バランスの良い食事

2012.06.15

正しい食べ方の基本は「バランスの良い食事」といわれます。

でも、この「バランスが良い」とはどのような事でしょうか?

 栄養学的には、エネルギーが適切で、必要な栄養素が適量含まれている食事がバランスの良い食事ということになります。手軽にこのバランスを評価するには、1回の食事、あるいは1日の食事で、できるだけ多くの種類の食品を摂取しているかに気を付けてください。単品よりも主食、主菜、副菜、汁物などのある定食スタイルがお勧めです。麺類や丼ものなどの単品の場合には、できるだけ多くの種類の具の入っているものがお勧め。また副菜を加えるようにしましょう。例えば牛丼の場合には、サラダを追加して、牛乳、ヨーグルト、野菜ジュースなどをプラスすると良いでしょう。そして、1週間単位くらいで、食品数を集計してみて、よりたくさんの種類の食品が登場した週ほど、バランスはよかったと考えることができます。

 「エネルギーが適切で、必要な栄養素が適量含まれている食事」、エネルギーや栄養素の必要量は性、年齢、体格、身体活動レベル(身体をどれくらい動かしているか)などによって異なります。この値を示したものが、「日本人の食事摂取基準」で、厚生労働省から5年に1回改定されて発表されています。現在使用されているものは、「日本人の食事摂取基準2010年版」で、2015年の3月まで使用される予定です。この食事摂取基準については次回のちょこっと栄養学で紹介します。

  • 2012.08.17何をどれだけ食べればよいの? 食事摂取基準とは

    私たちが健康を維持・増進するために、また成長期では発育・発達するために、何をどれだけ食べればよいか、その基準を示したものが、「日本人の食事摂取基準」で、厚生労働省から発表されています。以前は「栄養所要量」が発表されていましたが、「食事摂取基準」は栄養所要量がより進化、バージョンアップしたものと考えることができます。 栄養所要量は「不足しない、欠乏しない」ためには、最低どれくらい食べなければならないかということが中心でした。食糧難の時代の考え方ですね。現在は、飽食の時代。一部では欠乏も心配ですが、その一方で過剰摂取、食べすぎも心配です。また、バランスも大切ですね。いろいろな生活習慣病、メタボリックシンドロームなどの発症には食事が大きく関わっています。 そこで、食事摂取基準では、不足や欠乏しないための摂取量の他に、摂りすぎにならない摂取量、さらに生活習慣病の一次予防のための摂取量も示されています。以前の栄養所要量よりも複雑そうに見えますが、正しく理解すれば非常に有用な指標です。 このコーナーでも、主な栄養素について、少しずつ紹介していきたいと思っています。 今回はまず、最も基本となるエネルギーについてご紹介します。エネルギーは取りすぎると体重が増加しますし、足りなければ体重が減少します。成長期には身体が大きくなるのに必要なエネルギーも考える必要があります。エネルギーの必要量は、身体の大きさと、どのような生活をしているかによって異なってきます。エネルギー必要量の基本は表のとおりです。まずは、身体活動レベル「普通」で考えてみてください。クラブ活動などで、身体を動かすことが多い人は、「高い」、あまり動かないなと思う人は「軽い」の数字を参考にしてください。エネルギー摂取量が適切かどうかは、体重を測定することで予想できます。成人の人は体重が一定であれば、エネルギー摂取量とエネルギー消費量はバランスが取れていると考えられます。成長期の人は順調に体重が増えていれば良いでしょう。定期的に(2週間に1回程度)体重を測定してみてください。   もう一つ大切なことは、どれくらい食べているのかということに興味、関心を持つことです。例えば、ファミリーレストランのメニューにはエネルギー量が表示されています。また、市販のお菓子などでもエネルギー量が表示されています。是非、表示を確認する習慣を身につけてください。小さなお菓子に、意外と多くのエネルギーが含まれていることがわかります。  

