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家庭から排出される容器・包装ごみの現状と問題点について取り組みました。
実習に取り組むきっかけとなったのは、毎日の家事の中でテイクアウトの惣菜料理に使われる「容器・包装」の多さが気に掛かっていたこと、普段の生活で何気なく飲んでいる「ペットボトル」の多さが気になっていたことからです。そこから飲食料品から排出される「容器・包装ごみ」を実習のキーワードに決定しました。
容器包装ごみとは?財団法人日本容器包装リサイクル協会『容器包装リサイクル法パンフレット』から、容器とは、物を入れる器、包装とは、物を包むことができるものという定義を参考にしました。
本実習は、 1.文献調査・実態調査、2.埼玉県騎西町での体験学習、 3.ごみ問題についての啓蒙活動とその効果把握のための実証研究の流れで行いました。
文献調査・実態調査は、以下の通りです。
実態調査でわかったことは、
1)ごみ問題で行動に結びつける効果の報告が少ない。
2)日本のごみ政策はリサイクル社会構築を目指す。
3)ごみになっていたものの中から、資源に変えるために生活者への分別徹底を行って欲しいということでした。
文献調査でわかったことは、
1)プラスチック容器シェアが増大している。
2)ごみ問題で行動に結びつける効果の報告が少ないということでした。
これは、埼玉県の一般廃棄物の年間総排出量と1人1日当たり排出量の推移をあらわした図です。一般廃棄物は、一部事業活動に伴うごみやし尿なども含まれているが、1999年(平成11年)一般廃棄物の総排出量は約249万トンが排出されています。1人1日当たり排出量は、約984グラムと前年より8グラム増加しました。1985年から1999年までのおよそ15年間で約1.3倍に増えている状況です。
このうち容器・包装廃棄物が占める割合は、図に示すように容積比で約6割、重量比で2割〜3割に達しています。
そのようなことから、容器・包装廃棄物への対策が急務となり、家庭ごみとして焼却や埋立てされていたごみを少しでも資源にリサイクルしようという動きから正式名称を「容器包装に係わる分別収集及び再商品化の促進等に関する法律」以後(「容器包装リサイクル法」と略します)が1995年(平成7年)に容器包装リサイクル法が公布されました。分別収集の対象となる容器・包装は、ガラス製容器、PETボトル、紙製容器包装、プラスチック製容器包装、発泡スチロールトレイと飲食料品とは切り離せないものとなっています。
3Rの考え方とは?家庭から排出されるごみを減らすための優先順位をあらわしたものです。 ごみ減量で最も最優先すべきなのは、STEP 1のReduceといわれています。ごみになるものを買わないことです。次にSTEP
2のReuseで、再利用するです。再使用できる容器は、リターナブルびんといわれているビールびんや一升びんの容器が有名です。何度も再使用することでごみの減量に貢献できます。買い物の際は、使い捨て容器や包装かどうか考えて購入することが求められています。最後に、 STEP
3のRecycleです。
Recycleは、捨てられたごみは、焼却されるよりも資源として再生利用することで、ごみ減量に貢献しようとするものです。リサイクルの言葉に安心して使い捨てを繰り返しては根本的なごみの解決にはならないことを生活者として自覚していきたいものです。
埼玉県騎西町での体験学習内容です。これらの写真は、パッカー車でペットボトルを収集する現場やそれらを中間処理する施設の現場、最終処分場の現場写真です。
埼玉県騎西町は、「環境の町宣言」を行い、町の内外に環境の町きさいをアピールし、様々な環境にやさしい取り組みを進めています。
体験学習でわかってきたことは、以下の通りでした。
それらの問題点から、ごみ問題の啓蒙活動効果を把握するための実証研究を行いたいと考えました。先行研究は皆無にちかい現状でした。
調査目的は、2つに絞り、
1.容器・包装ごみについての「知識」「意識態度」「行動」の改革に対し、
@リーフレット配布とその説明
A夕食から出る容器包装ごみをノート記入する2つの効果の定量化を行うとしました。
2. 容器・包装ごみの排出実態を把握し、基礎資料とするとしました。
