点を見つけ出した。それは、記憶に残る食には、非日常の体験、共に食事した人の存在、ライフヒストリーが関係しているということだ。たとえば、初めて食べた食品や外食店での思い出、一緒に食卓を囲み同じ時間を共有した経験、食を通して心揺さぶられた経験、幼い頃の食体験などがそうである。また、食の記憶を紐解いていくと、その人の価値観や生育環境などが深く結びついていることが見えてきた。これらのことが、思い出や記憶に残る食と関係していると考えられる。
あのとき体験した唯一無二の食、それを再現しようとしても同じようには感じない。一つ一つの思い出が真空パックに保存される。食の記憶をたどる。それは、その人を知ることにつながる。その人自身のかけがえのない〈人生〉と切り離すことのできない食の記憶。あなたの食の記憶はいったいどういうものだろうか。
食べものを味わうとき、味だけが重要なのではない。人は食べものを味わうとき、食べものの香りや見た目、さらに食事環境、心理状態などじつに多くの要素の影響を受けている。つまり、人は「脳で味わっている」のだ。私は、思い出や記憶に残る食には、食事環境や心理状態などが大いに関係しているのではないかと考えた。インタビューをしていくなかで、ある共通点を見つけ出した。それは、記憶に残る食には、非日常の体験、共に食事した人の存在、ライフヒストリーが関係しているということだ。たとえば、初めて食べた食品や外食店での思い出、一緒に食卓を囲み同じ時間を共有した経験、食を通して心揺さぶられた経験、幼い頃の食体験などがそうである。また、食の記憶を紐解いていくと、その人の価値観や生育環境などが深く結びついていることが見えてきた。これらのことが、思い出や記憶に残る食と関係していると考えられる。
あのとき体験した唯一無二の食、それを再現しようとしても同じようには感じない。一つ一つの思い出が真空パックに保存される。食の記憶をたどる。それは、その人を知ることにつながる。その人自身のかけがえのない〈人生〉と切り離すことのできない食の記憶。あなたの食の記憶はいったいどういうものだろうか。
良品計画の商品について
人は寄り添える食品企画
私が株式会社「良品計画」に興味を持った理由は、素材が本来あるべき姿で提供されていると感じたからです。創業時の目標や企業理念を調べてみると、「消費者のアンチテーゼ」を掲げ、消費者に重点をおき、感じの良い暮らしのための商品を提供していることがわかります。商品を通して生活の豊かさを追求するだけでなく、社会全体にも好ましい影響を与えていきたい、ということのようです。次から次へとめまぐるしく時代が変化する中で、多くの人が求めていることをしっかりと具現化し続けること、その普遍性が評価されているのだと思います。また、地域に密着し、売り場一つとっても地域の人たちに親しみやすく、その人たちが必要としている日常商品が多く並んでいると思います。
ここでは、日常的に使用する商品の中で、人との距離が一番近い「食品」に注目します。食とは人にとって身近で、人の身体を作り上げるものです。たとえば、レトルトパウチの食品であっても、代替調味料が入っておらず、ありのままの素材を使用し、自然と人に寄り沿っているものであると感じました。実際に自分が良品計画の食品を利用し、商品から得られる幸福感を実感し、厳選された、体によい食材を味わってみると、まさに「良品計画」の食品は人のためになっているなと感じました。
私は、今後、こうした「人のためになる商品」を企画したいと考えています。近年、消費者は「自分」にとって特別であるものを手に入れたいということ、このことと関連して、ブランド意識が高いように見受けられます。このことを踏まえて、良品計画だから購入する、というのではなく、こうした商品があるのが良品計画だよね、という「こだわり」を生み出すようなものを目指します。
ここでは、日常的に使用する商品の中で、人との距離が一番近い「食品」に注目します。食とは人にとって身近で、人の身体を作り上げるものです。たとえば、レトルトパウチの食品であっても、代替調味料が入っておらず、ありのままの素材を使用し、自然と人に寄り沿っているものであると感じました。実際に自分が良品計画の食品を利用し、商品から得られる幸福感を実感し、厳選された、体によい食材を味わってみると、まさに「良品計画」の食品は人のためになっているなと感じました。
私は、今後、こうした「人のためになる商品」を企画したいと考えています。近年、消費者は「自分」にとって特別であるものを手に入れたいということ、このことと関連して、ブランド意識が高いように見受けられます。このことを踏まえて、良品計画だから購入する、というのではなく、こうした商品があるのが良品計画だよね、という「こだわり」を生み出すようなものを目指します。
食品のにおいの許容範囲
冷蔵庫に納豆はあるだろうか。私の家では、納豆がなくなるとすぐに買い足してストックしている。我が家の毎日の食事には欠かせない存在だ。他の家でも同じだと思っていた。ところが調べてみるとそうでもないらしい。なぜだろうか。
