令和3年度 食文化栄養学実習

高橋勝美ゼミ■地域食産業学研究室


廃棄物「おから」の有効利用法を考える

  皆さんは普段おからを利用していますか?おからとは大豆から豆腐を製造する過程で排出される豆乳の搾りかすであり現在は産業廃棄物として分類されています。年間に排出される膨大な量のおからは、多くが飼料や肥料に利用され食用での利用は1%以下であると言われています。おからには良質なたんぱく質をはじめ栄養素が豊富に含まれているにも関わらずなぜ需要が低いのでしょうか。
  中間発表では需要が低い原因の一つとして挙げられる保存性について研究し、おからを長持ちさせる方法として冷凍保存が最も適しているということが分かりました。次におからの食用としての可能性に着目しました。代表的なおから料理は卯の花、ポテトサラダ風などがありますが、おから独特のぱさぱさした食感や豆臭さなどから苦手意識を持っている人も少なくありません。今回の研究ではおから料理の提案や、おからと相性が良い組み合わせについて発表していきます。おからにはパウダー、生おから、冷凍し、その後煎って水分を飛ばした乾燥おからなど様々な形態が存在します。小麦粉や介護食用のとろみ剤、パン粉などの代用として、おからはどの程度通用するのか、食感や味に変化はあるのか、代用していない料理と比べ栄養素はどの程度違うのかなど比較をした結果、料理によっては大豆臭さが残ってしまったり、小麦粉に比べて油を吸いすぎてしまうなどのメリット、デメリットが多くありました。
  また、前回の研究でおからと飲み物の食味の改善効果の検証を行ったところ、おからは豆乳と相性が良いということが分かりました。豆乳もおからも同じ大豆から作られています。前回の検証結果をもとに大豆整品×おからの組み合わせでの検証も行いました。そしておからの利用価値を高めることで健康かつ、産業廃棄物を減らし環境面も考えられるきっかけなれば良いと思います。

ワインはダイエット中に飲んでもいいお酒?
和食やフルーツと合わせておいしく健康的に

  大学生になってから運動する機会が減り、ワインが好きでよく飲んでいるため、ダイエットのために筋トレを始めるようになった。しかし、筋トレについて調べているとお酒は筋肉の生成を阻害するということを知った。ワインが好きな私は、ダイエット中でも健康でおいしく飲める方法はないかと考えた。
  ワインについて調べてみると、ワインは他のお酒と比べるとエネルギーが低めで糖質が少ないことを知った。また、ぶどうに含まれているポリフェノールは血液循環を良くしてくれて代謝を高めてくれるなど、様々な健康効果があることを見つけることができた。これらのことから、ワインはダイエット中に飲むお酒に最適と言えるのではないだろうか。そこで、おつまみを高栄養低エネルギーな和食にすることで健康的でおいしくワインが飲めるのではないかと考えた。更に、ワインにはチーズや肉料理という固定概念を払拭することができ、ワインの可能性を広げられるのではないかと思い、研究を進めることにした。
  和食は、肉じゃがやひじきなど様々なものと合わた。初めは抵抗感があったが、和食とワインの組み合わせはどれも良く、野菜やタンパク質が豊富なのでダイエット中でも罪悪感なく飲むことができた。更に、飲む量を調節するためにワインと炭酸のカクテルを作り試飲した。ワインの量を炭酸で減らすことでダイエットにも良く、ワインに苦手意識がある人でも手軽に飲めるのではないかと思った。また、ワインにフルーツを入れることで美容にも良いのではと思い、ぶどうやオレンジなどを入れて試飲した。どのフルーツとも相性がとても良く、ワインの可能性はどこまでも広がっていくと感じた。
  ワインにはチーズや肉料理だと思う人やワインに苦手意識がある人はこの発表を聞いて新しい発見をして貰えたら嬉しい。

団子の世界
月見団子と焼団子

  私の地元である所沢には、名物のひとつに焼団子があります。私が身近に感じている団子をより詳しく知りたいと思い、団子をテーマとして研究を進めています。
  6月の中間発表では、花見団子について調べ発表しました。花見団子は、豊臣秀吉が考案したという説があり、花見で女性にも楽しんでもらえるように考えられたと言われています。3つの色にも意味があることがわかりました。また、その当時の花見団子と現代の花見団子とを比較しました。材料に変化があり、現代では着色料を使用していることが多く、色が鮮やかになっていることがわかりました。同じようにもっと先の未来では、更に違った変化があるかもしれません。
  12月は、主に月見団子について発表します。月見団子は、花見団子と違い地域ごとに異なることがわかりました。私が思う月見団子は、丸くて白い団子がピラミッド状に並べてあるものです。しかし、ヘモグロビンのように真ん中がへこんだ形の団子や、しずく型で茶色とピンクと白の3つの団子、里芋のような形で餡子が上にのった団子、餡子が中に入っている団子、積んであるのではなく串になっている団子、そもそも団子ではなくお饅頭を使ったものなど、様々です。花見団子は花見自体を楽しむために考えられたのに対し、月見団子は土地の豊饒や神への祈りを込めるものです。地域ごとに願いは異なり、その土地土地の願いを込めた月見団子をつくっているのではないかと考察しています。
  発表の最後に、この研究のまとめとして、地元の焼団子を並べた新たな月見団子を提案したいと考えています。地域ごとに特色のある月見団子だからこそ、焼団子で月見をしても良いのではないでしょうか。そして、その団子にどんな願いを込めるのか、私なりの月見団子として発表します。