  • 2013.03.28壊血病

    壊血病、ご存知ですか?ビタミンCの欠乏症として有名です。その昔(15世紀中ばから17世紀中ば)の大航海時代、たとえばヨーロッパからアフリカ、アジアなど長距離を航海する際に、多くの船員が壊血病で亡くなりました。その予防に柑橘類が良いとわかってからは、航海の途中で寄港し、柑橘類を積み込むようにしていました。柑橘類にはビタミンCが多く含まれていますね。ちなみに、若者に大人気のアニメ「ワンピース」の主人公たちが乗っている船にはミカンの木が植えられています。ビタミンCの補給を狙ってのことなのでしょうか、非常に興味があります。   さて、その壊血病、私自身は日本ではほとんど見られないと思っていました。ところが先日、小児科の先生から壊血病の子供の例を教えていただきました。どうしてその子供は壊血病になったか。原因はお母さんの厳格な食事コントロールにあります。このお母さんは子供のことを考えて、野菜や果物などもすべて加熱して(煮て)与えていました。ビタミンCは熱に弱いビタミンです。必要量を摂取することができなかったと思われます。一般的に栄養素の欠乏症は、それほど短期間で症状が出るわけではありません。今回のように長期間にわたって、厳格な食事制限を行うとまれに欠乏症が出ることがあります。   様々な食事方法、健康情報が日々いろいろなところで紹介されています。中には首をかしげたくなる様な情報も見受けられます。正しい情報を発信する。それが女子栄養大学の使命です。これからも役に立つ正しい情報をお届けしたいと思います。           【壊血病】かいけつびょう   ビタミンCの欠乏症。身体の様々な部位での出血がみられる。ビタミンCの摂取で治癒する。現在の成人のビタミンCの推奨量は100mg/日、この量は壊血病の予防はもちろん、抗酸化、心血管疾患の一次予防を視野に入れた値である。   ビタミンCは柑橘類、柿、アセロラ、キウイフルーツ、トマト、ブロッコリー、イチゴ、カリフラワー、ほうれん草、ジャガイモ、サツマイモなどに多く含まれる。   ペットボトルのお茶にも抗酸化剤として添加されていることがある。(ラベルを見てみましょう)

  • 2012.11.13骨太人生を目指そう

      前回に引き継ぎ「骨」の話です。「骨太人生」すなわちカルシウム貯金を殖やすためにはどうすればよいかを紹介します。   私たちは生まれた直後は約30gのカルシウムを持っています。これは全ておなかの中にいるときに、お母さんからもらったものです。出産後は自分でカルシウムを貯めていかなければなりません。成人のカルシウム量は男性で約1000g、女性で約700gといわれています。そしてこの貯金は18歳くらいまでに貯まります。なかでも男子では中学生の時期、女子では小学校高学年から中学生にかけての時期に年間のカルシウム貯金は最も多くなります。この時期にできるだけ貯金を増やすこと。これが骨太人生のための、最初の課題です。女子ではこの時期に生理が始まります。これもカルシウム貯金のための大切な現象です。女性ホルモンは必要以上に骨からカルシウムが溶けていかないように骨を守ってくれます。この時期にスタイルを気にしてダイエットをする人もいますが、厳禁です。必要な栄養素をしっかり取るように心がけましょう。   18歳以降、成人の時期はカルシウム貯金(骨量、骨密度)はほぼ一定に保たれますが、女子大生での調査では、大学1年生の時の骨密度と、4年生の時の骨密度を比較すると、平均では減少していました。増えていた人の特徴は、「運動をしていた」、「牛乳・乳製品をしっかりと食べていた」という特徴があります。つまり、比較的骨量が一定の成人期でも、油断すると貯金は減っていくということです。   中年以降、特に女性では更年期を境に、貯金は急激に減り始めます。これはそれまで骨を守ってくれていた女性ホルモンが減少するためです。この時期の骨量減少をできるだけ少なくすることも大切です。   高齢者では緩やかに骨量は減少していきます。運動や栄養でその減少を減らすことはできますが、全くゼロにすることはできません。   成人期以降、カルシウム貯金が減ることがわかっていただけたと思います。でも、それまでのカルシウム貯金がたくさんあったら・・・。お分かりですね、骨太人生の秘訣は、成長期にできるだけカルシウム貯金を増やしておくこと。それ以降はできるだけ貯金を減らさないようにすること、です。   カルシウム貯金、今日から始めましょう。  

