朝昼夕、3食食べる

2012.09.25

私たちが1日に必要なエネルギーや栄養素の量は男女や年齢、どれだけ身体を動かしているかなどで異なります。しかし、どの年代の人にとっても、1日の必要量を1回で食べることは量的には難しいことです。そこで、「朝昼夕、1日3食に分けて食べること、必要であれば間に間食を入れること」が基本となります。この中で特に大切な事は、朝食をきちんと食べること。このことによって身体の1日のリズムが正しく働きます。朝昼夕の3食の配分は、特に理想的な値が分かっているわけではありませんが、1:1:1を基本に、各自の生活スタイルに合わせれば良いと思います。夕食はあまり遅い時間にはたくさんの量を食べすぎないことも大切です。睡眠の2時間前には食事を終えていたいものです。

 

朝食を食べていない人は、まずは何かを食べる習慣を始めてください。「朝の果物は金」という言葉があります。これはおそらく、エネルギー源となるとともに、ビタミンC、クエン酸などを摂取することができる事から生まれた言葉と考えられます。旬の果物を食べる事からスタートして、次第に炭水化物やタンパク質も意識して種類を増やしていくと良いと思います。

 

まずは食べる習慣をつけることが重要です。そのためには朝に時間的なゆとりも必要ですね。朝起きた時にお腹がすいていると感じるようになれば理想的です。朝食は英語ではbreakfast(ブレックファストまたはブレックファースト)と言いますが、これはfast(断食)をbreak(破る、断つ)、すなわち前日の夕食から何も食べていない状態を断ち切って、食べるという意味です。前日の夕食から何時間くらい断食を続けていることになるか、計算してみてください。

 

朝の食事は1日のスタートのために欠かすことのできない、大切なものです。

 

  • 2013.06.21今でもある脚気

    脚気は日本では戦前は多くみられた病気で、亡国病と呼ばれ恐れられていました。江戸時代には「江戸患い」と呼ばれていました。もっとも患者数が多かったころには、年間で2万5千人もの人が脚気で亡くなっていました。長い間、原因も分からず、病原菌説、中毒説などの他に白米食説も唱えられていました。ソバを食べると脚気になりにくいということも知られていました。   その後、栄養学が進み、脚気の原因はビタミンB1の欠乏症であることが分かりました。この原因の究明には、海軍での食事の介入試験など多くの人体実験が貢献しています。原因がビタミンB1の欠乏と分かってからは、発生は減少、今ではほとんどみられることはありません。   しかし、現在でも、食生活の悪い偏った食事をしている若い人の中には脚気、あるいは脚気の予備群の人たちが存在しているといわれています。カップ麺やスナック菓子、アルコール飲料でエネルギーはしっかり摂取しているけれども、ビタミンやミネラルの微量栄養素が摂取できていない人がいます。身体がだるい、疲れやすい、そのような症状がある方、ビタミンB1の摂取は十分ですか?ビタミンB1は胚芽精米、玄米、豚肉、ウナギ、大豆、えんどう豆などに多く含まれています。   女子栄養大学は学校法人香川栄養学園が設置している学校の一つで、この学園を創立したのは香川昇三、綾夫妻です。夫妻は東京大学の医学部の医師として脚気の治療に関わってきました。そして、当時、籍を置いていた医局で胚芽米を用いて脚気治療に成果を挙げたことにより、香川栄養学園の前身である家庭食養研究会を発足し、予防医学の普及に力を注ぎました。今日でも女子栄養大学の学生食堂では「胚芽精米」が使用されていますが、これはその伝統です。     「食は生命なり」これは本学の建学の精神につながる言葉です。     香川栄養学園は今年(2013年)創立80周年を迎えました。       【脚気】かっけ、英語ではberiberi 水溶性のビタミンであるビタミンB1(チアミン)の欠乏症。末梢神経障害と心不全をきたす。正常では膝の下をたたくと下肢が上に動くが(膝蓋腱反射)、脚気の場合には反応しない。ビタミンB1の適切な摂取により予防、治療することができる。過去には患者数は非常に多かったが、現在では稀な疾患である。しかし、偏った食事を摂っていると発症することもある。  

