朝昼夕、3食食べる

2012.09.25

私たちが1日に必要なエネルギーや栄養素の量は男女や年齢、どれだけ身体を動かしているかなどで異なります。しかし、どの年代の人にとっても、1日の必要量を1回で食べることは量的には難しいことです。そこで、「朝昼夕、1日3食に分けて食べること、必要であれば間に間食を入れること」が基本となります。この中で特に大切な事は、朝食をきちんと食べること。このことによって身体の1日のリズムが正しく働きます。朝昼夕の3食の配分は、特に理想的な値が分かっているわけではありませんが、1:1:1を基本に、各自の生活スタイルに合わせれば良いと思います。夕食はあまり遅い時間にはたくさんの量を食べすぎないことも大切です。睡眠の2時間前には食事を終えていたいものです。

 

朝食を食べていない人は、まずは何かを食べる習慣を始めてください。「朝の果物は金」という言葉があります。これはおそらく、エネルギー源となるとともに、ビタミンC、クエン酸などを摂取することができる事から生まれた言葉と考えられます。旬の果物を食べる事からスタートして、次第に炭水化物やタンパク質も意識して種類を増やしていくと良いと思います。

 

まずは食べる習慣をつけることが重要です。そのためには朝に時間的なゆとりも必要ですね。朝起きた時にお腹がすいていると感じるようになれば理想的です。朝食は英語ではbreakfast(ブレックファストまたはブレックファースト)と言いますが、これはfast(断食)をbreak(破る、断つ)、すなわち前日の夕食から何も食べていない状態を断ち切って、食べるという意味です。前日の夕食から何時間くらい断食を続けていることになるか、計算してみてください。

 

朝の食事は1日のスタートのために欠かすことのできない、大切なものです。

 

  • 2012.08.17何をどれだけ食べればよいの? 食事摂取基準とは

    私たちが健康を維持・増進するために、また成長期では発育・発達するために、何をどれだけ食べればよいか、その基準を示したものが、「日本人の食事摂取基準」で、厚生労働省から発表されています。以前は「栄養所要量」が発表されていましたが、「食事摂取基準」は栄養所要量がより進化、バージョンアップしたものと考えることができます。 栄養所要量は「不足しない、欠乏しない」ためには、最低どれくらい食べなければならないかということが中心でした。食糧難の時代の考え方ですね。現在は、飽食の時代。一部では欠乏も心配ですが、その一方で過剰摂取、食べすぎも心配です。また、バランスも大切ですね。いろいろな生活習慣病、メタボリックシンドロームなどの発症には食事が大きく関わっています。 そこで、食事摂取基準では、不足や欠乏しないための摂取量の他に、摂りすぎにならない摂取量、さらに生活習慣病の一次予防のための摂取量も示されています。以前の栄養所要量よりも複雑そうに見えますが、正しく理解すれば非常に有用な指標です。 このコーナーでも、主な栄養素について、少しずつ紹介していきたいと思っています。 今回はまず、最も基本となるエネルギーについてご紹介します。エネルギーは取りすぎると体重が増加しますし、足りなければ体重が減少します。成長期には身体が大きくなるのに必要なエネルギーも考える必要があります。エネルギーの必要量は、身体の大きさと、どのような生活をしているかによって異なってきます。エネルギー必要量の基本は表のとおりです。まずは、身体活動レベル「普通」で考えてみてください。クラブ活動などで、身体を動かすことが多い人は、「高い」、あまり動かないなと思う人は「軽い」の数字を参考にしてください。エネルギー摂取量が適切かどうかは、体重を測定することで予想できます。成人の人は体重が一定であれば、エネルギー摂取量とエネルギー消費量はバランスが取れていると考えられます。成長期の人は順調に体重が増えていれば良いでしょう。定期的に(2週間に1回程度)体重を測定してみてください。   もう一つ大切なことは、どれくらい食べているのかということに興味、関心を持つことです。例えば、ファミリーレストランのメニューにはエネルギー量が表示されています。また、市販のお菓子などでもエネルギー量が表示されています。是非、表示を確認する習慣を身につけてください。小さなお菓子に、意外と多くのエネルギーが含まれていることがわかります。  