納豆を常食する地域には偏りがあるといわれている。茨城県の水戸納豆、福島県の納豆が有名であるように、北関東から南東北に及ぶエリアでは納豆が常食されている。このことから、家族にこの県の出身者がいるかどうか、その家が普段納豆を食べているかが決め手の一つと考えられる。或いは、第二次世界大戦後の復興、1960年代以降の冷蔵輸送技術の普及、友人・知人・親戚の薦めがきっかけで食べるようになることも考えられる。
地域的な偏りや地域の食文化の結びつきを担っていた納豆は、戦後復興から高度成長を経て現在に至る社会の変化(都市への人口集中、核家族化、個人主義的生活様式の普及)において、以前とは全く異なった意味を持つ食品になった。つまり、納豆を常食していた人たちにとっては、そのにおい、質感、ネバネバ感は「当たり前のもの」であり、むしろ「納豆の美味しさや魅力」そのものであった。ところが、同居する祖父母や親から「健康にいいから一口でもいいから食べなさい」と言われた子どもたちにとっては(もちろん全てではなく一部かもしれないが)、納豆とは「我慢して食べるもの、苦手なもの、嫌いなもの」として受け止められるものであったに違いない。 とすると次なる課題は、納豆が嫌いな人に納豆を食べてもらうにはどうするか、納豆が苦手な人と納豆が好きな人が仲良く食卓を囲むにはどうすればよいのかである。具体的には、「におい、食感、ネバネバ感」という「嫌われる(可能性のある)要素」をいかに減らすか、である。
本来、何らかのにおいを伴うことの多い「食品」から、その本質的な要素である「におい」をできるだけ無くすことに知恵を絞る、ということである。臭いが気にならない食品こそが理想の食品である、という一種の矛盾ともいえるような発想は、これまで様々な食品に慣れ親しんできた私たちの食文化の歴史をその根底から突き崩しかねない。にもかかわらず、こうした「倒錯した考え」のもと、それぞれの家の食卓で、食品の「におい」を巡る闘いが日々繰り広げられている。
納豆を常食する地域には偏りがあるといわれている。茨城県の水戸納豆、福島県の納豆が有名であるように、北関東から南東北に及ぶエリアでは納豆が常食されている。このことから、家族にこの県の出身者がいるかどうか、その家が普段納豆を食べているかが決め手の一つと考えられる。或いは、第二次世界大戦後の復興、1960年代以降の冷蔵輸送技術の普及、友人・知人・親戚の薦めがきっかけで食べるようになることも考えられる。
地域的な偏りや地域の食文化の結びつきを担っていた納豆は、戦後復興から高度成長を経て現在に至る社会の変化(都市への人口集中、核家族化、個人主義的生活様式の普及)において、以前とは全く異なった意味を持つ食品になった。つまり、納豆を常食していた人たちにとっては、そのにおい、質感、ネバネバ感は「当たり前のもの」であり、むしろ「納豆の美味しさや魅力」そのものであった。ところが、同居する祖父母や親から「健康にいいから一口でもいいから食べなさい」と言われた子どもたちにとっては(もちろん全てではなく一部かもしれないが)、納豆とは「我慢して食べるもの、苦手なもの、嫌いなもの」として受け止められるものであったに違いない。 とすると次なる課題は、納豆が嫌いな人に納豆を食べてもらうにはどうするか、納豆が苦手な人と納豆が好きな人が仲良く食卓を囲むにはどうすればよいのかである。具体的には、「におい、食感、ネバネバ感」という「嫌われる(可能性のある)要素」をいかに減らすか、である。
本来、何らかのにおいを伴うことの多い「食品」から、その本質的な要素である「におい」をできるだけ無くすことに知恵を絞る、ということである。臭いが気にならない食品こそが理想の食品である、という一種の矛盾ともいえるような発想は、これまで様々な食品に慣れ親しんできた私たちの食文化の歴史をその根底から突き崩しかねない。にもかかわらず、こうした「倒錯した考え」のもと、それぞれの家の食卓で、食品の「におい」を巡る闘いが日々繰り広げられている。
カフェと「推し活」
私はカフェに行くことが好きで、頻繫に行きます。おいしいスイーツを食べながら友人と楽しく話をします。しかし、私がカフェに行く目的はそれだけではありません。「推し活」をしに行くのです。
皆さんは「推し活」という言葉をご存知ですか?人物やキャラクターなど好きな物、応援している対象のことを「推し」といい、カフェに推しのグッズを持参し料理や内装とともに写真を撮る行為を「推し活」といいます。最近、カフェで「推し活」をしている人を多く見かけます。実際に「推し活」をしたことのある人もいるのではないでしょうか。私自身カフェでアルバイトをしているのですが、来店されるお客様の多くが推し活をしに来店します。