摂食量の少ない人への優しさ

  「外食、ちょっと憂鬱だなあ・・・」そんな私の悩みから、この研究はスタートしました。生まれつき少食で、出された料理が食べきれず、申し訳ないなと思うことが多々ありました。食べ残しをせずに済む方法はないだろうかと日々思いを巡らせていたことから今回の研究テーマが決まりました。
  中間発表会では、外食は量が多いという少食の人の本音や、外食を持ち帰れる店があるという友人の話を聞いて、レストランの食べ残しを持ち帰れるもったいないパックの取り組みを中心に研究し、発表しました。これは、注文した料理が食べきれなかった場合、持ち帰るための容器を無料で提供するという取り組みです。外食で食べきれないのが心苦しい、何か解決方法はないのか、という視点からこの取り組みにたどり着きましたが、元々食品ロスを減らすために企業が始めたものだとわかりました。そこから、少食の人の悩みを解決することが食品ロスを減らすことにもつながるということに気づきました。ひとりひとりが無駄を出さず、食べきれる分だけ食べるというのが実現できれば食品ロス削減になり、持続可能な社会にもつながっていきます。そのためには企業や個人それぞれが食品ロスを減らそうという意識を持つことが大事だと考えます。そこで今回は中間発表とは少し方向性を変え、日本の食品ロス問題を中心にまとめました。現在の日本の食品ロスの実態や周りの人の意識を調査し、今後どのように食品ロスと向き合っていくべきかを考察しました。身近な人にアンケートを取り、食品ロスへの意識、良く捨ててしまう食材などからその解決策を考えています。発表会では現在考えている解決案も発表し、みなさんに食品ロスについて私の考えをお伝えしたいと思います。

食卓コーディネート

  皆さんの目の前に家族の手料理があります。さて、写真を撮りますか?
  私は、母が作った料理を撮ることが増えました。しかし、外食先で撮った写真と比べると、母の料理はおいしそうにみえません。私は、写真の中でもおいしそうに見せるにはどうしたら良いかと考え、ランチョンマットを使った食卓コーディネートの研究をすることにしました。コーディネートをする際は、相手を知り、軸を作ることが必要だと思います。アルバイトをしているアパレルの接客では、お客様の好みや身に付けているものを基準に、おススメしたり試着をしていただいたりして、コーディネートの提案を行っています。食卓においても、どんな食器で何色の料理に、どんな色・柄・素材のマットを組み合わせるのか、基準となるものが多くあります。そこで私は、料理(食器含む)の色系統を基準に進めていくことにしました。料理の色を目視で判断することは難しいため、ウェブの色判定を行うサイトを活用して約一か月分の料理写真を基にデータを集めました。その結果、母の料理には、料理を構成する5色(赤・黄・緑・白・黒)のうち緑色が足りないということがわかりました。前期では、トーンが異なる緑色の背景を3種類用意し、見え方の比較を行いました。その後「緑色のマットを使用することで、おいしく見える料理写真が撮れるのではないか」という仮説を立て、夏休みの期間にアンケート調査を実施しました。調査後には、無地の綿を購入して実際にマットを作成しました。後期では、調査結果の報告とマットを敷いた料理写真の比較をしていきます。また、中間発表後に頂いたコメントを参考に、緑色以外にも食欲を旺盛にする色(赤・橙・黄)や食欲を減退させる色(青)を使ったマットも作成し、写真を撮ってみました。こちらも含めて、食卓コーディネートのコツをご紹介していきたいと思います。

もっとサンバルでサンバる
ピリッと旨辛ソースを味わい尽くす!

  世界最大の島国であるインドネシアには「サンバル」という辛味調味料があります。地域や家庭によって変容するサンバルはインドネシアの食生活に欠かせないものです。バリ島で生まれて今でもよく旅行に行く私にとって、サンバルは辛みとうまみで日常生活を豊かにする魔法の食材です。そんなサンバルを日本でも日々の食生活に取り入れてもらいたいと考えています。1回目の発表会では、サンバルとは何か、日本(主に東京)でのサンバルの普及の現状、日常生活内での食事にサンバルを取り入れた例を紹介しました。東京都内にも多くのインドネシア料理専門店があり、どの店舗でもサンバルが料理を彩る役割を果たしていました。自身の食生活にサンバルを取り入れてみて、日本料理とは個人的見解で合うものや合わないものがありました。辛いもの好きにとって、サンバルは至福の毎日を過ごせる調味料だということを再確認しました。今回の発表会では、サンバルに必ず使われる食材のトウガラシについて、詳しく調べたので紹介していきます。トウガラシがどこで誕生してどのように世界中に広がっていったのか、から、トウガラシがサンバルに使われるようになるまでを、インドネシアの食文化や食の歴史とともに説明していきます。また、前期に引き続き、私の普段の食生活にサンバルを取り入れた例を紹介します。今回は日本料理に限らず、創作料理などとも一緒に食べています。冷ややっことは、豆腐のまろやかさにピリッとした刺激が合う、酒の肴にもなる相性の良さです。しかし、ダシの効いた優しい味の肉じゃがとは、どうにも馬が合わずどっちつかずで中途半端です。味の感想が伝わるように具体的に、おもしろく紹介していければと思います。日本人にはまだまだ馴染みのないサンバルですが、私の発表で辛いもの好きの方々にその魅力が伝わり、食べてみようかなと専門店や輸入食品店に足を運ぶきっかけになれば幸いです。