調査方法は、留め置き法による自記式質問紙調査による2要因2水準のL4直交実験計画による実験的調査を行いました。調査対象グループは、本学実践栄養学専攻の1年生、A,B,C,Dクラスの名簿順に@要因なし、A両方あり、Bノートなし、リーフレットあり、Cノートあり、リーフレットなしの4パターンにしました。調査は平成14年10月25日~平成14年11月18日まで行いました。
調査項目は、行動実態、意識態度、基礎知識理解度への効果について行いました。
調査票の配布と回収は、事前調査は以下の通りです。
事後調査は以下の通りです。
解析方法は、事前調査(Pre-Test)と事後調査(Post-Test)両方のデータを用いて共分散分析を行いました。
日常行動の分析では、問
1-26 積極的にフリーマーケットを利用するという設問で5%の優位差が見られました。この図は、(5:非常に当てはまる、4:やや当てはまる、3:どちらともいえない、2:あまり当てはまらない、1:全く当てはまらない)から一つ選択してもらった結果を、事前調査(Pre-Test)での同一設問の回答を共変量として、平均の差を調節した図です。共分散分析を行ったところ、次のような結果が見られました。
交互作用があるということは,Aの水準ごとにBの効果が異なる,またはBの水準ごとにAの効果が異なることを表し,A,Bそれぞれの効果が一様でないことを示します.つまりこの調査結果では、問1-26リーフレットを見せない条件でのノート記入を行なわせると「フリーマーケットマを利用する」と答えるが、リーフレットを見せた条件では、特別「フリーマーケットを利用する」とは言わないということが示唆されました。
意識態度の分析では、問 2_25 私はごみを沢山出していると思うという設問で5%の優位差が見られました。この図は、(5:非常にそう思う、4:ややそう思う、3:どちらともいえない、2:あまりそう思わない、1:全くそう思わない)から一つ選択してもらった結果、事前調査(Pre-Test)での同一設問の回答を共変量として、平均の差を調節したものです。共分散分析を行ったところ、次のような結果が見られました。
問2-25リーフレットを見せない条件でのノート記入を行なわせると「私はごみを沢山出していると思う。」と答えるが、リーフレットを見せた条件では、特別「私はごみを沢山出していると思う。」とは言わないということが示唆されている。
基礎知識理解度の分析では、問 2_25 私はごみを沢山出していると思うという設問で5%の優位差が見られました。事前調査(Pre-Test)での同一設問の回答を共変量として、平均の差を調節したものです。共分散分析を行ったところ、次のような結果が見られました。
問3-06 セブンイレブンのレジ袋は、PETと表示されているに5%の優位差が見られました。正解は、セブンイレブンのレジ袋は、PETと表示されているです。ノートをつけると正解することがわかりました。
その他、行動実態に関する設問で5%確率の有意差があった設問は以下の通りです。
その他、意識態度に関する設問で5%確率の有意差があった設問は以下の通りです。
その他、基礎知識理解度に関する設問で5%確率の有意差があった設問は以下の通りです。
分析結果のまとめは、
1.態度や行動を変えるにはノート記入で特に効果があった。
2.知識にもノート記入を行った群に効果が見られた。
(但し、正答方向だけではない)。
3.知識の変容にはリーフレットの効果は得られなかったことがわかりました。
これらのことから、リーフレットは全ての設問の正解不正解に効果が無いということが示唆されました。
実際にノート記入を行なわせると、ごみ問題を現実的に受け止めるのに重要と考えられる設問に効果があることがわかりました。
意識を高められても、便利で快適な生活から手間を惜しまない行動にまで変容させる効果はすぐには得られないことがわかりました。しかし、リーフレットのように読むだけで何ら自身に関係なければ、関心を持ってもらうこともできないため、
主体的な体験をしてもらうことで、関心を持つ一つのきっけとなっていると思われました。
体験学習をさせて頂いた若山運送加須クリーンの皆様との記念写真です。貴重な体験をさせて頂きまして心から感謝を申し上げます。
実習を行うにあたり、大変多くの方々にお世話になりました。この場をお借り致しまして厚くお礼を申し上げます。