カフェを利用する目的や空間に対する考え方は人によって違います。たんに食事をする場所として利用する人、空間に癒しを求める人なども多くいると思いますが、「推し活」の場としての利用も増加しています。このことの背景にはどのような要因があるのでしょうか?要因の一つは、推し活を理由に来店してもらうためにPRを行っている店があることです。それは、SNSに投稿するための「推し活」はSNSに参加する人たちへのお店の宣伝になるからです。もう一つは、SNSに推しのグッズの写真が投稿されると、推しのグッズを生産・販売している企業にとって、自身で広告宣伝費を払うことなく、その商品の宣伝ができることから、そうした企業が「推し活」を奨励したり支持したりするからです。最近は、カフェで推し活をしている投稿を頻繁に見かけます。こういった点がカフェでの推し活の普及に大きく影響しているのではないでしょうか?また、推し活に対しての考え方も日々変化しているように感じます。以前は推しがいる人、いわゆるオタクに対して世の中があまりいいイメージを持っていなかったように思います。しかし、近年ではオタクをターゲットにした商品が発売され、推し活が一種の社会現象となり、以前のようなイメージとは大きく変わっているようです。推し活が堂々とできる世の中になったということも大きな要因の一つではないかと私は考えています。
なぜカフェで推し活をする人が増えたのか、動機や目的を調査するととともに、推し活をする側の意見や考え方だけでなく、店側が推し活をPRする狙いや推し活に対する世の中のイメージの変化など調査と分析をし、まとめたいと思います。
皆さんは「推し活」という言葉をご存知ですか?人物やキャラクターなど好きな物、応援している対象のことを「推し」といい、カフェに推しのグッズを持参し料理や内装とともに写真を撮る行為を「推し活」といいます。最近、カフェで「推し活」をしている人を多く見かけます。実際に「推し活」をしたことのある人もいるのではないでしょうか。私自身カフェでアルバイトをしているのですが、来店されるお客様の多くが推し活をしに来店します。
カフェを利用する目的や空間に対する考え方は人によって違います。たんに食事をする場所として利用する人、空間に癒しを求める人なども多くいると思いますが、「推し活」の場としての利用も増加しています。このことの背景にはどのような要因があるのでしょうか?要因の一つは、推し活を理由に来店してもらうためにPRを行っている店があることです。それは、SNSに投稿するための「推し活」はSNSに参加する人たちへのお店の宣伝になるからです。もう一つは、SNSに推しのグッズの写真が投稿されると、推しのグッズを生産・販売している企業にとって、自身で広告宣伝費を払うことなく、その商品の宣伝ができることから、そうした企業が「推し活」を奨励したり支持したりするからです。最近は、カフェで推し活をしている投稿を頻繁に見かけます。こういった点がカフェでの推し活の普及に大きく影響しているのではないでしょうか?また、推し活に対しての考え方も日々変化しているように感じます。以前は推しがいる人、いわゆるオタクに対して世の中があまりいいイメージを持っていなかったように思います。しかし、近年ではオタクをターゲットにした商品が発売され、推し活が一種の社会現象となり、以前のようなイメージとは大きく変わっているようです。推し活が堂々とできる世の中になったということも大きな要因の一つではないかと私は考えています。
なぜカフェで推し活をする人が増えたのか、動機や目的を調査するととともに、推し活をする側の意見や考え方だけでなく、店側が推し活をPRする狙いや推し活に対する世の中のイメージの変化など調査と分析をし、まとめたいと思います。
なぜ人はコラボカフェに行くのか
みなさんはコラボカフェに行ったことがありますか? 私は好きなアニメやゲームのコラボカフェによく行きます。コラボカフェとは、アニメ、ゲーム、アイドル、「2.5次元」(アニメやゲームを舞台化したもの)などのコンテンツと飲食店とが連携して、作品やキャラクターをイメージしたメニューを提供するカフェのことです。私はグッズを購入するために利用することが多いのですが、その店で提供されているメニューを食すことを目的として利用する人もいます。このようにコラボカフェは飲食を目的にして利用する人もいれば、グッズ目当ての人もいます。
このことから、コラボカフェとはそれぞれに異なった利用目的をもった利用者が混在していることがわかります。このことはさらに一種の「イベント空間」や「祝祭的な空間」であり、いわば「非日常的な空間」として捉えることができます。それぞれの利用者は、こうした非日常性を楽しむために足を運んでいます。
一般的なカフェにもゆっくりと落ち着いてコーヒーを飲みながら休憩をしている人、スマホで友だちとやりとりをしている人、ノートPCで仕事や勉強をしている人など、様々な人がいます。しかし、そこにはあくまでも日常から一時的に隔離された「くつろぎの空間」や「社交や休息の空間」であるという一定の共通理解があるといえます。あわただしい日常から一時的に抜け出して待避するところ、あくまでも日常との連続であり、日常からの延長線上にあるものとしてあるのではないでしょうか。
それに比べて、コラボカフェは同じアニメやゲームに対する関心を共有するという熱気を帯びた「連帯感」というものが前提にあります。それだからこそ、お互いの興味や関心や利用目的に違いがあったとしてもそれはむしろ意外なこと、楽しいこと、面白いこととされ、自分の心をワクワクさせてくれる驚きとして経験されるものといえます。まさにこうしたワクワク感を感じさせてくれる、日常との明確な対比を楽しむための「非日常的な空間」であるといえるでしょう。
