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背景と目的
いつの時代も、子供を持つ親の悩みに「好き嫌い」はあがってきます。
 しかし、最近の育児本や育児雑誌には、「好き嫌いは心配ない」 「好き嫌いも個性」
などの記事が多くありました。
多少の好き嫌いは栄養上問題ないのですが、だからといって
悩んでいるのに、対処法が載ってなくて不安にならないのか?
「心配ない」、「個性」ということで納得できるのか?疑問を感じました。
そこで
では、調査内容を説明します。
1、幼児の食べ物の好き嫌いの実態調査
  * 「好きな食べ物」「嫌いな食べ物」の具体的な食材名。嫌いな食べ物の数。
  * 「嫌いだ」と考える行動、ここでは、
    「子どもが自分で口に入れない」
    「自分で口に入れるが飲み込まない」
    「自分で口にいれ飲み込むが少ししか食べない」
    の3つの段階に分けて調査しました。
 また、「嫌わずに食べる」と考えられる調理の状態は、
「普通に料理に入った状態で食べる」たとえばにんじんであれば、煮物やグラッセ、
「細かくした状態ならば食べる」 たとえば ピラフやサラダ  
「すりおろすなど姿が見えなくなった状態であれば食べる」 たとえば ケーキやジュースなど の3階で調査しました。
2、好き嫌いについて、保護者の意識
    *  嫌いなものを食べさせるための工夫について調査しました。
3、情報(肯定論・否定論)が保護者の意識に与える影響の把握 
   ここでは、好き嫌いに対して「直さなくてよい」 という肯定意見、 「直すべきだ」 という否定意見が、
   それぞれ保護者の意識に、どう影響を与えているかを調査しました。
   
次に、調査方法を説明します。
  調査方法は
実験的調査を、留置き法による 自記式 質問紙 調査 で実施しました。
2要因各 2水準の L4 直交実験計画を 被験者間 割付(わりつけ)
で行いました。
情報の提示では
 「栄養上 問題のない好き嫌い」について
  『直さなくてよい』 という、好き嫌い肯定意見を実験要因1 とし、 
  『直すべき』という、好き嫌い否定意見を実験要因2
の2種類の情報を用意しました。
 そして@情報なし A肯定意見のみ  B否定意見のみ  C肯定・否定2つの意見 
 の4パターンに分けて、それぞれの質問表に添え、質問表に記入する前に読むようにして、調査を行いました。
2要因(要因が2つ)2水準(ある・ないの2パターン)L4(サンプルが4つ)直交(効果を独立させる、相関が0 交わらない)
次に調査対象者では、
抽出方法は、集落抽出法を用いました。
そして調査対象者は 埼玉県坂戸市立の保育園3〜5歳園児の保護者
184名 (主に子供の食事作りをしている人)で行いました。
下の表は回収結果です。
情報なし  肯定意見のみ  否定意見のみ  肯定・否定両方の意見をかく63名ずつに配布しました。
回収数は上から47人、48人、47人、42人で合計184名。
回収率は  74.6% 76.2% 74.2% 66.7%  合計では73.0%でした。
これは
クラス別、性別、に分けた数と
クラス別の身長・体重の平均です。
平均については小数第2位を四捨五入してあります。
調査の中で『一番回答率が高かった項目は、何だと思いますか?』
それは、出生体重なんです。100%近い回答率が得られました。
平均は、2992.0gでした。
調査票を見ていて 保護者の愛情を感じました。
また、主に子供の食事を作っている人は90.8%が母親。
次いで祖母が5.4%、父が2.2%でした。
では、調査結果の報告にうつります。
1.好き嫌いの実態
はじめに好き嫌いの有無では、
好き嫌いがあると答えた人は77.2%、ないと答えた人は22.8%でした
嫌いな食べ物の数   
         平均 3.1
嫌いな食べ物がある人だけの嫌いな数は
            平均 3.7個でした。
しかし、「嫌いな食べ物がない」 と、答えている人でも、1つ2つ程度答えることがありましたので、
平均 0.9個 嫌いな食べ物があると答えています。
では、具体的な食べ物の話に移ります。
調査では、「好きな食材」「嫌いな食材」をそれぞれ一人5個まで答えていただき、その数を、単純に集計しました。
まず、好きな食べ物トップ10です。
1位  「きゅうり」で 44人でした。
