食文化栄養学科ロゴ
食文化栄養学科コラムサイト




週末てまひま料理

~白菜キムチ~

2017.01.25 連載コラム
週末てまひま料理 img01

 食文化栄養学演習で行われた特別講座に参加し、韓国から来日中の全州大学校 韓食調理学科教授の韓福眞先生から、 「キムチとキムジャン文化」について学んできました。

 先生から伺ったお話しは、初めて知ることが多く、とても興味深いものでした。 例えば、私たち日本人は、「キムチ」と聞くと、唐辛子をたっぷり使った白菜キムチを思い浮かべる方が多いかと思いますが、 17世紀以前の韓国には唐辛子がなかったのでキムチには唐辛子を使用していなかったこと、 白菜キムチが普及したのは20世紀に入ってからだったことなど。キムチの意外な歴史を知ることができました。

 「キムジャン」とは、家族や親戚、近隣住民が集まって、キムチをたくさん漬け込む作業のこと。 韓国では冬になると、寒さが厳しく、野菜が収穫できなくなるので、その間の保存食として、 翌年の春先まで食べるキムチを大量に漬け込むという文化が生まれたそうです。 キムジャン文化が2013年12月ユネスコ人類無形文化遺産に登録されたのは、記憶に新しいことと思います。

週末てまひま料理 img02

韓福眞先生から「キムチとキムジャン文化」について学びました

週末てまひま料理 img03

キムチの漬け込みについて

 キムジャンの季節は、白菜が多く収穫される晩秋から初冬にかけて。日本でも白菜や大根、カブがおいしくなるこの時期は、漬物を仕込む季節です。
 講座では、白菜キムチの漬け込みについても教えて頂きました。 白菜を塩漬けするところや、乳酸発酵させるところなど、日本の白菜漬けに似ているところがたくさんありました。 「キムチを漬ける」というと、とても手間のかかることのように感じますが、材料が揃えば、難しい手順はありませんでした。
 使用する材料で、手に入りにくいものといえば、韓国産の唐辛子と、あみの塩辛でしょうか。 あみの塩辛は、いかの塩辛などでも代用できるようですが、唐辛子は、韓国産のものを使用してください。 日本産の唐辛子(いわゆる“鷹の爪”)は、韓国産のものより、4倍くらいのカプサイシン(辛味成分)が含まれているそうです。

週末てまひま料理 img04

白菜キムチ

週末てまひま料理 img05

カクテキ

 実習で漬けた白菜キムチは、日本で買うものと違って、甘さが控えめで、ほどよい辛味と酸味のあるものになりました。 漬けてすぐ食べることができますが、食べごろは、漬けてから1週間くらい。味がなじんで、少し酸味が出てくる頃です。 さらに1週間ほど日が経つと、酸味が強くなってきますが、キムチチャーハンや豚キムチ、キムチチゲ(キムチ鍋)、 チヂミ(韓国風お好み焼き)など、いろいろな料理で使うと、酸味も気にならずおいしくいただけます。

 「ヤンニョム」というキムチの素の作り方をマスターすれば、カクテキ(大根のキムチ)や、 オイキムチ(きゅうりのキムチ)など、いろいろなキムチを作れます。 各家庭に伝わるレシピがあるというキムチ。 私も、先生から教えていただいたレシピを元に、はちみつやりんごで少し甘味を加えたり、 大根やにんじんなどの具材を追加してみました。週末に、てまひまかけて作ってみてはいかがでしょうか。

週末てまひま料理 img06

酸味が強くなったキムチは、チャーハンにするとおいしくいただけます

(食文化別館HP制作チーム ・ 新井純子/2017.01.25)


参考ウェブサイト
韓国 文化財庁 ホームページ→: 韓国の世界無形遺産『キムジャン文化』

参考文献:
韓福麗 著 守屋亜記子 訳(2005)『キムチ百科 韓国伝統のキムチ100』平凡社
コウケンテツ(2011)『コウケンテツのキムチ料理』角川マガジンズ
『栄養と料理』2008年12月号 「自家製キムチを漬ける」李 映林

「白菜キムチ」の作り方

材料
A【白菜】
白菜 1/2株(約1000g)
塩 50g(白菜の重量に対して5%)

B【具材】
大根 200g
にんじん 50g
塩 ひとつまみ
にら 1/2束(にらの他に、青ネギ、せりなどお好みで)

C【ヤンニョム】
韓国産粉唐辛子 50g
あみの塩辛 50g
りんご 1/2個
にんにく 1片
しょうが 10g
はちみつ 大1
(でんぷんのり)
小麦粉 大2
水 1/2カップ
塩 小さじ1(お好みで)

下準備
A【白菜を塩漬けする】
1 白菜は、芯の中心に切れ目を入れ、根元をしっかり持ち、手で半分に裂く
(包丁で半分に切ると、葉がバラバラになってしまうため)
2 切り口を上にし、ざるなどにのせ、2~3時間ほど天日干しする
3 天日干しにした白菜を流水でさっと洗う
4 外側の葉から1枚ずつ塩をふる。芯の部分は多めに、やわらかい葉の部分は少なめにふるとよい。
5 ボウルなどに、芯と葉が互い違いになるように詰め、ラップで覆い、重しをのせて1晩おく。
全体が均等に塩漬けされるよう、途中で上下を返す。
6 1晩おいた白菜を、ざるにあげて、1時間ほど置いて水気を切る。

B【具材の準備】
1 大根とにんじんは千切りにし、塩をふり10分くらい置く。ざるにあげ、水気を切る
2 にらは、5cmくらいの長さに切る

C【ヤンニョムの準備】
1 でんぷんのりを作る
鍋に、小麦粉、水、塩を入れてよく混ぜ、中火にかける。のり状になったら、冷ましておく。
2 りんご、にんにく、しょうがは、すりおろす

作り方
C【ヤンニョムを作る】
1 ボウルに、粉唐辛子、アミの塩辛、すりおろしたりんご、にんにく、しょうが、はちみつを加えて、よく混ぜる。
2  でんぷんのりを加えて、よく混ぜる。
※でんぷんのりは、発酵を促進するために入れる。オイキムチ(きゅうりのキムチ)や、カクテキ(大根のキムチ)など、発酵させずにすぐ食べるキムチの場合は、入れなくてよい。
※ヤンニョムは、密閉容器に入れ、冷蔵庫で2週間くらい保存できる。

【キムチを漬ける】
1 ヤンニョムに、大根、にんじん、にらを入れてよく混ぜる。
2 塩漬けした白菜を大きめのバットに入れ、外側の葉の根元から1枚ずつ、1(具材の入ったヤンニョム)を塗り込む。
根元はしっかり、葉の部分は、手についたヤンニョムを塗り広げる程度でよい。
3 外側の大きな葉を1~2枚残し丸める。
4 保存容器に入れ、常温で2日間おき、少し熟成させてから冷蔵庫へ入れる。

週末てまひま料理 img07

塩漬けした白菜にヤンニョムを塗り広げます

週末てまひま料理 img08

外側の大きな葉で、全体をくるむようにまとめます