こうしたコラボカフェがもたらす空間や雰囲気について調査する予定です。前回の発表でコラボカフェについてはじめて知ったという声を多くいただきました。みなさんがコラボカフェについて興味関心をもち、コラボカフェに行くきっかけになれば嬉しいです。
このことから、コラボカフェとはそれぞれに異なった利用目的をもった利用者が混在していることがわかります。このことはさらに一種の「イベント空間」や「祝祭的な空間」であり、いわば「非日常的な空間」として捉えることができます。それぞれの利用者は、こうした非日常性を楽しむために足を運んでいます。
一般的なカフェにもゆっくりと落ち着いてコーヒーを飲みながら休憩をしている人、スマホで友だちとやりとりをしている人、ノートPCで仕事や勉強をしている人など、様々な人がいます。しかし、そこにはあくまでも日常から一時的に隔離された「くつろぎの空間」や「社交や休息の空間」であるという一定の共通理解があるといえます。あわただしい日常から一時的に抜け出して待避するところ、あくまでも日常との連続であり、日常からの延長線上にあるものとしてあるのではないでしょうか。
それに比べて、コラボカフェは同じアニメやゲームに対する関心を共有するという熱気を帯びた「連帯感」というものが前提にあります。それだからこそ、お互いの興味や関心や利用目的に違いがあったとしてもそれはむしろ意外なこと、楽しいこと、面白いこととされ、自分の心をワクワクさせてくれる驚きとして経験されるものといえます。まさにこうしたワクワク感を感じさせてくれる、日常との明確な対比を楽しむための「非日常的な空間」であるといえるでしょう。
こうしたコラボカフェがもたらす空間や雰囲気について調査する予定です。前回の発表でコラボカフェについてはじめて知ったという声を多くいただきました。みなさんがコラボカフェについて興味関心をもち、コラボカフェに行くきっかけになれば嬉しいです。
アパレル業界はなぜカフェ事業に進出するのか
みなさんはカフェ兼アパレル事業を行うお店を利用したことはありますか。カフェ兼アパレルと聞いてどのようなイメージを持ちますか。
近年、カフェ兼アパレル事業が増えていることの背景には、ネットでの売り上げが増加傾向にある反面、リアル店舗への来店者数が減少し、店舗での売り上げが減少していることがある。こうした現状を打開する方策のひとつがカフェ兼アパレルである。 アパレル事業がカフェ事業に進出するとき、じつは、メリットだけでなくデメリットもある。メリットとしては、アパレル事業単体の集客に加えて、カフェでの集客を期待できること。デメリットとしては、アパレル業界における知名度の差がそのままカフェの集客に反映されてしまうことである。
こうしたメリットとデメリットが伴うことを承知したうえで、実際にはどのようなかたちで出店すればよいのか(地域、規模、路面店かテナント店か、設備など)、どのように店舗運営をすればよいのか(従業員、メニュー、インテリア、など)を検討することになる。
そもそも、アパレル事業といっても、普及品から高級品まで価格帯や用途も多岐にわたる。もちろん、幅広い年齢層に人気のあるブランドから、若い女性、OL、シニアなど、性別、所得階層によっても様々なブランドがある。アパレル商品そのものの価格について、できるだけ安価なものを求める人たちにとっては、店舗での購入時にわざわざ隣接するカフェを利用することで出費を増やすことには消極的であろう。とすると、併設されたカフェを利用することで、買い物をより楽しいものにするという動機をもつ人たちは、高級ブランドに関心をもつ人たち、それらを愛用している人たちと考えられる。アルバイトの収入に頼る学生よりも年齢が高く安定した収入のある層(20代後半から30代、40代、50代の会社員)個人で会社やお店を経営している人、比較的裕福なシニア層が考えられる。そのうえで、そのブランドのイメージやそのブランドが提案するライフスタイル(スタイリッシュな都会風、のどかな田園風など)カフェのイメージがどのくらいマッチしているかということが、カフェ事業にとっては重要になる。
この仮説にもとづき、都内の店舗をいくつかのカテゴリーに分類し、それぞれのカテゴリーに属する店舗を訪ね、それぞれの認知度やイメージや空間づくりなどについて、どのような特徴があるのか、その実態を明らかにし、カフェ兼アパレルの可能性について考える。
近年、カフェ兼アパレル事業が増えていることの背景には、ネットでの売り上げが増加傾向にある反面、リアル店舗への来店者数が減少し、店舗での売り上げが減少していることがある。こうした現状を打開する方策のひとつがカフェ兼アパレルである。 アパレル事業がカフェ事業に進出するとき、じつは、メリットだけでなくデメリットもある。メリットとしては、アパレル事業単体の集客に加えて、カフェでの集客を期待できること。デメリットとしては、アパレル業界における知名度の差がそのままカフェの集客に反映されてしまうことである。