  • 2012.06.15バランスの良い食事

    正しい食べ方の基本は「バランスの良い食事」といわれます。 でも、この「バランスが良い」とはどのような事でしょうか? 栄養学的には、エネルギーが適切で、必要な栄養素が適量含まれている食事がバランスの良い食事ということになります。手軽にこのバランスを評価するには、1回の食事、あるいは1日の食事で、できるだけ多くの種類の食品を摂取しているかに気を付けてください。単品よりも主食、主菜、副菜、汁物などのある定食スタイルがお勧めです。麺類や丼ものなどの単品の場合には、できるだけ多くの種類の具の入っているものがお勧め。また副菜を加えるようにしましょう。例えば牛丼の場合には、サラダを追加して、牛乳、ヨーグルト、野菜ジュースなどをプラスすると良いでしょう。そして、1週間単位くらいで、食品数を集計してみて、よりたくさんの種類の食品が登場した週ほど、バランスはよかったと考えることができます。 「エネルギーが適切で、必要な栄養素が適量含まれている食事」、エネルギーや栄養素の必要量は性、年齢、体格、身体活動レベル(身体をどれくらい動かしているか)などによって異なります。この値を示したものが、「日本人の食事摂取基準」で、厚生労働省から5年に1回改定されて発表されています。現在使用されているものは、「日本人の食事摂取基準2010年版」で、2015年の3月まで使用される予定です。この食事摂取基準については次回のちょこっと栄養学で紹介します。

  • 2012.08.28オリンピックと食事

    今年は4年に1度のオリンピックの年。日本はこれまで最高の38個のメダルを、多くの種目で取ることができました。オリンピックに出場するようなトップアスリートは、厳しいトレーニングを行い、肉体的、精神的にも非常に鍛えられている選手が多いと思います。その身体作りや、トレーニングの基本となるのが「食事」です。今回のオリンピックでも、選手村の食事以外に、国として選手の食事をサポートしていました。   私たち女子栄養大学でも、いくつかのチームの栄養サポートを行っていますが、選手によく言うことは「食べることもトレーニングの一つである」ということです。食に対する意識の高い選手ほど、故障も少なく、良いコンディションで、いい成績を上げてくれます。   通常の練習時には、その目的に応じて食事の内容を工夫します。体重、筋肉量を増やすためには、エネルギーはもちろん、タンパク質の摂取にも気を配る必要があります。場合によってはプロテインなどを使用することもあるでしょう。コンディションを整えるにはビタミンやミネラルが必須です。これらを十分に摂取できるメニューが求められます。   試合期には、エネルギー源となる、炭水化物の摂取が重要になります。日本人の場合には「おにぎり」や「もち」など、非常に親しみやすいメニューがありますね。今回のオリンピックでも、「おにぎり」は活躍していたようです。いろいろな具と合わせて食べることで、ナトリウムなどの電解質の補給にもなります。   練習や試合の後には、できるだけ早くに食事を取ることが勧められています。食事までの間隔があく場合には、捕食として糖質とタンパク質を摂取することが勧められます。十分な水分補給も必要です。   オリンピックは、トップアスリートの競演ですが、その食に対する取り組みは、私たち一般の人も参考にできることがたくさんあります。でも、一番の基本は、「食べることもトレーニングの一つである」という意識を持つことです。練習メニューに対して好き嫌いは言いませんよね。それと同じで、食事に対しても好き嫌いはできるだけ少なくして、何でも食べること、これが大切です。   今回のひとことは、「食べることもトレーニングの一つである」。好き嫌いなく、いろいろな食品を食べること。これがバランスの良い食事につながります。   このコーナーを読んでいただけた人の中から、4年後、8年後のオリンピックに出場する人が出てきてくれるといいな。  

  • 2013.01.16ひー、ロバとリス不明?

