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〈平成29年度第4回「元気はつらつ市民講座」開催報告〉

 

〜家庭菜園のコツとおいしい焼き芋〜
 女子栄養大学香友会主催「第4回元気はつらつ市民講座」が11月29日(水)に香友会館にて開催されました。女子栄養大学大学農園の管理者である新井眞一先生を講師にお招きし「家庭菜園のコツとおいしい焼き芋」をテーマに講演をしていただきました。

 新井先生は埼玉県職員を退職後本学に勤務されています。また、ホームページ「埼玉の農作物病害虫写真集」を開設されており、農家や指導機関に広く活用されているようです。
  大学農園は坂戸キャンパスから東に徒歩12分のところにあります。敷地面積は3,026uで、畑はきれいに区画され、年に約40種類の野菜を栽培しているそうです。学生の選択科目に「農業体験」の講座があり、学生は自分の畑を持ち、畑づくり、栽培管理、収穫等の作業を体験します。

新井眞一先生
 講演では、家庭菜園のコツとして、畑の土作りの重要性、肥料の適切な選び方等のお話がありました。参加者との質疑応答では、家庭菜園では常識と思われていたことが間違っていたり、意味のない無駄な作業をしていたことがわかり、みなさん驚きの中に新たな発見があったようです。実際に畑に立たれた時には役立つことでしょう。
 最後に農園で収穫された野菜を中心にした料理の試食がありました。メニューは、

・鶏肉入り菊菜飯
・冬瓜の海老あんかけ
・香り豚汁
・焼き芋三種

 鶏肉入り菊菜飯は、春菊の色があざやかで香りよくいただけました。冬瓜の海老あんかけは、淡白な冬瓜にとろりとした海老あんがよく絡み美味しくいただけました。香り豚汁は、野菜たっぷりで健康的。にんにくを加えたことで香りが食欲をそそり温まる感じがしました。焼き芋は、べにはるか、安納、シルクスィートの三種類をいただきました。パティスリーオーブンを使用して、180℃90分で焼き上げるそうです。どれもねっとりとした食感と濃厚な甘みでお菓子をいただいたような満足感がありました。
 新井先生の語り口はたいへん楽しく、本には書かれていない菜園作りのコツもうかがえて得した気分になりました。新井先生ありがとうございました。

〔取材 香友会広報部〕

 

 

〈平成29年度第3回「専門家講座」開催報告〉

 

食と健康の情報をもっと魅力的に、もっとわかりやすく!
雑誌編集の手法から学ぶ「見せ方」のワザ
〜『栄養と料理』の制作過程から〜

 平成29年11月23日(木・祝)、平成29年度第3回専門家講座が、女子栄養大学駒込校舎にある香川綾記念生涯学習センター で開催されました。テーマは“食と健康の情報をもっと魅力的に、もっとわかりやすく! 雑誌編集の手法から学ぶ「見せ方」のワザ 〜『栄養と料理』の制作過程から〜”です。講師は月刊『栄養と料理』(女子栄養大学出版部)編集長の浜岡さおりさんです(浜岡さんは本学栄養学部栄養科学専攻を卒業し出版部に入職)。

 第1部では、1冊の雑誌ができるまでの過程について『栄養と料理』の実際の編集過程をたどりながら理解し、さらに、わかりやすく魅力的な誌面にまとめるための方法を考えていきました。
雑誌作りは「企画会議」→「プランニング」→「取材・撮影」→「原稿作成」→「入稿・校了」の流れで進んでいきます。
講師の浜岡さおり先生
 企画会議は、その号に掲載する記事の内容をスタッフ全員がほぼ1日をかけて決めていく作業です。雑誌が目指す大きな方向性は年間計画として編集長が決定し、その方向に沿ってテーマを考えますが、限られた誌面の中で伝えられる情報は限られているため、そのテーマの何を取り上げ、何を捨てるかが大切なポイントになります。