こうしたメリットとデメリットが伴うことを承知したうえで、実際にはどのようなかたちで出店すればよいのか(地域、規模、路面店かテナント店か、設備など)、どのように店舗運営をすればよいのか(従業員、メニュー、インテリア、など)を検討することになる。
そもそも、アパレル事業といっても、普及品から高級品まで価格帯や用途も多岐にわたる。もちろん、幅広い年齢層に人気のあるブランドから、若い女性、OL、シニアなど、性別、所得階層によっても様々なブランドがある。アパレル商品そのものの価格について、できるだけ安価なものを求める人たちにとっては、店舗での購入時にわざわざ隣接するカフェを利用することで出費を増やすことには消極的であろう。とすると、併設されたカフェを利用することで、買い物をより楽しいものにするという動機をもつ人たちは、高級ブランドに関心をもつ人たち、それらを愛用している人たちと考えられる。アルバイトの収入に頼る学生よりも年齢が高く安定した収入のある層(20代後半から30代、40代、50代の会社員)個人で会社やお店を経営している人、比較的裕福なシニア層が考えられる。そのうえで、そのブランドのイメージやそのブランドが提案するライフスタイル(スタイリッシュな都会風、のどかな田園風など)カフェのイメージがどのくらいマッチしているかということが、カフェ事業にとっては重要になる。
この仮説にもとづき、都内の店舗をいくつかのカテゴリーに分類し、それぞれのカテゴリーに属する店舗を訪ね、それぞれの認知度やイメージや空間づくりなどについて、どのような特徴があるのか、その実態を明らかにし、カフェ兼アパレルの可能性について考える。
購買心理とSNSを活用した広告の相互作用
私はクリームシチューのプロデュースに取り組んでいます。プロデュースの対象のクリームシチューに注目した理由としては、自分自身の大好きな料理をもっと盛り上げたいと考えたからです。また、食べ方や固定概念を崩していけるような新感覚な商品を作り出したいと考えました。
クリームシチューに関連するユニークなコンセプトの商品を作り出し、撮影し、 SNSを利用したマーケティングを展開します。最終的に実際に出店して販売を行います。
そのためにまず、魅力的なクリームシチューやそのイメージの市場調査を行い、試作を繰り返し、商品開発を行います。その際にはプロデュースすることのきっかけとなった固定概念を崩したいという想いを詰め込みました。世の中に溢れる既存の売れる商品ではなく、新しい発想に基づいた売りたい商品を作ることを基本とします。また、消費者の購買行動と購買時に左右する要素に関する研究を文献調査します。
そして、そこでの学びを生かして、 SNSを使用した話題性のある広告活動を行います。成功した広告やバズマーケティングの事例を分析し、その要素や手法を抽出します。(バズマーケティングとは人為的にクチコミを発生させて商品やサービスの特徴や感想などを周りに広めていくマーケティング手法のこと。)広告代理店で活躍されている方に取材をさせていただくことができたので、その際に教えていただいたことも活用していす。 さらに、商品撮影時の方法に関しても現在活躍なさっているプロの方からのアドバイスをいただきました。シズル感などの撮影技法も活用しています。
実際にシェアキッチンを借りることで商品販売を行い、来場された方にアンケートや評価をしていただきます。そして、そこからさらに改善を目指していきたいと考えています。
クリームシチューに関連するユニークなコンセプトの商品を作り出し、撮影し、 SNSを利用したマーケティングを展開します。最終的に実際に出店して販売を行います。
そのためにまず、魅力的なクリームシチューやそのイメージの市場調査を行い、試作を繰り返し、商品開発を行います。その際にはプロデュースすることのきっかけとなった固定概念を崩したいという想いを詰め込みました。世の中に溢れる既存の売れる商品ではなく、新しい発想に基づいた売りたい商品を作ることを基本とします。また、消費者の購買行動と購買時に左右する要素に関する研究を文献調査します。
そして、そこでの学びを生かして、 SNSを使用した話題性のある広告活動を行います。成功した広告やバズマーケティングの事例を分析し、その要素や手法を抽出します。(バズマーケティングとは人為的にクチコミを発生させて商品やサービスの特徴や感想などを周りに広めていくマーケティング手法のこと。)広告代理店で活躍されている方に取材をさせていただくことができたので、その際に教えていただいたことも活用していす。 さらに、商品撮影時の方法に関しても現在活躍なさっているプロの方からのアドバイスをいただきました。シズル感などの撮影技法も活用しています。
実際にシェアキッチンを借りることで商品販売を行い、来場された方にアンケートや評価をしていただきます。そして、そこからさらに改善を目指していきたいと考えています。
アフタヌーンティーを楽しみたい!
皆さんは、アフタヌーンティーは好きですか?
