ちょこっと栄養学(2/2)
今年は4年に1度のオリンピックの年。日本はこれまで最高の38個のメダルを、多くの種目で取ることができました。オリンピックに出場するようなトップアスリートは、厳しいトレーニングを行い、肉体的、精神的にも非常に鍛えられている選手が多いと思います。その身体作りや、トレーニングの基本となるのが「食事」です。今回のオリンピックでも、選手村の食事以外に、国として選手の食事をサポートしていました。   私たち女子栄養大学でも、いくつかのチームの栄養サポートを行っていますが、選手によく言うことは「食べることもトレーニングの一つである」ということです。食に対する意識の高い選手ほど、故障も少なく、良いコンディションで、いい成績を上げてくれます。   通常の練習時には、その目的に応じて食事の内容を工夫します。体重、筋肉量を増やすためには、エネルギーはもちろん、タンパク質の摂取にも気を配る必要があります。場合によってはプロテインなどを使用することもあるでしょう。コンディションを整えるにはビタミンやミネラルが必須です。これらを十分に摂取できるメニューが求められます。   試合期には、エネルギー源となる、炭水化物の摂取が重要になります。日本人の場合には「おにぎり」や「もち」など、非常に親しみやすいメニューがありますね。今回のオリンピックでも、「おにぎり」は活躍していたようです。いろいろな具と合わせて食べることで、ナトリウムなどの電解質の補給にもなります。   練習や試合の後には、できるだけ早くに食事を取ることが勧められています。食事までの間隔があく場合には、捕食として糖質とタンパク質を摂取することが勧められます。十分な水分補給も必要です。   オリンピックは、トップアスリートの競演ですが、その食に対する取り組みは、私たち一般の人も参考にできることがたくさんあります。でも、一番の基本は、「食べることもトレーニングの一つである」という意識を持つことです。練習メニューに対して好き嫌いは言いませんよね。それと同じで、食事に対しても好き嫌いはできるだけ少なくして、何でも食べること、これが大切です。   今回のひとことは、「食べることもトレーニングの一つである」。好き嫌いなく、いろいろな食品を食べること。これがバランスの良い食事につながります。   このコーナーを読んでいただけた人の中から、4年後、8年後のオリンピックに出場する人が出てきてくれるといいな。  
私たちが健康を維持・増進するために、また成長期では発育・発達するために、何をどれだけ食べればよいか、その基準を示したものが、「日本人の食事摂取基準」で、厚生労働省から発表されています。以前は「栄養所要量」が発表されていましたが、「食事摂取基準」は栄養所要量がより進化、バージョンアップしたものと考えることができます。 栄養所要量は「不足しない、欠乏しない」ためには、最低どれくらい食べなければならないかということが中心でした。食糧難の時代の考え方ですね。現在は、飽食の時代。一部では欠乏も心配ですが、その一方で過剰摂取、食べすぎも心配です。また、バランスも大切ですね。いろいろな生活習慣病、メタボリックシンドロームなどの発症には食事が大きく関わっています。 そこで、食事摂取基準では、不足や欠乏しないための摂取量の他に、摂りすぎにならない摂取量、さらに生活習慣病の一次予防のための摂取量も示されています。以前の栄養所要量よりも複雑そうに見えますが、正しく理解すれば非常に有用な指標です。 このコーナーでも、主な栄養素について、少しずつ紹介していきたいと思っています。 今回はまず、最も基本となるエネルギーについてご紹介します。エネルギーは取りすぎると体重が増加しますし、足りなければ体重が減少します。成長期には身体が大きくなるのに必要なエネルギーも考える必要があります。エネルギーの必要量は、身体の大きさと、どのような生活をしているかによって異なってきます。エネルギー必要量の基本は表のとおりです。まずは、身体活動レベル「普通」で考えてみてください。クラブ活動などで、身体を動かすことが多い人は、「高い」、あまり動かないなと思う人は「軽い」の数字を参考にしてください。エネルギー摂取量が適切かどうかは、体重を測定することで予想できます。成人の人は体重が一定であれば、エネルギー摂取量とエネルギー消費量はバランスが取れていると考えられます。成長期の人は順調に体重が増えていれば良いでしょう。定期的に(2週間に1回程度)体重を測定してみてください。   もう一つ大切なことは、どれくらい食べているのかということに興味、関心を持つことです。例えば、ファミリーレストランのメニューにはエネルギー量が表示されています。また、市販のお菓子などでもエネルギー量が表示されています。是非、表示を確認する習慣を身につけてください。小さなお菓子に、意外と多くのエネルギーが含まれていることがわかります。  
正しい食べ方の基本は「バランスの良い食事」といわれます。 でも、この「バランスが良い」とはどのような事でしょうか? 栄養学的には、エネルギーが適切で、必要な栄養素が適量含まれている食事がバランスの良い食事ということになります。手軽にこのバランスを評価するには、1回の食事、あるいは1日の食事で、できるだけ多くの種類の食品を摂取しているかに気を付けてください。単品よりも主食、主菜、副菜、汁物などのある定食スタイルがお勧めです。麺類や丼ものなどの単品の場合には、できるだけ多くの種類の具の入っているものがお勧め。また副菜を加えるようにしましょう。例えば牛丼の場合には、サラダを追加して、牛乳、ヨーグルト、野菜ジュースなどをプラスすると良いでしょう。そして、1週間単位くらいで、食品数を集計してみて、よりたくさんの種類の食品が登場した週ほど、バランスはよかったと考えることができます。 「エネルギーが適切で、必要な栄養素が適量含まれている食事」、エネルギーや栄養素の必要量は性、年齢、体格、身体活動レベル(身体をどれくらい動かしているか)などによって異なります。この値を示したものが、「日本人の食事摂取基準」で、厚生労働省から5年に1回改定されて発表されています。現在使用されているものは、「日本人の食事摂取基準2010年版」で、2015年の3月まで使用される予定です。この食事摂取基準については次回のちょこっと栄養学で紹介します。
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