学会長からのご挨拶

学校の持つ「力」に期待して

学会長 三木 とみ子(女子栄養大学教授)

学会長 三木 とみ子(女子栄養大学教授)  この度、第57回大会を女子栄養大学坂戸キャンパス(埼玉県坂戸市)にて、平成22年11月27日(土)、28日(日)に開催することになりました。

 さて、今日の社会の激変は子ども達のメンタルヘルス面での問題をはじめ、アレルギー、食の乱れ、薬物乱用、安全・安心等に関する心身の健康課題を引き起こし、さらには、学校ストレス、感染症等、学校という集団社会が抱える問題も克服すべき喫緊の課題です。このような折り、半世紀ぶりに学校保健法の一部が改正され、「学校保健安全法」と名称を変えてタートしました。これからの学校保健は新たな時代に対応しうる教育の展開が求められ、子ども時代に生涯の健康づくりの基礎を培う学校保健の果たす役割に大きな期待が寄せられています。

 一方、第56回年次学会(沖縄)では、「格差社会」がもたらす健康への影響は、もはや個人の力では解決できず、社会全体でその解決が迫られ、とりわけ学校保健の役割など諸議論と提言は、本年次学会への宿題を頂いたものと認識しています。 今こそ学校の持つ力「学校力」を発揮し、地域や専門家との連携が不可欠です。すなわち学校を核としたヘルスプロモーションの展開が必要と言えます。

 こうした状況を踏まえ、57回学会は「学校保健」の「学校」の二文字にこだわってみたい。「学校」は、子ども達の心身の健康に関わる「人」「モノ」「内容」「環境」等学校特有の教育機能を有した組織体であり、限りない力を持っていると考えます。また「学校」は生涯健康の基盤形成の舞台です。これらの特徴を子ども達の健康つくりに活かさない手はないからです。

 そこで、第57回学会のメインテーマを「変化の時代における学校保健と学校力」とし、サブテーマに―生涯健康の基礎づくり―を設定し、学会の運営に当たって参りたいと思います。

 女子栄養大学は、香川昇三・綾夫妻の『病人をつくらず、健康な人をつくる』という一貫した教育理念のもと「食と健康」を標榜する世界で唯一の大学です。

 第57回大会は女子栄養大学学長 香川芳子を名誉顧問とし、大学の全面的協力を得て諸準備に進んでいます。彩の国、埼玉坂戸にて「食と健康」を標榜する女子栄養大学並びに実行委員一同、皆様のお越しを心よりお待ちしています。