私は以前からアフタヌーンティーが好きで、いろいろなお店を巡るうちになぜ好きなの かと疑問に思うようになりました。アフタヌーンティーは見た目が華やかで上品であるだ けでなく、ふだんとは違う「わくわく感」や「非日常的な空間」を感じるようになりました。ひとことで言えば「居心地」です。そのことをきっかけに、アフタヌーンティーの食空間について考えるようになりました。アフタヌーンティーとは、飲食を楽しむのはもちろんですが、飲食そのものだけでなく食事の空間を楽しむものではないかと考えます。
アフタヌーンティーを楽しむとはどういうことか。その楽しみとは飲食を楽しむだけでなくその空間をも楽しむことであるとするならば、それはいったいどういうことなのだろうか。
前回の発表では、アフタヌーンティーの基本的な構成や歴史などの文献調査を踏まえ、アフタヌーンティーを提供する食空間について大きくタイプ別に分類し、価格や年齢層、利用シーンや服装といった特徴を調査しました。そこでは、ホテルでのアフタヌーンティーの空間では、居心地や高級感、贅沢感を感じ、カフェ、レストラン、喫茶でのアフタヌーンティーでの空間では、ワクワク感、華やかさをとくに重視した食空間であることに気がつきました。このことから、アフタヌーンティーとは、あらかじめ特定の食空間が想定されているのではなく、それぞれの場所や空間によってそれぞれの楽しみ方や関わり方があることがわかりました。
今回の発表では、前回の発表を踏まえて、さらに様々な種類や形態のアフタヌーンティーについて現地調査を行い、それぞれの食空間について比較します。アフタヌーンティーを楽しむために、用途に合ったお店や空間により違った楽しみ方があることを伝えられればと願っています。
私は以前からアフタヌーンティーが好きで、いろいろなお店を巡るうちになぜ好きなの かと疑問に思うようになりました。アフタヌーンティーは見た目が華やかで上品であるだ けでなく、ふだんとは違う「わくわく感」や「非日常的な空間」を感じるようになりました。ひとことで言えば「居心地」です。そのことをきっかけに、アフタヌーンティーの食空間について考えるようになりました。アフタヌーンティーとは、飲食を楽しむのはもちろんですが、飲食そのものだけでなく食事の空間を楽しむものではないかと考えます。
アフタヌーンティーを楽しむとはどういうことか。その楽しみとは飲食を楽しむだけでなくその空間をも楽しむことであるとするならば、それはいったいどういうことなのだろうか。
前回の発表では、アフタヌーンティーの基本的な構成や歴史などの文献調査を踏まえ、アフタヌーンティーを提供する食空間について大きくタイプ別に分類し、価格や年齢層、利用シーンや服装といった特徴を調査しました。そこでは、ホテルでのアフタヌーンティーの空間では、居心地や高級感、贅沢感を感じ、カフェ、レストラン、喫茶でのアフタヌーンティーでの空間では、ワクワク感、華やかさをとくに重視した食空間であることに気がつきました。このことから、アフタヌーンティーとは、あらかじめ特定の食空間が想定されているのではなく、それぞれの場所や空間によってそれぞれの楽しみ方や関わり方があることがわかりました。
今回の発表では、前回の発表を踏まえて、さらに様々な種類や形態のアフタヌーンティーについて現地調査を行い、それぞれの食空間について比較します。アフタヌーンティーを楽しむために、用途に合ったお店や空間により違った楽しみ方があることを伝えられればと願っています。
飲食店に入るときの心理的・社会的バリアとは
外食を楽しむために
皆さんは外食するとき、そのお店にいるお客さんたちから好奇の目や怪訝そうな顔を向けられることはありませんか。例えば「大盛りが売りのラーメン屋さんでひとり麺をすする女子大生」や「パンケーキ屋さんでSNS映えする写真を何枚も撮る中年男性」。これら2つのシーンから何か違和感を覚えることはありませんか。もし違和感を覚えたとすれば、その違和感の原因はいったい何でしょうか。ひとりでは外食できない。この飲食店には入りにくい。外食する際のお店選びをするとき、その選択肢を狭めている様々な要因があるに違いありません。あなたはこのことに気づいていますか。 私自身はこれまで、どんなお店でも一人でも複数人でも抵抗なく入ることができていたので、特定のお店や一人でお店に入ることには抵抗があると話す友人の話を聞いて、意外に思いました。いったい何がそうさせているのか。このことが気になり、その原因を探ることにしました。 違和感の具体例として、まず一つに年齢とジェンダーがあげられると思います。自分と違った年齢層の人や性別の異なる人が多く利用されているお店では場違いな感覚を感じざるを得ません。また、常連客ばかりのこぢんまりとした居酒屋などでは店員とその常連客とで会話が盛り上がっていて、注文のチャンスを伺いながらもなかなか料理を頼むことができず、どこか肩身の狭い思いをしたことのある方もいると思います。「一見さんお断り」とまではいかなくても、お店の佇まいから入りにくいと感じるお店もあるはずです。ここまで挙げたものは主として、お店、客層、利用客の属性にかかわるバリアの例ですが、ほかにも、店内の雰囲気やお店の決まりやルールなどの社会的なバリアがあって入ることができない場合もあります。