 次にプランニング。テーマごとに取材から撮影、原稿をまとめるまでのスケジュールと予算を決めること、“ラフ”と呼ばれるページのプランを作ること、そして筆者やカメラマンを決めることまでを行います。浜岡さんは、中でもラフを明確に作ることが仕事の流れをスムーズにするために大切だと強調します。そのテーマで強調したいことを最も目立たせるために、タイトルの位置や文字の書体・サイズ、写真やイラストをどのように配するかなど、雑誌が出来上がったときのページのイメージを大まかに絵にしたものがラフです。ラフがあることで、筆者やカメラマンに、そのページをまとめるために必要十分な原稿や写真のボリュームを伝えることができるからです。取材が終わった後で、この写真が必要だったなどと後悔しないためにも大事であるとよくわかりました。
 取材や撮影が終わるといよいよ原稿作成となります。原稿作成というと文章を書くことばかりが思い浮かびますが、ここで大切なのは情報のチェックだといいます。@その原稿がオリジナルであることの確認、Aあいまいな点があれば調べ直したり識者に確認したりして明確にする、B引用した文章や写真の著作権・版権の許諾をとること、が主なチェックポイントとなります。書きあがった原稿は、意味が正しく伝わっているか、“テニオハ”に誤りがないかなど、文章としての体裁を整えます。その後、ラフに基づいてレイアウトしたものを印刷所に渡し、校正をした後、印刷・製本されて1冊の雑誌として完成します。『栄養と料理』では印刷に入る前の最後の校正作業(校了)は約160ページを2日間かけて読むそうです。

 第2部は、魅力的でわかりやすいチラシやパンフレットを作るヒントを、実習を交えて実践的に教えていただきました。
 まずわかりやすさを実現するには、見せたいものをきちんと見せるデザイン力、意味が正しく伝わる伝達力、ページの中に流れを作る構成力が大切です。ラフがあればそのイメージが確認できるので、明確なラフを描くことが必要なわけです。そして魅力的な紙面を作るためのヒントは、美しいレイアウトに敏感になることです。文字は大きさや書体はもちろんですが、行間の広い狭いでもずいぶん印象が変わります。普段からきれいな雑誌やポスターを見ることを心がけ、気に入ったレイアウトに出会ったらジャンルにこだわらず書体や文字を真似てみると魅力的なデザインに近づけます。
  また普段使用しているパソコンやカメラは、その機能を十分に理解し使いこなせるまで繰り返し練習すると媒体作りの強い味方になってくれるそうです。

 

 最後に、“ダイエット”と“クリスマス料理”をテーマに受講者一人ひとりが実際に見開き2ページのラフを考える実習を行いました。受講者何人かのラフを映像で共有し、編集意図を確認することで、テーマの切り取り方の違いを実感することができました。

 今回参加された受講生の職場では、日々、さまざまな媒体がつくられていることでしょう。この講座でプロの編集者の仕事の一端に触れ、よりわかりやすく的確な情報が発信されることを期待したいと思います。

〔取材 香友会広報部〕

 

 

〈平成29年度第3回「元気はつらつ市民講座」開催報告〉

 

〜レシピを読み解きおいしく調理〜
 平成29年11月2日(木)10時30分より、香友会館において、本年度第3回目となる「元気はつらつ市民講座」が開講されました。女子栄養大学准教授の奥嶋佐知子先生を講師に迎え、「レシピを読み解きおいしく調理」というテーマで、講義だけでなく、料理のデモンストレーションや試食も含めた盛りだくさんの内容でした。
講師の奥嶋佐知子先生  

 今ではレシピを探すのがとても楽になりました。レシピ本だけでなく、インターネット上でも簡単にレシピを検索することができるようになっています。しかし、あまりにも情報が膨大で、本当に知りたいレシピを見つけ出すことは至難の業です。そこで、レシピのどのような部分を見れば自分の好みの味を見つけることができるのか、また、減塩と適塩の違いと味付けのポイントをご講義いただきました。

 同じ「炊き込みご飯」でもレシピは様々。そこで注目していくのが「調味パーセント」です。調味パーセントは、女子栄養大学の創設者である香川綾先生が誰でもおいしく料理が作れるようになるために考案されたもので、女子栄養大学の学生は全員習っています。(詳しく知りたい方は『栄養と料理』をご覧ください。どの号にも載っていますよ!)この調味パーセントは、それだけではなく調味料からどれだけの塩分量を摂取したかも知ることができるのです。

