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製菓・製パン実習 (4年生 前期・集中 選択科目)

2015.10.05 授業紹介
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 洋菓子、和菓子、パン、シュガークラフトを学ぶ「製菓・製パン実習」が8月上旬、開講されました。 この授業は5日間の日程で行われる4年生の集中授業です。 6年前から始まった授業で、文化栄養学科※草創期に卒業した私にとって、「学生に戻って受講したい授業」のひとつです。
※2006年「文化栄養学科」から現在の「食文化栄養学科」に名称変更しました。

 1日目の洋菓子では、ホワイトチョコとカシスのムースを作りました。 お菓子づくりが好きで、自宅でもクッキーやケーキを作っているという学生たちですが、 スポンジ生地を焼き、ホワイトチョコのムース、カシスのゼリーを作り、セルクルを使って組み立てるという、 自宅ではなかなかできない本格的なケーキに、すこし緊張しているようでした。 とはいうものの、さすが4年生。実習が始まると手際よくケーキを組み立てていました。

 ケーキが完成した後は、ブルーベリー、フランボワーズ、飴細工を使って、それぞれがおもいおもいに飾りつけをしました。 飴細工ひとつとっても、シリコン型に流し込んだ飴、飴を糸状にしたものなど。 それぞれの個性が光る「ホワイトチョコとカシスのムース」がたくさん出来上がりました。

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ブルーベリー、フランボワーズ、飴細工を使って飾りつけをしました

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スポンジ生地、ホワイトチョコのムース、カシスのゼリーをセルクルを使って組み立てました(断面図)

 2日目の和菓子では、和菓子の基本である製あんと寒天の抽出を実習し、和菓子を作成しました。 あんは、小豆を煮るところからはじめます。大きな鍋で、ゆっくりことこと。 やわらかく煮えたら、小豆を半分にし、粒あんとさらしあんに。 さらしあんは、煮あがった小豆を裏ごしし、沈殿したでんぷんを何度も水でさらし、ふきんで絞ります。 作り方をみていると「さらしあん」という名前の由来がここからきているのだと実感。

 寒天は天草(てんぐさ)から抽出しました。 「寒天は天草から作られている」学生のころから、知識としてはあったものの、実物の天草を見るのははじめて。 たっぷりの水に天草を入れ、1時間ほど火にかけました。 煮詰めた煮汁にぬめりがでてきたら出来上がりのサイン。ふきんで漉して、冷やし固めます。 普段、粉末寒天を使うようになっていた私にとって、天草から寒天を作る作業は、驚きの連続でした。

 非常勤講師の奥井正子先生は、文化栄養学科の卒業生。 卒業後、大手和菓子メーカーに就職し、和菓子職人として修行をされた後、独立し和菓子教室の講師をされています。 実習では奥井先生が家庭でつくりやすいように考案してくださった「ねりきり」を作成しました。 ねりきりは1人2個作成。課題は「桜」を最低1つ。 2つ目は、桜以外のものにチャレンジしてもOKということでした。 今年は、新たなものに挑戦したいという学生が多く、先生からアドバイスをいただこうと、あちこちで先生を呼ぶ声がしていました。

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ぬめりがでてきたら寒天が抽出できたサインです

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あんは小豆から煮ました

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ねりきりの課題「桜」を作っています

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「桜」

 3日目・4日目の製パンでは、日本のパン、世界のパンというテーマで、 香川調理製菓専門学校の遠藤徳夫先生から、パンの基本を教えていただきました。 日本のパンでは、バターロールと日本で生まれたメロンパン、あんパンを作りました。 あんパンの「あん」は、和菓子の授業で炊いたものを使いました。 2日間の授業が終わった後、学生たちにどのパンが印象に残っているか聞いたところ「あんパン」という答えが多かったです。 パン生地、あんをすべて自分たちの手で作ったので、他のパンよりも思い入れがひとしおだったようです。

 世界のパンでは、リーンな(卵や油脂などの副材料が少ない)パン、 リッチな(卵や油脂などの副材料が多い)パンの特徴を学び実習しました。 私が特に印象に残ったのは「えんどう豆のフォカッチャ」。えんどう豆のペーストを練りこんだ緑色の生地のパンです。 フォカッチャというと、平たいパンを想像しますが、実習では緑色の生地を使って皮と豆の形を作り、 本物のえんどう豆のように立体的に仕上げました。

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和菓子の授業で炊いた「あん」を使って「あんパン」を作りました

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「あんパン」

 最終日は、シュガークラフトとアイシング。1日目の洋菓子で作ったフルーツケーキとジンジャークッキーを使い実習しました。 非常勤講師の栗田美智子先生は、文化栄養学科の卒業生で、 現在は「東京シュガーアート」にて、講師をされ、コンテストなどで多くの賞を受賞されています。
 シュガークラフトは「記念日のケーキ」というテーマで、作品を作りました。 バラとフリルを使うという課題以外は、各自が贈る人を思いながら自由 にデザインを考えました。

 お手本通りに作るという授業が多い中、想像の翼を広げ、自由な発想で作品を作り上げていく学生たち。 すっかり頭がこりかたまってしまった私にとって、彼女たちの姿は、とっても輝いてみえました。

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「記念日のケーキ」というテーマで作品を作りました

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贈る人を思いながらデザインしました

(食文化別館HP制作チーム 新井純子/2015.10.05)