例えば勉強する学生が多くいるカフェに入り、その隣で友人と和気あいあいと会話に花を咲かすことは気が引けると感じる方も多いと思います。落ち着いた感じのレストランに幼い子供を連れていくことに抵抗のある方や、タッチパネル注文やキャッシュレス決済しかできないお店に対してハードルが高いと感じ諦めてしまうご高齢の方もいらっしゃいます。 このように私たちが飲食店に入る際のバリアの要因を追究し、潜在意識に囚われることなく、より選択肢を広げて外食を楽しめる人が増えるために、飲食店のあり方、私たちの潜在意識を払拭するための方法を検討し、多くの人が心地よく過ごすことのできる食空間とはいったい何なのかを考察します。
恋愛における食の役割
なぜ人は食事デートをするのか
いまあなたは恋をしていますか。〈恋愛〉という物語は、お互いが気づかないうちに唐突に始まることもあるが、たいていは意中の相手をデートに誘うところから始まる。どういうふうに誘いの連絡をするか。どこで待ち合わせをするか。どこに行くか。そして何よりも、どこで食事をするか、ということが最大の懸案事項である。
もちろん、いっしょに食事をすれば、相手をより深く知ることができ、親しくなれる。このことはこれまでの人生経験から「お付き合い」の要諦としてわきまえているはずだ。
問題は、にもかかわらず、いざ自分が実際にこのことを実行しようとすると、果たして計画通りに事が進むのか、不安に駆られるということである。
こうした不安を感じるのはなぜだろうか。先輩や友人に相談するという方法や、ネットで「お薦め」や「定番」のデートスポットを検索するという方法もあるが、自分たちのケースにぴったりあてはまるものが見つかるとは限らない。
それはおそらく、お互いが「恋愛」という物語(情熱的な愛情によって相手をかけがえのない存在として生涯にわたって愛するという物語。〈ロマンチック・ラブ〉といわれる恋愛感情をテーマにしたラブ・ストーリー)にもとづいて、お互いの関係を深めようと考えるからではないだろうか。すなわち、自分が相手の求める理想の人物(恋人)であることをわかってほしいと願う。自分は相手にとって「かわいい人」「素敵な人」「至高の愛情をもつ人」「運命の糸で結ばれている人」であるはずだと。しかし、現実には、こうした〈理想〉を求める物語をもとに、相手の求める「理想の人物」を演じることにはどうしても無理が伴う。相手の期待を裏切るようなアクシデント(偶発的な失敗)が起きたとしても、それはむしろ当然のことなのである。
デートにおける食事とは、こうした理想と現実とのギャップが期せずして露呈してしまう出来事である。「食べ方が素敵だ」と相手への恋愛感情が深まることもあれば、「箸の持ち方がぎこちない」と相手への恋愛感情が冷めることもある。
共に食事をすることは社会的なつながりを確認し、より強固にするといわれる。しかし、「恋愛関係」における食事はそう単純ではない。良好な関係づくりに寄与するとは限らない〈危うさ〉を秘めている。食事デートとはいったいどのような仕組みで成り立っているのか。心理学や社会学の観点から考察する。
もちろん、いっしょに食事をすれば、相手をより深く知ることができ、親しくなれる。このことはこれまでの人生経験から「お付き合い」の要諦としてわきまえているはずだ。
問題は、にもかかわらず、いざ自分が実際にこのことを実行しようとすると、果たして計画通りに事が進むのか、不安に駆られるということである。
こうした不安を感じるのはなぜだろうか。先輩や友人に相談するという方法や、ネットで「お薦め」や「定番」のデートスポットを検索するという方法もあるが、自分たちのケースにぴったりあてはまるものが見つかるとは限らない。
それはおそらく、お互いが「恋愛」という物語(情熱的な愛情によって相手をかけがえのない存在として生涯にわたって愛するという物語。〈ロマンチック・ラブ〉といわれる恋愛感情をテーマにしたラブ・ストーリー)にもとづいて、お互いの関係を深めようと考えるからではないだろうか。すなわち、自分が相手の求める理想の人物(恋人)であることをわかってほしいと願う。自分は相手にとって「かわいい人」「素敵な人」「至高の愛情をもつ人」「運命の糸で結ばれている人」であるはずだと。しかし、現実には、こうした〈理想〉を求める物語をもとに、相手の求める「理想の人物」を演じることにはどうしても無理が伴う。相手の期待を裏切るようなアクシデント(偶発的な失敗)が起きたとしても、それはむしろ当然のことなのである。
デートにおける食事とは、こうした理想と現実とのギャップが期せずして露呈してしまう出来事である。「食べ方が素敵だ」と相手への恋愛感情が深まることもあれば、「箸の持ち方がぎこちない」と相手への恋愛感情が冷めることもある。
共に食事をすることは社会的なつながりを確認し、より強固にするといわれる。しかし、「恋愛関係」における食事はそう単純ではない。良好な関係づくりに寄与するとは限らない〈危うさ〉を秘めている。食事デートとはいったいどのような仕組みで成り立っているのか。心理学や社会学の観点から考察する。
カフェ空間の変容