 平成28年の国民健康・栄養調査では、食塩の平均摂取量が「男性10.8g/日」「女性が9.2g/日」となっており、10年前と比べて1gほど減っているもののまだ目標値(1日で男性8g未満、女性7g未満)には届いていません。では、毎日どれくらいの塩分をとっているのか知りたくはありませんか? ここで、調味パーセントの出番です。大さじや小さじを正しく使うことで、いつもの味を簡単に誰でも再現できるだけでなく、健康維持にも役立つことを教えていただきました。

 デモンストレーションでは、普段行っているような下ごしらえがどのような役割を果たしているのか、また、本当に必要な処理と省いても味に支障がない処理や、香りをつける、酸味や辛みや旨味を足すなど、少しの工夫で薄味でもおいしく食事を楽しむことができるポイントを、調理学の視点からご教示いただき、目から鱗!の時間となりました。実際に試食された方からは「薄味でもおいしい!」とのお声が多く上がりました。

 我慢せずにおいしく減塩をし、すぐに日々のお料理に生かしていけるような講座でした。
  お越しいただきました皆様をはじめ、講師の奥嶋先生、また、スタッフの皆様、どうもありがとうございました。

〔取材 香友会広報部〕

 

 

〈平成29年度第2回「専門家講座」開催報告〉

 

東京オリンピックに向けて
フードサービスに係る専門職として取り組むべき課題

 平成29年10月25日(日)13時30分より、女子栄養大学駒込校舎において、第2回「専門家講座」が開催されました。テーマは「東京オリンピックに向けてフードサービスに係る専門職として取り組むべき課題」で、多くの卒業生や在学生合わせて100名近くが受講しました。今回は本学教授の石田裕美先生がコーディネーターで、本学の卒業生である亀井明子氏と東京都市場衛生検査所の北畠安理佐先生を講師として講義をしていただいた後、シダックス(株)の高戸良之氏を交えて全体ディスカッションを行いました。

1.選手のピーキングにあわせた食事管理・栄養管理の課題
   −多職種連携の中でマネジメントの課題―
  亀井明子先生(国立スポーツ科学センタースポーツ科学部 先任研究員)

 東京オリンピック2020大会に向けて、大会期間中の食事やホストタウンの登録等について話をして下さり、フードサービスに関する活動は広範囲にわたることを知ることが出来ました。期間中の食事は選手村内だけでなく、競技会場内外、各国のサポート拠点、報道関係者の食事やボランティアの食事等があり、その食環境の整備は重要になってきます。また大会開催に向け、参加国・地域との相互交流を図る「ホストタウン」についての話をお聞きました。詳細は内閣府ホームページをご覧くださいとのことでした。
 またスポーツ栄養分野における国際競技大会、最終調整の場としての食環境の整備について、リオデジャネイロオリンピック2016を例にしてお話いただきました。ハイパフォーマンスサポートセンターが本格的に設置され、コンディションニングミールやリカバリーミール(持ち出し用補食)などの提供が行われたとのことでした。リカバリーミールボックスにはおにぎりやバナナ、オレンジジュースなどをクーラーボックスに入れ、品質管理をしたそうです。また選手村のメインダイニングではいろいろな国や宗教に対応した食事を提供しており、ハラル(イスラム教徒向けの食事)・コーシャ(ユダヤ教徒向けの食事)コーナーやアジア料理コーナー、グルテンフリーパンコーナーなども設置されたそうです。
  東京オリンピックでは、スポーツ以外も含めた様々な分野でポジティブなレガシー(遺産)を残す大会として成功させるために、これからいろいろな準備が具体的に進み、安心して食事のとれる環境を整えていくそうです。

 

2.安全・安心なフードサービスに向けての課題
   −生産・流通・保管・調理・提供のプロセスにおける食品衛生の課題―
   北畠安理佐先生(東京都市場衛生検査所検査課 衛生指導担当)