  • 2012.08.28オリンピックと食事

    今年は4年に1度のオリンピックの年。日本はこれまで最高の38個のメダルを、多くの種目で取ることができました。オリンピックに出場するようなトップアスリートは、厳しいトレーニングを行い、肉体的、精神的にも非常に鍛えられている選手が多いと思います。その身体作りや、トレーニングの基本となるのが「食事」です。今回のオリンピックでも、選手村の食事以外に、国として選手の食事をサポートしていました。   私たち女子栄養大学でも、いくつかのチームの栄養サポートを行っていますが、選手によく言うことは「食べることもトレーニングの一つである」ということです。食に対する意識の高い選手ほど、故障も少なく、良いコンディションで、いい成績を上げてくれます。   通常の練習時には、その目的に応じて食事の内容を工夫します。体重、筋肉量を増やすためには、エネルギーはもちろん、タンパク質の摂取にも気を配る必要があります。場合によってはプロテインなどを使用することもあるでしょう。コンディションを整えるにはビタミンやミネラルが必須です。これらを十分に摂取できるメニューが求められます。   試合期には、エネルギー源となる、炭水化物の摂取が重要になります。日本人の場合には「おにぎり」や「もち」など、非常に親しみやすいメニューがありますね。今回のオリンピックでも、「おにぎり」は活躍していたようです。いろいろな具と合わせて食べることで、ナトリウムなどの電解質の補給にもなります。   練習や試合の後には、できるだけ早くに食事を取ることが勧められています。食事までの間隔があく場合には、捕食として糖質とタンパク質を摂取することが勧められます。十分な水分補給も必要です。   オリンピックは、トップアスリートの競演ですが、その食に対する取り組みは、私たち一般の人も参考にできることがたくさんあります。でも、一番の基本は、「食べることもトレーニングの一つである」という意識を持つことです。練習メニューに対して好き嫌いは言いませんよね。それと同じで、食事に対しても好き嫌いはできるだけ少なくして、何でも食べること、これが大切です。   今回のひとことは、「食べることもトレーニングの一つである」。好き嫌いなく、いろいろな食品を食べること。これがバランスの良い食事につながります。   このコーナーを読んでいただけた人の中から、4年後、8年後のオリンピックに出場する人が出てきてくれるといいな。  

  • 2013.03.28壊血病

    壊血病、ご存知ですか?ビタミンCの欠乏症として有名です。その昔(15世紀中ばから17世紀中ば)の大航海時代、たとえばヨーロッパからアフリカ、アジアなど長距離を航海する際に、多くの船員が壊血病で亡くなりました。その予防に柑橘類が良いとわかってからは、航海の途中で寄港し、柑橘類を積み込むようにしていました。柑橘類にはビタミンCが多く含まれていますね。ちなみに、若者に大人気のアニメ「ワンピース」の主人公たちが乗っている船にはミカンの木が植えられています。ビタミンCの補給を狙ってのことなのでしょうか、非常に興味があります。   さて、その壊血病、私自身は日本ではほとんど見られないと思っていました。ところが先日、小児科の先生から壊血病の子供の例を教えていただきました。どうしてその子供は壊血病になったか。原因はお母さんの厳格な食事コントロールにあります。このお母さんは子供のことを考えて、野菜や果物などもすべて加熱して(煮て)与えていました。ビタミンCは熱に弱いビタミンです。必要量を摂取することができなかったと思われます。一般的に栄養素の欠乏症は、それほど短期間で症状が出るわけではありません。今回のように長期間にわたって、厳格な食事制限を行うとまれに欠乏症が出ることがあります。   様々な食事方法、健康情報が日々いろいろなところで紹介されています。中には首をかしげたくなる様な情報も見受けられます。正しい情報を発信する。それが女子栄養大学の使命です。これからも役に立つ正しい情報をお届けしたいと思います。           【壊血病】かいけつびょう   ビタミンCの欠乏症。身体の様々な部位での出血がみられる。ビタミンCの摂取で治癒する。現在の成人のビタミンCの推奨量は100mg/日、この量は壊血病の予防はもちろん、抗酸化、心血管疾患の一次予防を視野に入れた値である。   ビタミンCは柑橘類、柿、アセロラ、キウイフルーツ、トマト、ブロッコリー、イチゴ、カリフラワー、ほうれん草、ジャガイモ、サツマイモなどに多く含まれる。   ペットボトルのお茶にも抗酸化剤として添加されていることがある。(ラベルを見てみましょう)