  • 2012.10.26骨のある話

    さて問題です。私たちの身体には何本(何個)の骨があるでしょうか?自分の手をよく見て考えてみてください。正解はこのコーナーの最後に。   私たちの骨は、身体を支える、筋肉とともに身体を動かすなどの働きのほかに、頭や胸を思い浮かべればわかるように重要な臓器を保護しています。また、骨の中には骨髄という組織があって、ここでは血液も作られます。このように骨は多くの重要な働きをしていますが、これら以外の大切な働きが、カルシウムの貯蔵庫という役割です。カルシウムは骨を作る代表的なミネラルですが、実は身体の様々な機能を調節するという働きがあります。私たちはカルシウムがなければ生きていくことはできません。心臓がドキドキしたり、筋肉が収縮したり、神経の伝達にもカルシウムは不可欠です。   このカルシウム、私たちが海の中に住んでいた時には、周りの海水には多く含まれていますから、不足する心配はありませんでした。むしろ過剰が心配なくらいで、今でも魚はカルシウムを身体に貯めすぎない機能が発達しています。ところが陸上に上がってしまうと、周りは空気です。カルシウムがありません。もしもの時に備えて、カルシウムをどこかに貯め込んでおく必要が生まれました。そこで選ばれたのが骨です。骨には全身のカルシウムの約99%が存在します。血液や筋肉などに含まれるカルシウムは残りの1%ですが、この1%のカルシウムが重要なのです。カルシウムは尿などから毎日少しずつ出ていきます。血液中のカルシウムを一定にするためには、カルシウムを摂取する必要があります。摂取するカルシウムの量が少ないと、貯蔵庫すなわち骨からカルシウムを取り出すことになります。貯金を使うと考えてください。貯金がたくさんある人は安心ですが、少ない人は心細くなりますね。このカルシウム貯金が少なくなって、骨がスカスカになった状態が「骨粗鬆症(こつそしょうしょう)」です。骨折しやすくなってしまいます。   骨はいったん出来上がってしまうと、いつまでも変化しない堅い臓器のように見えますが、実は活発に新陳代謝をしています。毎日一定量が壊され、新しい骨が作られています。道路工事を想像していただくとわかりやすいと思います。道路の表面が傷んでくると、アスファルトをはがして、埋め直しますね。それと同じことが骨でも行われています。約3年間で全身の骨がすべて入れ替わるとも言われています。   成長期には壊すよりも、作る量のほうが多いので、骨は成長します。この時にできるだけカルシウム貯金を殖やしておくことが大切です。   この続きは次回お話しします。さて、最初の問題の答え、正解は206本(個)でした。ちなみに、片方の手のひらだけでも27個の骨でできています。そのほか肋骨は左右に12本ずつあります。背骨は26個の骨でできています。背骨の中の首の骨(頸椎)は7個ですが、哺乳類は全て7個で、首の長いキリンも同じ数です。

  • 2012.08.28オリンピックと食事

    今年は4年に1度のオリンピックの年。日本はこれまで最高の38個のメダルを、多くの種目で取ることができました。オリンピックに出場するようなトップアスリートは、厳しいトレーニングを行い、肉体的、精神的にも非常に鍛えられている選手が多いと思います。その身体作りや、トレーニングの基本となるのが「食事」です。今回のオリンピックでも、選手村の食事以外に、国として選手の食事をサポートしていました。   私たち女子栄養大学でも、いくつかのチームの栄養サポートを行っていますが、選手によく言うことは「食べることもトレーニングの一つである」ということです。食に対する意識の高い選手ほど、故障も少なく、良いコンディションで、いい成績を上げてくれます。   通常の練習時には、その目的に応じて食事の内容を工夫します。体重、筋肉量を増やすためには、エネルギーはもちろん、タンパク質の摂取にも気を配る必要があります。場合によってはプロテインなどを使用することもあるでしょう。コンディションを整えるにはビタミンやミネラルが必須です。これらを十分に摂取できるメニューが求められます。   試合期には、エネルギー源となる、炭水化物の摂取が重要になります。日本人の場合には「おにぎり」や「もち」など、非常に親しみやすいメニューがありますね。今回のオリンピックでも、「おにぎり」は活躍していたようです。いろいろな具と合わせて食べることで、ナトリウムなどの電解質の補給にもなります。   練習や試合の後には、できるだけ早くに食事を取ることが勧められています。食事までの間隔があく場合には、捕食として糖質とタンパク質を摂取することが勧められます。十分な水分補給も必要です。   オリンピックは、トップアスリートの競演ですが、その食に対する取り組みは、私たち一般の人も参考にできることがたくさんあります。でも、一番の基本は、「食べることもトレーニングの一つである」という意識を持つことです。練習メニューに対して好き嫌いは言いませんよね。それと同じで、食事に対しても好き嫌いはできるだけ少なくして、何でも食べること、これが大切です。   今回のひとことは、「食べることもトレーニングの一つである」。好き嫌いなく、いろいろな食品を食べること。これがバランスの良い食事につながります。   このコーナーを読んでいただけた人の中から、4年後、8年後のオリンピックに出場する人が出てきてくれるといいな。