 北畠先生の勤務先である築地市場の紹介の後、東京都の食品監視体制について説明がありました。食品関係施設に対する監視指導や食中毒情報の受付などがありますが、食中毒に関しては365日24時間体制で情報を受け付けているそうです。月別食中毒の状況をみると、5月中旬、8−9月、12−1月とピークがあるものの、年間を通して発生しています。今年の2月に発生したキザミのりを原因としたノロウイルス食中毒を例にして、食中毒調査のプロセスについて解説してくださいました。事業者による食品の安全の自主管理として、日本ではHACCP、FSSC、ISO、GAPなどがありますが、諸外国ではPASSという基準を使っているそうです。
 食の安全・安心をめざし、東京オリンピックにむけて、今後の課題は食中毒と食品テロの防止であるということでした。

 シダックスの高良先生からは、食材由来のドーピングの問題に関する解説と、ハラル認証の食材調達の課題についてお話がありました。価格が高く使用量が少ないものでも常備していく必要があるとのことでした。
 最後の全体ディスカッションでは、東京オリンピックでメダルをとるためには、情報の共有化がポイントで、それぞれがやれることを双方向で確認していくことが重要であるという話がでました。また方針を請け負った側は、クライアントの要望にあわせて安心・安全な食事を提供していく必要があるというまとめで終了しました。
〔取材 香友会広報部〕

 

〈平成29年度第2回「元気はつらつ市民講座」開催報告〉

 

〜身近な発酵食品を楽しむ〜
 平成29年9月5日(火)10時30分より、香友会館において、講師に女子栄養大学栄養科学研究所教授の根岸由紀子先生をお招きして、「身近な発酵食品を楽しむ」をテーマに元気はつらつ市民講座が開催されました。
発酵食品についての講義を聴き、その後先生が講義内容に合わせて考えられたレシピの料理を試食しました。耳から情報を得て舌で味を体験できるこの講座は毎回とても好評で、今回も坂戸市や鶴ヶ島市など、香友会館の近隣にお住まいの方々(50才〜70才代)が多数参加しました。
講師の根岸由紀子先生

   
  発酵食品とは、食材を微生物や酵素などの作用で発酵させ加工した食品をいいます。発酵を利用して食品の風味を変化させたり、硬さを柔らかくします。また冷蔵庫や保存料がなかった時代には、保存食を作るという目的でも発酵は使われてきました。発酵食品は日本の食事の中で独特の変化を遂げ、日本の伝統食品として大事にされ今日まで受け継がれてきました。発酵は有益な方向に利用すること。それに対して腐敗は人にとって有害な物質に変化する現象をいいます。

 発酵食品には
・主にカビの作用による食品=鰹節 てんぺ 甘酒 他
・主に酵母の作用による食品=ビール ワイン ウイスキー 他
・主に細菌の作用による食品=チーズ 納豆 くさや 塩辛 他 
・数種類が作用している食品=醤油 キムチ 味噌 清酒 漬物 他
その他、紅茶、アンチョビなども発酵を利用しています。この日の試食に使われていた麹は、蒸した米や麦に麹菌がはえたもので、麹菌が食品中のでんぷんをブドウ糖に、タンパク質をアミノ酸に分解することで甘味や旨味味を作る作用があります。


〈試食〉 献立

*ご飯2種類食べ比べ(甘味の違いが出る?)
1.
2.
「麹」を入れたもの
普通のご飯
普通のご飯に比べて1.の「麹」を入れた方はとても甘くなりました。
*塩麹で和える野菜(塩麹の味見として)
1.
2.
3.
きゅうり(千切りしたもの)
もやし(ゆでたもの)
人参(千切りしてごま油で炒めたもの)

塩麹は麹と塩を混ぜたもので3種類の違う食材に使いましたが、どれも美味しかったです、ふつうに塩を使うより塩麹を使うことで塩分を減らすことができました。

*鶏肉の塩麹焼き

程よい塩分の味付けで鶏肉が柔らかかったです。

*テンペのから揚げ(白テンペを使用)