 2位 肉     40人     3位  ト   35人      4位 魚      32人        5位 た ご     30人
6位   納豆 29人       7位   果物    23人    8位  ブロッコリー    19人     8位  マグロ  19人
10位 りんご     18人    10位 白米   18人
という結果でした。 
また、調査では、具体的な食材名を答えていただいたのですが、食品群での回答が多くあったので、頻度が高いものをまとめると
野菜 236   肉類 86  魚貝類 73  果物  119  生もの 26
となりました。食品群で答えているものを、「1」 具体的な食材名1個ずつを 「1」と集計したため、このような数字となっています。
きゅうりが1位という結果としては、保育園では、きゅうりやトマトが、よく出るということや、
また、きゅうりやブロッコリーは、マヨネーズをつけて食べるのが好きと答えている人が多くいることから、
とも考えられます。
次に嫌いな食べ物のトップ10です。
1位は ピーマンで  60人でした。3人のうち1人はピーマンが嫌いと答えていることになります。
! そして
2位  リ    31人   3位   ね ぎ     29人   4位   な す     24人   5位  ト     21人
6位 キャベツ   15人    6位 しいたけ   15人    8位   肉      14人   9位  き こ   13人
10位 にんじん  11人   という結果でした
好きなもの同様、頻度が高いものをまとめると
野菜全部だと  289   きのこ類全部だと  30
少数ですが
魚介類全体だと  28   果物全体だと   14
結果2、 子供の好き嫌いに対する保護者の意識
はじめに、これは子供の好き嫌いを判断する基準を
段階にして調査したものです。
料理に入っている状態で、その食材が嫌いだといえる段階では、
自分で口に入れない   47.8%   
自分で口に入れ、飲み込むが少ししか食べない   32.1%    
自分で口に入れるが飲み込まない  11.4%
つぎに、調理の状態で、嫌わずに食べるといえる段階ですが
普通に料理に入った状態  44.6%
細かくした状態    34.8%
すりおろすなど姿が見えなくなった状態   10.9%
でした。
「嫌いな食べ物を食べさせるために何かしますか」
と、いう質問に70.1%人が何かをすると答えました。
では、約70%の人が
この表は「嫌いなものを食べさせるために、何かをする」と答えた人129名の、
食べさせるためにする具体的な内容です。
当てはまるものすべてを答えてもらいました。
強制的に食べさせるのではなく、子供が自発的に食べるよう、
「ほめる」「調理に工夫する」「食べてみせる」と答えた人が多くいました
また、何もしないと答えた人の理由はスライドの通りです。
好き嫌い肯定意見、好き嫌い否定意見 を提示すると、保護者の意識に影響が見られるかを、
「嫌いな食べ物を食べない」ということをどう思うかという項目で調査しました。
分析
「情報なし」 「肯定のみ」 「否定のみ」 「両方」の
4つのグループのデータを使い、 「肯定」 「否定」
それぞれの効果を分離して、統計的な差があると言えるか、
分散分析で検定しました。
この表は4つのグループの平均値を表したものです。
非常にそう思う、かなりそう思う、どちらともいえない、あまりそう思わない、
まったく思わない、の5段階で調査したので、「非常にそう思う」を5としています。
次のグラフは「肯定意見」あり・なし 「否定意見」あり・なし 「交互作用」あり・なし
の、変化のグラフです。交互作用は「否定・肯定が両方ありか、なし」を指します。
変化の範囲すなわち、青のマークの範囲に0が含まれていなければ、有意差ありとなります。
「否定意見」のキーワードであっても、
 「肯定意見」をあたえた人に変化があった。
「栄養上問題なければ対処の必要はない」では、
 提示による効果は見られないが、
 「健康上問題がある」では、「肯定意見」の優位があった。
また、「心配である」「好き嫌いを直したい」「何でも食べられる子になってほしい」などは、提示の効果は全くなく、 「行動の自由を制限する」「経済的に問題がある」などは、「否定意見」の優位傾向が見られた。
肯定意見と否定意見の両方を見せると、肯定意見の効果をより受ける傾向も?