「社交の空間」から「多様性の空間」へ
私はカフェのイメージを聞かれると、お洒落でインスタ映えのするお店と、コーヒーを飲みながらゆったりとくつろげる空間の場を想像する。前者のカフェは、趣味の合う友達、いわゆる「ヲタ友」と行き、スイーツの隣にグッズを置いて、写真を撮ることを目的として利用する。後者のカフェは、母との外出時に休憩をとるために、行き当たりばったりで行くことが多い。こうした、身近な経験を振り返ると、なぜカフェは他の飲食店と異なり利用目的が多様なのか、年齢層によってカフェのイメージが異なるのか、不思議に思うようになった。 カフェの多様性とはいったい何か。なぜそのようになったのか。このことについて考察する。
カフェは明治期の日本において、上流階級に限られてはいたが、作家や画家などの芸術家、いわゆる文化人が集まるサロンであった。カフェは最初から、多くの人たちに「開かれた社交空間」としてスタートしたのである。その開放性は、20世紀末まで男性に限定されていた。もちろん、女性が利用することもあったが、大抵は男性が女性を誘うか、男性を伴うかという条件付きであった。ところが、女性の雇用機会の増加という大きな社会変化が生まれ、その影響を受けるかたちで、スターバックスが日本に上陸したことをきっかけに、カフェという空間は「女性を主役とする空間」に変わった。つまり「談話や社交の空間」から「おしゃれな空間」「おしゃれであることを互いに見せ合う空間」へ変わっていったのだ。さらに近年では、インターネットやスマートフォンの普及、SNS利用の拡大とともに生まれた「幅広い年齢層の人がその多様性を許容する空間」へと変化している。例えば、おしゃべり、ノートパソコンやタブレットを用いた勉強や仕事、読書、イヤフォンによる音楽鑑賞、SNS上のやりとり、映える写真を撮る行為などがあげられる。
発表では、こうした「カフェ空間」の変容を、テレビドラマに登場するカフェ・喫茶シーンの分析や様々な年齢層のカフェ利用者へのインタビューなどによって、明らかにする。
カフェは明治期の日本において、上流階級に限られてはいたが、作家や画家などの芸術家、いわゆる文化人が集まるサロンであった。カフェは最初から、多くの人たちに「開かれた社交空間」としてスタートしたのである。その開放性は、20世紀末まで男性に限定されていた。もちろん、女性が利用することもあったが、大抵は男性が女性を誘うか、男性を伴うかという条件付きであった。ところが、女性の雇用機会の増加という大きな社会変化が生まれ、その影響を受けるかたちで、スターバックスが日本に上陸したことをきっかけに、カフェという空間は「女性を主役とする空間」に変わった。つまり「談話や社交の空間」から「おしゃれな空間」「おしゃれであることを互いに見せ合う空間」へ変わっていったのだ。さらに近年では、インターネットやスマートフォンの普及、SNS利用の拡大とともに生まれた「幅広い年齢層の人がその多様性を許容する空間」へと変化している。例えば、おしゃべり、ノートパソコンやタブレットを用いた勉強や仕事、読書、イヤフォンによる音楽鑑賞、SNS上のやりとり、映える写真を撮る行為などがあげられる。
発表では、こうした「カフェ空間」の変容を、テレビドラマに登場するカフェ・喫茶シーンの分析や様々な年齢層のカフェ利用者へのインタビューなどによって、明らかにする。
カフェに行く理由
コーヒーは苦手だけどカフェに行きたい!
私はコーヒーが苦手な人はなぜカフェに行くのか、ということを中心にし、カフェのあり方や最近の楽しめるコンセプトカフェを調べてテーマにしようと思います。私はコーヒーが苦手で飲めません。しかし、カフェや喫茶店の空間が好きでよく利用します。私のようなコーヒー嫌いもカフェを利用する理由を考えます。目的は、カフェはコーヒーが苦手な人も通っていることからどういう理由で通うのかを調べ、カフェに求めるもの、楽しみ方、新しいカフェの形など、どのような要因でカフェという空間が構成されているのか、カフェのあり方について考えることです。私の周りでも、コーヒーは好んで飲まないけどお茶するのは好きという人や、写真が取れればいい人、とりあえず休憩したいという目的で行く人など、様々な利用目的がありました。カフェの利用目的はコーヒーだけではないと考え、カフェ空間や、そのお店ならではの食べ物を調べてカフェの利用心理をまとめたいと思います。今の時代、ファッションフードなど味だけでなく写真映えする空間やフードがないとなかなかSNSで話題に上がりづらい時代です。そこで話題にあがるカフェは一体どのような工夫がなされているのか気になりますよね。人気のカフェや行ってみたいと思うカフェの特徴をまと現代におけるカフェの形をまとめたいと思います。また、喫茶店やカフェを選ぶ際、重視するものは何か調査を行い、目的によって変化しているのかを調べます。様々なカフェの形ということで、文房具カフェや足湯カフェなどのコンセプトカフェに行き、調査しようと思います。
カフェのあり方やカフェの何に対してお金を払っているのかが分かってくるのではないかと思います。
カフェのあり方やカフェの何に対してお金を払っているのかが分かってくるのではないかと思います。