テンペは大豆をテンペ菌で発酵させたもので、納豆に比べて癖がなく食べやすかったです。

*甘酒(米と麹で作ったもの)

砂糖を使っていなくてもほのかな優しい甘みがありました。

*テンペヨーグルト(ほぐしたテンペをヨーグルトにのせたもの)

ヨーグルトとテンペの食べ方は参考になりました。

*味噌の食べ比べ(白味噌、八丁味噌、九州麦味噌、5年味噌)

4種類の味噌を食べ比べてみました。同じ味噌でもそれぞれ風味が異なり、特に5年味噌は味が濃厚で、5年経っても食べる事かできる保存性はすごいと思いました。

 毎日何気なく食べている食品の中に、発酵食品がこのようにたくさんあったとは驚きました。発酵は食品の風味を変えるだけのものではなく、栄養価を高めたり保存するためにも考えられたものでした。今回の講座では発酵という化学反応と共に、先人達の知恵のすばらしさに触れることができました。 
  気軽に食品の専門的な知識を学べるこの市民講座を、多くの人にお勧めしたいと思いました。

〔取材 香友会広報部〕

 

 

〈平成29年度第1回「専門家講座」開催報告〉

 

〜食品開発の最新情報〜

 平成29年9月24日(日)13時30分より、女子栄養大学駒込校舎において、第1回「専門家講座」が開催されました。講師は、西村敏英先生と三浦理代先生のお二人。「食品開発の最新情報」というホットなテーマに多くの在学生も聴講していました。


■食品開発の最新情報:食べ物のおいしさを引き出すコクを科学する!

 西村敏英先生(女子栄養大学教授、うま味インフォメーションセンター副理事長)
   西村先生は日本発のコクを世界に発信するために、コクの「見える化」に向けて研究をされています。今回の講義でコクやうま味という言葉の定義を改めて学び直すことができました。

[おいしさを決める要因は、味・香り・食感、そしてコク]
 おいしさの判断は個人で異なり、食習慣の違いや価値観、体調でも変化します。味と香りを合わせて味わいといいますが、おいしさを表現する言葉としてよく使われるコクは食べ物のよさを決める要因であって、おいしさと同音異義語ではないとのことです。コクとは、味・香り・食感により多くの刺激が与えられた結果、複雑さ、口の中での広がり、持続性を感じた時に認識できる現象と定義されます。
(体験1)フルーツ味のキャンディの香りと味を体感
目で見て味を連想し香りを嗅ぎ口に入れて味わいました。鼻をつまむと香りはわからなくなりました。香りの情報を鼻腔細胞で受け取り、口の中で味を感じるメカニズムが理解できました。

[コクの増強物質はうま味物質]
 基本五味のうま味(Umami)はうま味物質であり、コクの増強物質です。おいしさを表現する旨み(旨味)(Deliciousness)と使い分けをします。
 コクはうま味物質の相乗効果によって増強します。食べ物に含まれるうま味物質は、植物性に多いグルタミン酸やグアニル酸、動物性に多いイノシン酸です。実際の調理では、和食は昆布やかつおぶし等、西洋料理は玉ねぎ、にんじん、セロリ、肉類。中国料理では長ねぎ、キャベツ、鶏肉等の食材がよく使われます。うま味物質を添加することでコクが強まりますが、コクが強すぎるとくどさやしつこさにもつながります。ちなみに、市販されているうま味調味料は、砂糖キビを微生物の力により発酵生成したものです。グルタミン酸とイノシン酸の含有量が異なるものや、うま味物質にかつおぶしや昆布などの香りをプラスした商品もあります。
(体験2)「うま味」と「旨味」を体験
ダシなしの味噌汁に適量のうま味物質(うま味)を加えるとおいしくなる(旨味)ことを確認しました。また、うま味物質である白い粉末を単独で味わい、うま味物質を添加した味噌汁との味わいの違いを比較しました。