    「ひー、トロリバス不明」、「雨降り、とろいバス日」、「アメフリヒトイロバス」、「風呂場イス独り占め」いったい何の話でしょうか。これがわかる人は、栄養学の勉強をしたことがある人かもしれません。   私たちの身体に存在するタンパク質、そのタンパク質は20種類のアミノ酸で構成されています。アミノ酸がどのように結合するかで、さまざまな種類のタンパク質ができることになります。これら20種類のアミノ酸のうち、体内で合成できない、あるいは合成できても必要量が確保できないので、外から取り入れる必要のあるアミノ酸を「必須アミノ酸」といいます。成人では9種類のアミノ酸、小児では10種類のアミノ酸が必須アミノ酸です。   今回のタイトルの「ひー、ロバとリス不明?」という不思議な文章は、この9種類の必須アミノ酸を覚えるための、先輩たちの苦労の成果です。「風呂場イス独り占め」これも面白い覚え方ですね。   必須アミノ酸と非必須アミノ酸を表に示しました。食品にもこれらのアミノ酸が含まれていますが、その含量は異なります。たとえば米のタンパク質はリジンというアミノ酸が少ないという特徴があります。一方、大豆にはリジンが多く含まれています。しかし大豆にはメチオニンというアミノ酸が少なく、米にはメチオニンが多く含まれています。したがって米と大豆を組み合わせて食べると、お互いに足りないところを補ってくれることになります。米と大豆、日本食の基本ですね。先人は必須アミノ酸のことは知らなくても、生きていくための知恵として、この食品の組み合わせを取り入れてきたのかもしれません。     必須アミノ酸 非必須アミノ酸 ヒスチジン ロイシン バリン トリプトファン リジン スレオニン フェニルアラニン メチオニン イソロイシン アルギニン(小児では必須) アラニン アスパラギン、アスパラギン酸 グルタミン、グルタミン酸 グリシン プロリン セリン システイン チロシン     食品中には動物性食品でも植物性食品でもそれぞれタンパク質が含まれています。そして、それぞれの食品独自のアミノ酸構成でタンパク質が構成されています。たとえば、ヒトのタンパク質と、魚のタンパク質は異なります。異種タンパク質が体内に入ると、激しい拒否反応、アレルギー、蕁麻疹を起こします。私たちは食べた異種タンパク質を消化管内でアミノ酸(あるいはアミノ酸が数個結合したペプチド)に分解して吸収します。消化管の機能が発達していない乳児に異種タンパク質を早く食べさせることはよくありません。   よく考えれば、魚ばかりを食べている人の筋肉が魚の筋肉になることはありませんね。一度バラバラにしたアミノ酸を、ヒトのタンパク質に再合成しているのです。肉、魚、卵、大豆、いろいろな食品からタンパク質を摂取することが基本です。  

  • 2012.10.26骨のある話

    さて問題です。私たちの身体には何本(何個)の骨があるでしょうか?自分の手をよく見て考えてみてください。正解はこのコーナーの最後に。   私たちの骨は、身体を支える、筋肉とともに身体を動かすなどの働きのほかに、頭や胸を思い浮かべればわかるように重要な臓器を保護しています。また、骨の中には骨髄という組織があって、ここでは血液も作られます。このように骨は多くの重要な働きをしていますが、これら以外の大切な働きが、カルシウムの貯蔵庫という役割です。カルシウムは骨を作る代表的なミネラルですが、実は身体の様々な機能を調節するという働きがあります。私たちはカルシウムがなければ生きていくことはできません。心臓がドキドキしたり、筋肉が収縮したり、神経の伝達にもカルシウムは不可欠です。   このカルシウム、私たちが海の中に住んでいた時には、周りの海水には多く含まれていますから、不足する心配はありませんでした。むしろ過剰が心配なくらいで、今でも魚はカルシウムを身体に貯めすぎない機能が発達しています。ところが陸上に上がってしまうと、周りは空気です。カルシウムがありません。もしもの時に備えて、カルシウムをどこかに貯め込んでおく必要が生まれました。そこで選ばれたのが骨です。骨には全身のカルシウムの約99%が存在します。血液や筋肉などに含まれるカルシウムは残りの1%ですが、この1%のカルシウムが重要なのです。カルシウムは尿などから毎日少しずつ出ていきます。血液中のカルシウムを一定にするためには、カルシウムを摂取する必要があります。摂取するカルシウムの量が少ないと、貯蔵庫すなわち骨からカルシウムを取り出すことになります。貯金を使うと考えてください。貯金がたくさんある人は安心ですが、少ない人は心細くなりますね。このカルシウム貯金が少なくなって、骨がスカスカになった状態が「骨粗鬆症(こつそしょうしょう)」です。骨折しやすくなってしまいます。   骨はいったん出来上がってしまうと、いつまでも変化しない堅い臓器のように見えますが、実は活発に新陳代謝をしています。毎日一定量が壊され、新しい骨が作られています。道路工事を想像していただくとわかりやすいと思います。道路の表面が傷んでくると、アスファルトをはがして、埋め直しますね。それと同じことが骨でも行われています。約3年間で全身の骨がすべて入れ替わるとも言われています。   成長期には壊すよりも、作る量のほうが多いので、骨は成長します。この時にできるだけカルシウム貯金を殖やしておくことが大切です。   この続きは次回お話しします。さて、最初の問題の答え、正解は206本(個)でした。ちなみに、片方の手のひらだけでも27個の骨でできています。そのほか肋骨は左右に12本ずつあります。背骨は26個の骨でできています。背骨の中の首の骨(頸椎)は7個ですが、哺乳類は全て7個で、首の長いキリンも同じ数です。