  • 2012.10.26骨のある話

    さて問題です。私たちの身体には何本(何個)の骨があるでしょうか?自分の手をよく見て考えてみてください。正解はこのコーナーの最後に。   私たちの骨は、身体を支える、筋肉とともに身体を動かすなどの働きのほかに、頭や胸を思い浮かべればわかるように重要な臓器を保護しています。また、骨の中には骨髄という組織があって、ここでは血液も作られます。このように骨は多くの重要な働きをしていますが、これら以外の大切な働きが、カルシウムの貯蔵庫という役割です。カルシウムは骨を作る代表的なミネラルですが、実は身体の様々な機能を調節するという働きがあります。私たちはカルシウムがなければ生きていくことはできません。心臓がドキドキしたり、筋肉が収縮したり、神経の伝達にもカルシウムは不可欠です。   このカルシウム、私たちが海の中に住んでいた時には、周りの海水には多く含まれていますから、不足する心配はありませんでした。むしろ過剰が心配なくらいで、今でも魚はカルシウムを身体に貯めすぎない機能が発達しています。ところが陸上に上がってしまうと、周りは空気です。カルシウムがありません。もしもの時に備えて、カルシウムをどこかに貯め込んでおく必要が生まれました。そこで選ばれたのが骨です。骨には全身のカルシウムの約99%が存在します。血液や筋肉などに含まれるカルシウムは残りの1%ですが、この1%のカルシウムが重要なのです。カルシウムは尿などから毎日少しずつ出ていきます。血液中のカルシウムを一定にするためには、カルシウムを摂取する必要があります。摂取するカルシウムの量が少ないと、貯蔵庫すなわち骨からカルシウムを取り出すことになります。貯金を使うと考えてください。貯金がたくさんある人は安心ですが、少ない人は心細くなりますね。このカルシウム貯金が少なくなって、骨がスカスカになった状態が「骨粗鬆症(こつそしょうしょう)」です。骨折しやすくなってしまいます。   骨はいったん出来上がってしまうと、いつまでも変化しない堅い臓器のように見えますが、実は活発に新陳代謝をしています。毎日一定量が壊され、新しい骨が作られています。道路工事を想像していただくとわかりやすいと思います。道路の表面が傷んでくると、アスファルトをはがして、埋め直しますね。それと同じことが骨でも行われています。約3年間で全身の骨がすべて入れ替わるとも言われています。   成長期には壊すよりも、作る量のほうが多いので、骨は成長します。この時にできるだけカルシウム貯金を殖やしておくことが大切です。   この続きは次回お話しします。さて、最初の問題の答え、正解は206本(個)でした。ちなみに、片方の手のひらだけでも27個の骨でできています。そのほか肋骨は左右に12本ずつあります。背骨は26個の骨でできています。背骨の中の首の骨(頸椎)は7個ですが、哺乳類は全て7個で、首の長いキリンも同じ数です。

  • 2012.11.13骨太人生を目指そう

      前回に引き継ぎ「骨」の話です。「骨太人生」すなわちカルシウム貯金を殖やすためにはどうすればよいかを紹介します。   私たちは生まれた直後は約30gのカルシウムを持っています。これは全ておなかの中にいるときに、お母さんからもらったものです。出産後は自分でカルシウムを貯めていかなければなりません。成人のカルシウム量は男性で約1000g、女性で約700gといわれています。そしてこの貯金は18歳くらいまでに貯まります。なかでも男子では中学生の時期、女子では小学校高学年から中学生にかけての時期に年間のカルシウム貯金は最も多くなります。この時期にできるだけ貯金を増やすこと。これが骨太人生のための、最初の課題です。女子ではこの時期に生理が始まります。これもカルシウム貯金のための大切な現象です。女性ホルモンは必要以上に骨からカルシウムが溶けていかないように骨を守ってくれます。この時期にスタイルを気にしてダイエットをする人もいますが、厳禁です。必要な栄養素をしっかり取るように心がけましょう。   18歳以降、成人の時期はカルシウム貯金(骨量、骨密度)はほぼ一定に保たれますが、女子大生での調査では、大学1年生の時の骨密度と、4年生の時の骨密度を比較すると、平均では減少していました。増えていた人の特徴は、「運動をしていた」、「牛乳・乳製品をしっかりと食べていた」という特徴があります。つまり、比較的骨量が一定の成人期でも、油断すると貯金は減っていくということです。   中年以降、特に女性では更年期を境に、貯金は急激に減り始めます。これはそれまで骨を守ってくれていた女性ホルモンが減少するためです。この時期の骨量減少をできるだけ少なくすることも大切です。   高齢者では緩やかに骨量は減少していきます。運動や栄養でその減少を減らすことはできますが、全くゼロにすることはできません。   成人期以降、カルシウム貯金が減ることがわかっていただけたと思います。でも、それまでのカルシウム貯金がたくさんあったら・・・。お分かりですね、骨太人生の秘訣は、成長期にできるだけカルシウム貯金を増やしておくこと。それ以降はできるだけ貯金を減らさないようにすること、です。   カルシウム貯金、今日から始めましょう。