[コクを有する食品の分析例:脂質の効用とコクの増強効果]
 コクは熟成や発酵、加熱などで形成されます。肉を加熱すると香り成分が出て(複雑さ)、さらに肉の脂は香りを保持してコクを増強させ、口の中の粘膜に脂が残って刺激が長く続きます(広がり・持続性)。

[専門家として現場で取り入れたい工夫]
 会場からの質問に関連させ、素材の味わいを引き出す工夫と、提供する対象に合わせてうまみ調味料を使いこなすスキルが重要であるとまとめてくださいました。さらに食習慣の多様性がおいしさの評価につながることから、よく噛んで素材の味わいを感じ、噛むことで旨み(おいしさ)が引き出されることを食教育で指導し、素材の味わいを最大限に引き出すコツを身につけてほしいと話されました。商品開発においても、地域や対象を考慮して塩分やコクの強さを加減する必要があるということです。本講義を実践に役立てていきたいと思いました。


■食品開発の最新情報:宇宙日本食へのチャレンジ
三浦理代先生(女子栄養大学名誉教授、有人サポート委員会宇宙食分科会専門委員)
 日本食は2003年にNASAの標準メニューに組み込まれ、加工技術と品質保証が認められ「宇宙日本食」と名付けられました。今回は宇宙食開発の歴史から、健康長寿食としての和食が宇宙食に認められたトピックスを解説いただきました。

[宇宙食は厳しい環境に耐える究極の非常食]
 宇宙食は宇宙飛行士の健康を守る食事であり、高度な衛生性と長期保存性が要求され、包装容器にも厳しい条件があり軽量な包装が工夫されています。加温器はあるものの調理設備が限られているため、電子レンジや冷凍冷蔵庫を使わない乾燥食品やレトルト食品が主体で、微小重力環境のなかで飛び散らない粘度をもたせています。加工品が中心ですが、フレッシュな野菜や果物が届けられることもあり、長期滞在者に喜ばれているそうです。

[宇宙食に求められる栄養学的特徴と機能性の強化]
 宇宙日本食は、飛行士の栄養要求量を満たし身体に役立つ機能をもった食事です。放射線汚染により酸化ストレスが上昇する宇宙環境では、活性酸素から身を守る抗酸化力をもった食材を増やす工夫が必要です。放射性防御食としては、ウコン(ターメリック)の色素であるクルクミンの抗酸化力を期待し、ウコン2倍量をカレーに加えた抗酸化メニューが考案され、また、骨量減少を考慮したカルシウム強化食(ビタミンD、イソフラボン添加)も開発されました。

[宇宙日本食に認証された食品は14社30品目]
 宇宙空間での楽しみの一つは食事です。そのなかでもヘルシーな和食は海外の飛行士にも人気があり、また、わが国が考案したカレーは好評です。3種類のカレー(ビーフカレー、ポークカレー、チキンカレー)は味覚が鈍くなる宇宙滞在中にもおいしく食べてもらえるように香辛料を工夫したスパイシーなカレーです。その他、バランス栄養バー、低アミロース米を使った赤飯や山菜おこわ、鮭おにぎり、粘性の強いおかゆ、マヨネーズ(生野菜用)、しょうゆラーメン、ワカメスープ(完食しやすいようにワカメを小さくカット)等です。缶詰はサバのみそ煮、イワシのトマト煮 サンマのかば焼きが認証されています。嗜好品としては、キャンディ、ベークドチョコ、小倉羊羹、キシリトールガム、抗酸化物質を多く含む濃縮プルーン、緑茶茶葉から抽出した顆粒茶や吸い口をつけた飲料などが認証され、2017年8月には新たに亀田製菓のピーナッツ入り「柿の種」がプラスされたということです。 

[健康長寿のヒントは宇宙にある]
 2017年末から国際宇宙ステーションに滞在予定の金井宣茂宇宙飛行士には、健康長寿のヒントを研究する新たなミッションがあります。重力がない状況で筋力低下をいかに早く回復させるかというノウハウや、免疫力を高める乳酸菌の実験です。宇宙空間でのさまざまな研究が、高齢化社会の私たちの健康にも多いに役立てられると期待されています。 

〔取材 香友会広報部〕

 



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